2021/11/10 住宅関連情報

住宅関連情報 2021年(令和3年)11月号

1. 9月の新設住宅着工、前年比4.3%増 市場予想は7.8%増


国土交通省が10月29日発表した建築着工統計調査によると、9月の新設住宅着工戸数は前年同月比4.3%増の7万3,178戸で、7カ月連続で増加した。QUICKがまとめた市場予想の中央値は7.8%増だった。
内訳をみると、持ち家は14.9%増の2万5,659戸で、11カ月連続で増加した。貸家は12.8%増の2万8,254戸で7カ月連続で増加した。分譲は14.9%減の1万8,855戸と、3カ月ぶりに減少した。


2021年(令和3年)9月の新設住宅着工戸数


利用関係別 戸数 対前年同月増減率
総数 73,178戸 4.3%
持家 25,659戸 14.9%
分譲住宅 18,855戸 △14.9%
貸家 28,254戸 12.8%

 

2.住友林業とNTT系、豪最大級木造ビル CO2排出減に商機

住友林業とNTT都市開発はオーストラリアで、建材の6割に木材を使ったオフィスビルを開発する。製材から利用、解体までのライフサイクルで排出する二酸化炭素(CO2)総量を鉄筋コンクリート造比で実質4割減らす。世界で環境負荷の少ないオフィス需要が見込まれる。開発規制が緩い豪州で実績を積み、海外や日本での受注拡大を目指す。
木材を活用したビルとしては同国最大級。両社と米不動産大手のハインズが組み、メルボルン近郊で開発する。総事業費は約2億豪ドル(約160億円)に上る。
地上15階建て地下2階の高さ81メートル。地上5階までを鉄筋コンクリート造とし、6階以上の上層階を木造にする。2021年末に着工し、2023年8月の竣工をめざす。
ビルで使う4,000立方メートルの木材はCO2換算で3,000トン相当の炭素固定効果が見込まれ、建材製造時のCO2排出も鉄筋コンクリート造に比べ抑えられる。使用電力の一部を屋上の太陽光発電でまかなう。
木造に加え、再生可能エネルギー対応コストがかさみ、オフィスビルのテナント料は周辺の物件より最大約1割高くなる見通しだ。環境意識の高い企業、政府機関の入居を見込む。
日本でも政府が掲げる2050年のカーボンゼロに向け木造建築への関心が高まっている。三井不動産と竹中工務店は国内最高層となる地上17階建て高さ70メートルの木造オフィスビルを建設中だ。大林組も高さ44メートルの木造ビルを横浜市で手がける。
ただ、現行の国内建築基準では耐震・耐火規制などで木造建築のハードルは高い。一方、地震の少ない豪州では規制が緩い。同国の住宅市場で2位のシェアがある住友林業は今回の計画で実績づくりを狙う。

3.パナソニックホームズ、ニュージーランドで住宅事業

パナソニックホームズ(大阪府豊中市)は10月6日、10月からニュージーランドで住宅事業に参入したと発表した。同社の国内工場で製造した外壁パネルや屋根を運び、現地で組み立てる。将来的に年間1,000戸規模の供給を目指す。
このほど現地で住宅建設を手掛けるマイクグリアコマーシャルと合弁会社を設立した。出資比率はパナソニックホームズが49%。パナソニックホームズによるとニュージーランドは住宅の供給不足が続いており、短期間で建設できる同社製住宅の需要は高いとみる。四季のある気候や地震が多い点など日本と共通点が多く、建築ノウハウも生かせると期待する。
パナソニックホームズは、2020年1月にパナソニックとトヨタ自動車が住宅関連事業を統合して設立した共同出資会社の子会社。

