2022/08/10 住宅関連情報

住宅関連情報 2022年(令和4年)8月号

1. 6月の新設住宅着工、前年比2.2%減 市場予想は1.1%減


国土交通省が7月29日発表した建築着工統計調査によると、6月の新設住宅着工戸数は前年同月比2.2%減の7万4,596戸だった。減少は2カ月連続。QUICKがまとめた市場予想の中央値は1.1%減だった。
内訳をみると、持ち家は11.3%減の2万3,184戸で、7カ月連続で減少した。貸家は1.6%増の3万285戸で、16カ月連続で増加した。分譲は4.1%増の2万692戸で、2カ月ぶりに増加した。


2022年(令和4年)6月の新設住宅着工戸数


利用関係別 戸数 対前年同月増減率
総数 74,596戸 △ 2.2%
持家 23,184戸 △ 11.3%
分譲住宅 20,692戸 4.1%
貸家 30,285戸 1.6%

2.住宅の悩み、一括相談 大和ハウスが店舗開設

大和ハウス工業が住宅に関するあらゆる相談を受け付ける店舗の開設を始めた。このほど、茨城県のショッピングセンター内に1号店を開き、年内にも2店舗目を開設。今後も増やす考えだ。従来は全国の住宅展示場などを通じて主に新築住宅の受注につなげていたが、リフォームや中古住宅の購入など顧客のニーズが多様化。一手に引き受ける体制をつくる。
ある平日の昼下がり。育児休業中のヒロシさんが1歳になったばかりの子どもを抱いて、近所のショッピングセンターに夕食の買い出しにやってきた。自宅は1LDKで40平方メートルのマンションだが、妻も含めた3人家族では手狭に。そろそろマイホームを建てようか、それとも中古住宅を買ってリフォームしようか――。カレー用の玉ねぎを買い物かごに入れながら、ぼんやり考えていた。
そこでヒロシさんが買い物袋をさげたまま訪れたのが、ショッピングセンター内にある大和ハウスの「LiveStyle Shop(リブスタイル・ショップ)」。常駐のコンシェルジュに自宅に関する相談をすると、分譲住宅や賃貸マンション、さらには中古住宅について15分ほどの説明を受けられた。
これは大和ハウスが開設を始めた、住宅の悩みを気軽に相談できる店舗の利用イメージだ。自社で運営する茨城県つくば市のショッピングセンター「イーアスつくば」に1号店を開いた。
約150平方メートルの店内にはリフォームの情報を紹介するパネルや、グループ会社のデザインアークが手掛ける椅子などの家具を展示している。仮想空間内でアバター(分身)となり、住宅を自由に見学できる端末も設置。住宅の壁や床の色を自由に変えられるほか、営業担当者のアバターに相談することも可能だ。来店に予約は不要だが、予約すればよりニーズに合った対応が受けられる。
つくば市の店舗では1日10組ほどの来場を見込み、年間で3,700組を目指す。顧客の反応を見ながら今後は東京や名古屋、大阪、広島、福岡、仙台などに順次展開していく予定だ。当面は1号店と同様に同社が運営するショッピングセンター内に店舗を構える方針で、年内にも2店舗目を開設したい考えだ。
リブスタイル・ショップの最大の特徴は「売らない」ことだ。店舗に常駐するコンシェルジュは営業担当者ではなく、来店客の様々な相談に応じることが役割だ。大和ハウスの大友浩嗣取締役は「売らないからこそ、来店を見込める。顧客のニーズを聞くことに集中したい」と話す。
これまでは支店や展示場ごとに受注数を追い求める傾向があったが、顧客が気軽に相談できる環境をつくることで、中長期的に受注につなげたいという狙いがある。大和ハウスが意識する数字は受注数や売上高ではなく、あくまで来場者数だ。
念頭に置いているのはリクルートが展開する「スーモカウンター」だ。全国270程度の店舗を設け、注文住宅やマンションの購入について無料で相談に乗り、住宅メーカーなどを紹介する。手軽さを売りに来客者数を増やし、全国展開につなげてきた。
大和ハウスが売り方を変える背景には、新築住宅の減少もある。国土交通省によると、2021年度の新設住宅着工戸数は86万件。20年間で26%減っており、人口減少とともに今後も下落する見込みだ。
こうした市場背景に新型コロナウイルスによる外出自粛が追い打ちをかけ、展示場への来場者数も減ってきた。オンラインで相談したいという顧客も増えており、大和ハウスの展示場1カ所あたりの来場者数は2021年度に167組と、5年前と比べて4割減った。
収益を確保するためには今後は新築のみならず、中古住宅やリフォームにも注力する必要がある。新たな店舗ではこうした事業も含めて、住宅に関する顧客のニーズを集約する大和ハウスの窓口として機能させる。消費者にとっても気軽に相談できる環境が整えば、住宅選びのミスマッチも減るだろう。
とはいえ、つくば市の1号店はあくまで「実証実験」(大友取締役)の位置付け。今後はイベントの実施や子どもを引き付ける仕掛けなどを通じて、定期的に訪れたくなるような店舗づくりが欠かせない。

