2022/05/20 住宅関連情報

住宅関連情報 2022年(令和4年)5月号

1. 3月の新設住宅着工、前年比6.0%増 市場予想は0.5%減


国土交通省が4月28日発表した建築着工統計調査によると、3月の新設住宅着工戸数は前年同月比6.0%増の7万6,120戸だった。増加は13カ月連続。QUICKがまとめた市場予想の中央値は0.5%減だった。
内訳をみると、持ち家は9.4%減の2万246戸で、4カ月連続で減少した。貸家は18.6%増の3万2,305戸で、13カ月連続で増加した。分譲は6.0%増の2万3,144戸と2カ月連続で増加した。


2022年(令和4年)3月の新設住宅着工戸数


利用関係別 戸数 対前年同月増減率
総数 76,120戸 6.0%
持家 20,246戸 △ 9.4%
分譲住宅 23,144戸 6.0%
貸家 32,305戸 18.6%

2. 2021年度 新設住宅着工戸数 86.5万戸で3年ぶり増加 分譲マンションは3年連続減

国土交通省は4月28日、2021年度および2022年3月の建築着工統計調査報告を発表した。
2021年度の新設住宅着工戸数は86万5,909戸(前年度比6.6%増)で、3年ぶりの増加。新設住宅着工床面積は7,116万1,000㎡(同7.3%増)で、同じく3年ぶりに増加に転じた。持ち家、貸家、分譲住宅のいずれも増加したが、直近10年間では新型コロナの感染が拡大した2020年度(81万2,164戸)に次ぐ低水準となった。
持ち家は28万1,279戸(前年度比6.9%増)で3年ぶりの増加。貸家は33万752戸(同9.2%増)で5年ぶりの増加となった。分譲住宅は24万8,384戸(同3.9%増)で3年ぶりに増加した。このうちマンションは10万2,762戸(同5.0%減)で3年連続の減少、戸建ては14万4,124戸(同11.4%増)で2年ぶりの増加となった。同省建設経済統計調査室は、分譲戸建てが直近10年間で上から3番目の高水準となったのに対し、マンションが最低水準だった点を指摘。両者の明暗について「統計上、ユーザーのニーズが転換したとまでは言い切れない。マンションは大規模案件の影響が出やすい側面があるため」と説明した。

2021年度(令和3年度)の新設住宅着工戸数

利用関係別 戸数 対前年増減率
総数 865,909戸 6.6%
持家 281,279戸 6.9%
分譲住宅 248,384戸 3.9%
貸家 330,752戸 9.2%

3.大和ハウス、アバターで住宅見学 若年層に照準

大和ハウス工業は仮想空間でアバター(分身)を動かしながら住宅を見学できるサービスを始めた。同社の担当者が質問に答え、要望に応じて3D空間内の壁紙や家具のデザインを変更する。特に若年層にとっては住宅展示場への来場はハードルが高いとみて、気軽に見学できるオンライン環境を整える。
「メタバース住宅展示場」への来場予約を4月28日に開始した。利用は無料。スマートフォンやパソコン、仮想現実(VR)デバイスを使い、最大6人が利用できる。アバターにはパソコンなどのインカメラで撮影する自分の映像を表示でき、担当者や他の来場者との会話も可能だ。
大和ハウスは全国各地に住宅展示場を設けているが、新型コロナウイルスの感染拡大で来場者数が減少していた。オンラインで住宅の情報を収集するなど「コロナで動きが変わってきた」(同社)とみる。IT(情報技術)ツールに親しんだ若年層をひき付ける狙いもある。

4.住友不動産 戸建てのリフォームに合わせ太陽光発電提案

住友不動産は4月4日、東京電力ホールディングス傘下の東京電力エナジーパートナー(EP)と、戸建て所有者に太陽光発電サービスを始めると発表した。住友不がリフォームする戸建てに初期費用なしで太陽光パネルなどを設置し、居住者は発電した電力を使いつつ二酸化炭素(CO2)を排出しない環境価値を東電EPに売却する。既存住宅で太陽光発電を普及させ、脱炭素化を進める狙い。
住友不は2021年9月、東電EPと脱炭素に関する包括協定を結んでおり、その具体策のひとつになる。住友不のリフォームブランド「新築そっくりさん」のプランでリフォームを受注した戸建てを対象にする。
顧客が太陽光発電サービスの導入を決めた場合、東電EPは通常数百万円かかる太陽光発電設備や蓄電池を初期費用なしで提供する。所有者は発電した再エネ電力を使いつつ、CO2を排出しない証書のような「環境価値」を東電EPに売る。東電EPは環境価値を企業や自治体に販売するという。
太陽光発電設備は10年以上たつと、居住者が補修を迫られる場合が多い。今回のサービスは設備の修理や更新も追加費用なしでできる。住友不は年8,000~1万棟のリフォーム受注件数の多くでサービス提供を目指す。リフォームの受注増にもつなげる。
政府は2030年度の温暖化ガス排出量を2013年度比で46%減らす目標を掲げ、家庭部門は66%減らす考えを示す。不動産大手は太陽光発電設備を付けた住宅を増やしているが、新築戸建ての設置率は10~20%で、既存戸建ては約1%とされる。住友不は国内に約5千万戸ある既存戸建てを対象に太陽光発電需要を開拓する。