4.積水ハウス、東大と建築研究施設 デジタル技術活用

積水ハウスは10月14日、東京大学とデジタル技術を活用して建築を学ぶ研究施設を同大学内に新設したと発表した。3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタル設備を備え、学生は使い方を習得すれば自由に使える。少子高齢化や環境問題を解決する住まいの研究や建築人材の育成を目指す。
東大本郷キャンパス(東京・文京)の工学部内に研究施設「T-BOX」を設けた。積水ハウスが資金を提供し、建築家で同大特別教授の隈研吾氏などが内装をデザインした。3Dプリンター7台やレーザーカッター3台などを設置。デジタルアーカイブとして保存する歴史的資料も研究に生かす。海外建築家を招き講義してもらう場としても活用する。
10月14日の記者会見で、積水ハウスの仲井嘉浩社長は「発想力や感性が豊かな学生たちから新たな住宅イノベーションが生まれるのを期待したい」と述べた。同施設での研究結果や、学生と社員のワークショップで生まれた発想を住宅商品に取り込みたい考えだ。
隈特別教授は「世界の建築教育が社会的問題やデジタル技術とつながろうとするなか、(同施設は)強い存在感を発揮するだろう」と意気込んだ。

5.飯田GHD4~9月、純利益70%増 値下げ抑制で上方修正

飯田グループホールディングスは10月21日、2021年4~9月期の連結純利益が前年同期比70%増の590億円になったようだと発表した。410億円としていた従来予想から180億円上振れした。新型コロナウイルス禍で住宅需要が高まるなか、保有する住宅在庫の価格を下げずに販売して利益率を高めた。
売上高にあたる売上収益は前年同期比7%減の6,830億円(従来予想は6%減の6,950億円)に下方修正した。従来のように戸建てなどの販売棟数を増やして売り上げを伸ばす戦略を修正した結果、主力の戸建て販売は落ちた。
ただ、値下げを抑制して保有在庫の採算を改善する戦略を取り、利益を伸ばした。営業利益は65%増の870億円(従来予想は16%増の610億円)になったようだ。
2022年3月期の通期予想は変えていない。「新型コロナウイルスの再拡大リスクや不安定な資材の調達環境など先行きが不透明のため」と説明する。

6.戸建て向けVR内覧 スタイルポートが来春メドに提供へ

VR(仮想現実)を使ったマンション内覧システムを手掛けるスタイルポート(東京・渋谷)は2022年春をメドに、戸建て住宅やリフォーム工事向けにもサービス提供を始める。システム開発やエンジニア採用に充てるため、第三者割当増資で4億2,000万円を調達した。
スタイルポートは分譲マンションのモデルルームを3次元(3D)で表示し、スマートフォンやタブレット端末で確認できるサービスを提供する。戸建てやリフォームは顧客ごとに仕様が異なり、多くの3D映像が必要になる。このため、効率的に3D映像を作成できるシステムを開発し、低コストで対応できるようにする。
第三者割当増資はベンチャーキャピタル(VC)の日本郵政キャピタル(東京・千代田)やゼンリンフューチャーパートナーズ(同)などが引き受けた。

7.住宅建設の三立木材、ショールームを3Dで見学

住宅建設の三立木材(浜松市)は、市内にあるリフォームのショールーム「リモア」を3次元(3D)画像で見学できるようにした。360度を見渡しながら店の内装やキッチン、トイレなどを間近で見られる。新型コロナウイルス禍のためオンラインで情報収集する客が増えるなか、同社の手掛けるリフォームについて知ってもらう。
3D画像制作のフィーリンク(同市)が手掛けた。画面上のボタンを押せば設備などの詳細な情報が表示される。三立木材のウェブサイトからアクセスできる。河島由典社長は「会社や施工の雰囲気を知ってもらい、来店につなげたい」と話す。
三立木材は1947年設立で、木造の注文住宅や建て売り、リフォームなどを手掛ける。リフォーム事業ではLIXILのフランチャイズチェーン(FC)に加盟している。今後は実際の施工事例も3Dで確認できるようにする計画だ。
フィーリンクは2021年に設立され、観光施設や結婚式場などの3D画像制作を手掛けている。