3.大和ハウス、中古住宅の窓にバーチャル空間 実証実験

大和ハウス工業がセンサーなどを駆使し、居住者の動きに合わせて照明などが変化する住宅の実証実験を始めた。1930年代に建てられた長屋を改装し、障子を開けた先にプロジェクターが投影するバーチャル世界が広がる工夫を施した。新築住宅市場が縮小するなか、デジタル技術を活用して住宅や施設に付加価値を付けて需要を取り込む。
古めかしい長屋の一階。天井から7個の電球がつり下げられ、部屋に積み上げられたブロックには5基のプロジェクターが光を投影する。電球には加速度センサーが入っており、手で突くと効果音が鳴る。ブロックは座る位置によって光り方が変わり、さながら人間の動きに合わせて建物が反応しているようだ。
二階には「障子の間」と「襖の間」の2つの部屋がある。6畳ほどのこぢんまりとした部屋の壁に沿って障子や襖がある。開くと効果音とともに、天井に設置されたプロジェクターから古都の風景などが壁に映し出される。無機質な壁のはずが、映像によって奥行きを感じられる。
東京都品川区にある古民家一棟を改装し「XR HOUSE(エックスアールハウス)」の実証実験を6月に開始した。京浜急行電鉄が所有する建物を木造住宅の設計を手掛けるMAKE HOUSE(東京・品川)が借り受け、大和ハウスなどが企画した。内装は建築設計事務所のnoiz(ノイズ、同・目黒)とバンダイナムコ研究所が手掛けた。
新築住宅市場は冷え込んでいる。国土交通省によると2021年度の新設住宅着工戸数は86万戸と20年間で26%減った。代わりに目をつけたのが中古住宅の再生だ。河野宏上席執行役員は「建物の価値を維持するのではなく、価値を高めていく一端にしたい」と話す。
例えば高いビルに囲まれ窓からの視界が遮られた住宅でも、プロジェクターを活用することで外の景色を疑似的に作り出すことができる。センサーで人間の動きを感知するシステムは高齢者が入室した時に自動でエアコンをオンにする機能などに応用可能だ。
これまでリノベーションは外壁の再塗装や室内のリフォームにとどめていたが、デジタル技術を用いて付加価値を付けることで、中古住宅をさらに高値で売却できるとみる。技術統括本部の宮内尊彰次長は「中古建物の概念が変わり、資産価値のパラダイムシフトが起こせるのでは」と期待を寄せる。今後は住宅だけではなく、大和ハウスが手がける商業施設や集合住宅でも実験したい考えだ。
課題も残る。エックスアールハウスは一階と二階で合わせて7基のプロジェクター、11台のスピーカーがあり、導入コストがかさむ。機器やセンサーを維持する電気代も無視できない。中古住宅の価値を効率よく高めるためには、いかに低コストでデジタル技術を実装するかが重要になる。実証実験は8月末まで実施する。