5.オープンハウスグループ、群馬・太田に新事務所開設

住宅大手のオープンハウスグループは、群馬県太田市に事務所を開設した。名古屋や福岡、大阪などの大都市圏以外への進出は初。都心・駅近の住宅販売を進める中、郊外へのビジネスモデルの展開にも力を入れる。
オープンハウスグループの荒井正昭社長は同市出身。同社グループの男子プロバスケットボールリーグ1部の群馬クレインサンダーズは同市を本拠地としている。

6.戸建て住宅のウッドフレンズ、岐阜に製材工場

戸建て住宅会社のウッドフレンズは4月20日、岐阜県美濃加茂市と八百津町にまたがる場所に製材工場を設けると発表した。2024年9月に稼働する。投資額は約60億円。敷地は6万平方メートルで、丸太を切り出す際にでるチップや木の皮を燃料にする木質バイオマス発電設備を備える。
ウッドフレンズは国産の原木を使った建築に取り組んでいる。岐阜県内では養老町にも集成材の製造や加工をする工場を持っている。

7. ポリスチレン5%高 一般用、8年ぶり最高値更新 メーカー値上げ浸透

代表的な合成樹脂で食品容器や建物の断熱材などに使うポリスチレンの国内取引価格が6カ月ぶりに上昇した。前月比5%程度上がり、過去最高値を更新した。原油の高騰を背景に主原料や化学品などの価格が上昇しているためで、樹脂大手の値上げを需要家側が受け入れた。ポリスチレンを使う加工製品にも転嫁値上げの動きが広がりつつある。
指標となる一般用のポリスチレン(GPPS)は1キロあたり244~264円程度と、中心値は3月と比べ12円(5%)高い。耐衝撃用のポリスチレン(HIPS)も304~324円程度と3月比4%の上昇となった。いずれも値上がりは2021年10月以来。データを遡れる1997年以降で一般用は約8年ぶり、耐衝撃用は半年ぶりに最高値を更新した。
DICやPSジャパン(東京・文京)、東洋スチレン(東京・港)といった国内大手メーカーが3月、4月1日出荷・納入分から1キロあたり12~17円以上の値上げを表明。加工会社など需要家が受け入れ、値上げが浸透した。
値上げは原料高が大きい。基礎原料となるナフサ(粗製ガソリン)のアジア地区のスポット(随時契約)価格は4月19日時点で1トンあたり976ドル前後。ロシアのウクライナ侵攻に伴う原油価格の高騰を受けて3月初めに1,000ドルを上回って以降は高止まりしている。原料に使う基礎化学品ベンゼンも4月のアジア価格が1トン1,195ドルと、7年半ぶりの高水準だ。
原料のほか、樹脂をつくるのに使う燃料も高い。需要家側は「ここまで原料が高騰しているので仕方がない」(食品容器メーカー)と値上げに一定の理解を示す。
足元のポリスチレン需要が底堅いことも値上げの浸透を後押しした。日本スチレン工業会(東京・中央)によると、2021年の内需は2020年比6%増え、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年並みの水準だった。コロナ下で料理の持ち帰りや宅配サービスが拡大し、食品容器の需要が増えたことなどが下支えした。日本スチレン工業会の室園康博会長は「2022年も2021年並みの内需を確保できるのではないか」との見方を示す。
ポリスチレンを使った加工製品のメーカーではポリスチレンのほか副資材や物流費も値上がりしている。このため今後はこれらのメーカーによる製品価格への転嫁が焦点となる。
カネカはこのほど、魚箱や家電の緩衝材に使う発泡性ポリスチレン樹脂を1キロあたり45円、断熱材として使うポリスチレンフォームを30%値上げすると発表。デュポン・スタイロ(東京・千代田)もポリスチレンフォーム断熱材の3割値上げを打ち出した。
一方、ある住宅向け断熱材メーカーからは「需要は緩やかに戻ってきてはいるが、需給の逼迫感があるとまではいえない」との声も上がる。食品トレーのメーカーでも、巣ごもり需要が落ち着いてきたため大幅な需要増は期待できないとして転嫁をためらう向きがある。値上げのタイミングに悩むメーカーも多いとみられる。