8.木材自給48年ぶり高水準 バイオマス伸び異例の上昇率

製材や燃料などに使う木材のうち国産材の割合を示す「木材自給率」が2020年は大幅に上昇した。2019年比4ポイント増の41.8%と、1972年以来48年ぶりの高水準となった。伸び率も過去最大だ。
新型コロナウイルス禍で住宅着工は落ち込み、国が拡大を目指す建築向け製材品の需要は振るわない。異例の伸びの背景には、脱炭素への取り組みの加速に伴うバイオマス発電燃料の需要の増加がある。
2020年の木材全体の国内生産量は3,114万9千立方メートルと0.5%増えた。このうち、製材や合板に使う建築用材の供給量は1,581万立方メートルと10.3%減った。
「自給率の上昇はイレギュラーな現象。数値ほど、需要の伸びは感じない」。製材品を扱う問屋の営業担当者はこう指摘する。
2020年の新設住宅着工戸数が81万5,340戸と、新型コロナの影響で前の年を9.9%下回った影響が大きい。
輸入品の供給量も4,329万立方メートルと同15%減った。商社やハウスメーカーが輸入量を大幅に抑えたほか、パルプなど製紙原料の需要減も響いた。
自給率を押し上げたのは、建設関連とは別の用途だ。バイオマス発電向けなど燃料材の国内生産量が892万7千立方メートルと、同28.8%増えた。国が目指す、国産製材品の供給増によるものではない。
2021年に入り、国産材を取り巻く環境は大きく変わった。住宅着工が旺盛な米国で需要が急増し、日本への輸入が減る「ウッドショック」が起きた。国産材は代替品として注目されている。
国産材の利用促進に向けた追い風は続く。公共建築物等木材利用促進法が改正され10月1日に施行。公共物だけでなく、民間の建築物も木材の利用が促される。
全国木材組合連合会(東京・千代田)の中原保久参与は、「木を植えて使うという循環を進めるには、まずは木材利用を増やす必要がある。中高層建築など新たな需要先に期待している」と話す。
一方で、国産材の供給余力は乏しい。農林水産省によると、国産の製材用丸太の工場への入荷量は、1~6月で合計約624万8千立方メートル。前年同期比では7万3千立方メートル(1%)増えたが、コロナ禍前の2019年の同時期を7%下回る。
森林から木材を切り出す人が足りず、丸太を運ぶ林道の整備も追いつかない。製材所も急な能力の拡張は難しい。
輸入材の減少分を補いきれず、国産ヒノキは23年半ぶりの高値を付けたままで買い手は広がりにくい。製材品そのものの需要がけん引する自給率の向上には、供給体制の確立が不可欠だ。

9.建材・内装材、相次ぐ値上げ 石こうボードは8年ぶり

原料や物流費の高騰が建材や内装材価格にも波及してきた。住宅の内壁や天井に使う石こうボードは、最大手の吉野石膏(東京・千代田)が8年ぶりの値上げを表明した。フローリング材などでも製品価格に転嫁する動きが広がる。
柱などに使う材木や鋼材は既に値上がりしており、住宅メーカーの負担はさらに増す。買い手がどこまで値上げを受け入れるかが焦点になる。
吉野石膏は、11月1日出荷分から30%の値上げを決めた。2013年以来の引き上げで、一回の値上げ幅としては2000年以降で最大となる。原料となる天然石こうは輸入品が多いが、世界的に建材向けの需要が増え「価格は毎年上昇している」(同社)。
新型コロナウイルス禍に伴う港湾荷役の混乱などで、原料を運ぶばら積み船の用船料は大幅に上昇している。トラック運賃も高止まりし、企業努力で吸収できる範囲を超えたと判断した。
新型コロナの感染者が減ってきたこともあり、住宅着工の需要は徐々に戻っている。石膏ボード工業会(東京・港)がまとめた8月の石こうボードの出荷量は3,445万7千平方メートルと前年同月比5.9%増え、3カ月ぶりに前年実績を上回った。業界2位のチヨダウーテも追随する可能性がある。
旭化成建材(東京・千代田)は、建物の外壁などに使う軽量気泡コンクリート(ALC)を2022年1~4月出荷分から順次値上げする。補強材に使う鉄網が高騰しているためだ。
世界的に木材価格が高騰する「ウッドショック」の影響で、フローリング材も値上げの動きが広がる。
住宅の柱や梁(はり)となる、木材や鋼材は既に値上がりしている。住宅自体の機能向上も重なり、住宅価格は上昇傾向だ。
建設物価調査会(東京・中央)の建設物価建築費指数(東京の11年平均=100)によると、8月の工事原価は集合住宅が124.4と2020年8月に比べ3.9ポイント(3.3%)上昇した。木造住宅も120.4と、同4.5ポイント(3.9%)上回った。
内装材まで広がる価格引き上げの動きについて、大手住宅メーカーの調達担当者は「これだけ短期間に値上げが相次ぐのは経験したことがない」と驚く。
基幹部材に加え、内装材の値上がりは住宅コストの一段の上昇につながる。それでも「内装材には替えが利かないものもある。値上げを拒否するなどして供給網が崩れると安定的に調達できなくなるおそれがある」(住宅メーカー)。買い手側には、一定程度の受け入れは避けられないとの声が出る。
住宅メーカーによると、石こうボードやガラスなどが住宅のコストに占める割合は1~5%程度にとどまる。ただあるハウスメーカーは「仕入れるのは数千棟分の量。『ちりも積もれば』で負担は大きくなる。住宅の販売価格に転嫁する可能性が高い」と打ち明ける。実現すれば消費者の負担が増えそうだ。