4.住友林業、一時2%高 円安で海外事業に期待膨らむ

7月20日の東京株式市場で、住友林業の株価が続伸し、一時前日比45円(2%)高の2,085円と3カ月ぶりの水準まで上昇した。海外で展開する住宅販売事業が円安の追い風を受けるとの期待が膨らんでいるほか、米国での急激な利上げ観測が足元で和らいだことも買い材料になっている。
同社は米国やオーストラリアを中心に海外でも住宅販売事業を手掛ける。2021年12月期は経常利益の7割以上を海外事業が占めた。野村証券の福島大輔氏は「豊富な受注残と円安効果が追い風となり、今期の業績は増益も見込める」と説明する。
もっとも、米国の住宅市場は依然として先行きが不透明な状況が続く。米商務省が7月19日発表した6月の住宅着工件数は年率換算で前月比2%減の155万9,000戸だった。住宅ローン金利の上昇で住宅購入の動きが市場の想定を超えて減速すれば、株価の下押し要因になりうる。
足元の予想PER(株価収益率)は4.8倍と同業他社に比べて割高感は乏しく、PBR(株価純資産倍率)も0.8倍弱と解散価値の1倍を下回る水準だ。
2022年1~6月期決算の発表を控え、市場では「(受注残を積み増し)来期以降にどれだけ成長余力を残せるかも評価を左右する」(国内証券)との声も聞かれた。

5.アキュラホーム、さいたま市に本社移転 2024年木造ビルに

住宅メーカーのアキュラホーム(東京・新宿)は2024年をメドにさいたま市西区に本社を移転する。新社屋はオフィスビルでは珍しい純木造建築とし、2022年8月20日に着工する。新型コロナウイルス下でリモートワークなどが広がったことを受け、東京の郊外に本社を移転し、多様な働き方を後押しする。
新社屋の延べ床面積は現在の8倍以上の1万1,200平方メートルに拡大するが、維持費は現在と同程度という。オフィスのほか、ショールームや実験棟、宿泊体験棟なども整備する。
同社の担当者は「コロナを機に働き方が変わり、郊外に事務所を移す機運が高まっている。創業の地である埼玉県から、木造建築のビルという新たな選択肢を提示したい」としている。

6.三井不動産、全国の「別荘」ちょい貸し 住宅購入者に特典

三井不動産は2023年にも、同社の住宅購入者らを対象に、居住する物件以外の賃貸物件やリゾート施設を貸し出すサービスを始める。新型コロナウイルス禍で住まいに対する意識や働き方が多様化し、ワーケーションなどの需要が伸びていることに応える。販売する物件の付加価値を高めることで、顧客層の拡大につなげる狙いもある。
傘下の三井不動産レジデンシャルを通じて提供する。まず三井不レジのマンションや戸建ての購入者、賃貸物件の居住者ら約30万人が所属する会員組織向けに始め、サービスが軌道に乗った後は会員以外にも広げる。
三井不レジが東京都心部や札幌、福岡などで手がける賃貸マンション「パークアクシス」の一部や、傘下の東京ドームが運営する静岡県熱海市のホテルなどを活用する。利用者は空室状況を見ながら物件を選ぶことができる。東京・豊洲のマンション購入者が、札幌でワーケーションをするといった使い方が可能になる。
地方やリゾート地では、住居だけでなく農業体験などの追加サービスも提供する計画。民泊向けの物件や農業などの体験型施設も選べるようにする方針だ。
利用期間は数日~月単位を想定している。詳細な料金は未定だが、2022年3月の実証実験では東京・池袋のマンションで月額5万円とするなど、周辺の賃料に比べて割安に設定した。サブスクリプション(定額課金)方式も検討する。2022年度中にさらに実証実験を進めてサービス内容を固め、本格開始時は年間数百人の利用を想定する。
三井不は今回のサービスで、コロナ禍で変化した居住地や働き方のニーズに対応したい考えだ。自然が豊かな場所や観光地に住みながら仕事をしたい人が増える一方、繁忙期などはオフィスに近い方が利便性が高い面もある。全国各地に物件を持つ強みを生かして多様な暮らし方を提案し、顧客満足度を高める。
新サービスは全国の賃貸物件の稼働率向上につなげるほか、コロナ禍で低下したホテルや施設利用者の増加も見込む。三井不レジが手がけるマンションや戸建ての付加価値を高め、購入者の裾野を広げる狙いもある。
三井不レジの桜井公平主査は「今までと同じ商品企画では(顧客ニーズの変化に)取り残されてしまう」と話す。2021年夏には物件購入者らが自宅の近くで仕事や趣味に使える施設を、JR武蔵小杉駅(川崎市)近くに開設した。