8.住宅省エネ法案を閣議決定、断熱性能など義務化

政府は4月22日、住宅の省エネルギー化を促すための関連法案を閣議決定した。今国会での成立を目指す。全ての新築住宅と小規模ビルを対象に、2025年度から断熱性能などの基準を満たすよう義務付ける。既存住宅の省エネ改修に対する低利融資制度も新設する。脱炭素目標に向け建築物の省エネ化を後押しする。
建築基準法などの一部を改正する。外壁や窓について省エネ基準への適合を求めるほか、再生可能エネルギーの利用促進区域では、建築士から建築主への再生エネ導入効果の説明を義務化する。省エネ基準は従来300平方メートル以上のビルが義務付けられていたが、法改正で一部例外を除きすべての建築物が対象になる。
関連法案は当初、夏の参院選を控え審議日程の確保が難しいとして先送りが見込まれていたが、専門家や関係業界から早期成立を求める声が強まり方針を転換した。

9.太陽光発電、初期費用なしPPAが設置促す 補助も充実

企業や自治体の建物の屋根に太陽光パネルを無償で設置し、使用した電力量に応じて電気料金を請求する「PPA(電力購入契約)」の活用が首都圏で進んでいる。建物の所有者は設置事業者と長期契約を結ぶ代わりに初期費用をかけずに再生可能エネルギーを導入できる。補助金などで設置を後押しする自治体もあり、一般住宅でもPPAを利用するケースが増えている。
横浜市は東京ガスと連携し、2021~2022年度で市内の小中学校500校のうち65校の屋根に太陽光発電設備を設置する。発電容量は1校平均60キロワットで、本来なら1校あたり5,000万円を超す設置費用が必要になるが、PPAにより初期費用・維持費とも実質0円で導入可能となった。
20年間の長期契約は必要だが「設置を進めやすい」と横浜市の担当者。二酸化炭素(CO2)の排出量を2割削減し、削減量は65校で年間1,700トンに達する。2050年に温暖化ガス排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現に向け、同市は「設置対象を残る学校や市営住宅などにも広げたい」としている。
調査会社の富士経済(東京・中央)によると、PPAによる太陽光発電事業の国内市場規模は2021年度見込みで277億円。防災やSDGs(持続可能な開発目標)への意識の高まりから普及が進み、2035年度に2,553億円と9.2倍に成長する見込みという。
国も補助金で後押しする。環境省は2022年度にPPA活用の企業向けの補助金など関連予算で約150億円を計上している。
PPAを活用する企業は増えている。イオンは全国30カ所を超すグループの店舗に、PPAで太陽光パネルを設置した。担当者は「脱炭素への関心は年々高まっている。再エネルギー導入に取り組んでいることを発信できるメリットは大きい」という。
物流施設の開発や資産運用などを手掛けるKICアセット・マネジメント(東京・千代田)は、2021年10月に開設した埼玉県越谷市の物流施設「KIC越谷ディストリビューションセンター」に導入した。災害などで停電しても事業を継続できるよう大容量の蓄電池を備え、施設で日々使用する電力需要の約6割を自家発電でまかなえる。
企業や自治体の利用が中心だったPPAを一般住宅で利用する動きも出てきている。自治体が補助金などで後押ししていることが背景にある。
神奈川県は「0円ソーラー」のふれ込みで一般住宅でのPPA利用を促している。一般住宅のような小規模施設でもPPA事業者が採算をとれるよう、事業者向けの補助金を設けている。電気料金の割引などで住宅所有者にも還元される仕組みで、これまで350件以上の利用があったという。
設置事業者も増えており、2021年5月からPPAによる設置サービスを始めたサンエー(同県横須賀市)は「電気代高騰への懸念などもあり最近問い合わせが増えている」という。戸建て建設の建新(横須賀市)も同12月にサービスを始めた。同社は「若い層からの反響が大きく、将来は標準装備にしたい」と話す。
東京都も2019年度から一般住宅のPPAに対する助成事業を開始した。2022年2月末までに戸建て住宅と集合住宅で合わせて1,254件の申請を受け付けたが、2019~2021年度の助成枠14億円に対し、実際の助成額は2月末時点で累計6億8,000万円ほどにとどまった。担当者は「事業の認知度が当初は低かったのが響いた」と話す。
導入にはリスクも伴う。10年以上の長期契約だけに、契約期間中にPPA事業者が事業撤退したり、経営破綻したりする場合も想定される。防災用を想定したが、PPA事業者が売電するため蓄電池の設置を認めない契約となっていてトラブルになる可能性もある。富士経済の川合洋平氏は「撤去費用はどうなっているのかなど契約の確認が必要」と話している。

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