7.ポラス、住宅の販売単価上昇で純利益71%増 2022年3月期

住宅事業のポラス(埼玉県越谷市)が発表した2022年3月期の連結決算は、純利益が前の期に比べて71%増の85億円となり、過去最高を更新した。戸建て分譲住宅の契約数は減ったものの、注文住宅が増加。プレカット事業の生産能力を向上させたことなどで売上高は20%増の2,800億円だった。
受注状況を主要部門別にみると、戸建て分譲住宅の契約棟数は5%減の3,050棟、戸建て注文住宅は16%増の702棟だった。契約戸数の合計は3%減の4,264棟。契約数自体は減ったが、商品単価が上がったことで増益となった。
2023年3月期の売上高は前期比4%増の2,900億円、純利益は26%減の64億円を見込む。

8.戸建て住宅、天井高4メートル サンヨーホームズが発売

サンヨーホームズは7月21日、1階部分の天井高が4メートルの住宅を発売したと発表した。1階の床を低くするほか、2階の天井高も低くすることで対応する。これまで2階建て住宅の天井高は1階で2.6メートルが標準だった。リビングなどに大空間を設けることで家庭環境を充実させたいという需要に応える。
新たに発売したのは「ゆとりモア3D」。サンヨーホームズが手掛ける軽量鉄骨の注文住宅の市場では、天井高を3メートル弱とするのが一般的だ。新型コロナウイルスの感染拡大により住宅で過ごす時間が増えたことを受け、リビングを中心に空間を広くすることで住環境を充実させる需要が高まってきた。サンヨーホームズは顧客に部屋の面積を広くする提案をしてきたが、天井高を高くすることで提案の幅を広げる。
従来の住宅商品と比較して単価は高くなる見込みだ。サンヨーホームズの戸建て住宅の受注戸数は2022年3月期に222戸と、前の期と比較して3割増えた。

9.ウッドフレンズ、26%営業増益目指す 2023年5月期

住宅分譲のウッドフレンズは7月15日、2023年5月期の連結営業利益を前期比26%増の18億円に伸ばす計画だと発表した。製材工場新設などの投資を図る一方で、戸建て住宅の販売エリアを新たに岐阜・三重両県に拡大し、販売戸数増を目指す。売上高は48%増の625億円を見込むが、法人税等調整額が増え、純利益は4%減の9億円にとどまる見通し。
2022年5月期は連結純利益が前の期比72%増の9億3,700万円、売上高が13%増の423億円といずれも過去最高を更新した。住宅販売戸数が1,004戸と前の期に比べ40戸増えた。

10.東京都、既存住宅の省エネ工事に補助 経費の最大3分の1

東京都は既存住宅の温暖化ガス排出を抑えるため、改修工事に必要な経費を最大3分の1補助する。都は2030年までに温暖化ガスの排出量を2000年比で半減させる「カーボンハーフ」の政策目標を掲げており、改修工事を後押しし住宅からの削減を加速する。
補助の対象は住宅の所有者で、マンションの管理組合が共用部を改修する場合も対象とする。戸建て住宅やマンションの断熱性能を引き上げる工事のほか、発光ダイオード(LED)照明を導入したり、エネルギーの熱交換率が高い給湯設備を設置したりする工事も補助対象になる。
このほか、省エネ基準を満たしているか否かの診断や、改修の設計費用について、経費の3分の2を補助する。申請は7月19日から郵送で受け付けるが、実施済み工事についての申請は受け付けない。

11.東芝系、大熊町で軽くて曲がる 太陽光発電シート実用化へ

東芝子会社の東芝エネルギーシステムズは7月22日、軽量で曲げられる太陽光発電シートを福島県大熊町で実用化すると発表した。2025年の市場投入に向け、同町で実証実験などを行う。2040年までに二酸化炭素(CO2)排出実質ゼロを目指す同町での設置をモデルケースに、全国的な普及を目指す。
シートはプラスチック基板に印刷技術を応用して作製する。設置用の部材を含めた重量は、大型太陽光パネルと比べて約10分の1にできるという。住宅の壁、のり面、ビニールハウスなどへの施工を見込む。受けたエネルギーを電気に変える発電効率は約15%で、さらなる向上を目指す。
東京電力福島第1原発事故で被災した大熊町は、再生可能エネルギーの普及や関連産業振興を復興の柱に据える。町内の太陽光発電施設の出力は現在、2メガワット弱で2030年にかけて60メガワットに増やす目標を掲げる。太陽光パネル増設と併せて、パネルが施工できない場所で発電シート設置を増やす考えだ。

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