10.国産合板14年3カ月ぶり高値 住宅向け復調も急増産困難

住宅の壁や床に使う国産合板の流通価格が一段と上昇し、14年3カ月ぶりの高値を付けた。住宅着工が徐々に持ち直し需要が戻る一方、メーカーは新型コロナウイルスの流行の影響で人手を減らしており供給体制が追いつかない。梁(はり)などに使う製材品も高値が続いており、住宅の建設コストを押し上げる要因になる。
建築物に使う構造用合板の指標である針葉樹合板(厚さ12ミリ品)の東京地区の問屋卸価格は、現在1枚1,180~1,200円。9月上旬より80~100円(8%)高く、2007年7月以来の水準となった。当時は景気が拡大し、建築需要が旺盛だった。東南アジアの伐採規制で国産合板に代替需要が集まった。
農林水産省によると、針葉樹合板の在庫量は8月末に9万2,498立方メートルと、前年同月比で38%少ない。通常在庫は十数万立方メートル台で推移するが、4カ月連続で10万立方メートルを割る低水準が続き、品薄感が広がっている。
需要の伸びに合板の供給が追いつかない。8月の木造住宅の新設着工戸数は4万4,587戸で、前年同月比16%増えた。9月以降も「秋はもともと住宅の需要期で引き合いは強い」(合板メーカー)。合板を買って加工するプレカットメーカーも、夏ごろからフル稼働に切り替えた。
一方、合板メーカーの稼働率は需要を補うほどには上がらない。8月の生産量は24万3,404立方メートルと、減産していた前年同月と比べると17%増えたものの、コロナ前の2019年8月比では5%少ない。
新型コロナ禍で需要が激減した2020年の春から夏にかけ、合板メーカーは2~3割の大幅な減産体制を敷いた。工員を減らしたメーカーもある。すぐに再雇用することは難しく、稼働能力が上がらない。
原料の丸太の価格も上昇している。世界的な木材不足で国産材の需要が伸びている。農林水産省によると、合板に使うスギ丸太の価格(9月)は1立方メートル1万2,400円と前年同月比で1,700円(16%)高い。
供給不足を背景に、合板メーカーが打ち出した値上げが流通段階で浸透している。木材問屋からは「メーカーから提示された価格がそのまま通っている状況。年内は上昇基調が続くだろう」との声が出ている。
輸入合板も最高値を更新した。コンクリート型枠用合板は指標の12ミリの輸入品の問屋卸価格(東京地区)が1枚1,580円(中心値)と前月比50円(3%)高い。構造用合板も1,640円と50円(3%)上昇した。
主産地の東南アジアではコロナ禍が収束せず、合板工場の稼働率が下がっている。現地工場は加工率が高く高値で売れる塗装型枠用合板を優先して生産しており、塗装していない型枠用などの供給が細っている。
梁や柱に使う製材品も、値上がりは一服しているものの依然として最高値にある。合板を含めた木材は木造住宅の建設費の約1割を占めると言われる。値上がりが続くと住宅メーカーの採算を圧迫しそうだ。

11.ループ、住宅向け太陽光で蓄電池活用 光熱費削減

新電力のLooop(ループ、東京・台東)は10月14日、戸建て住宅向けに太陽光パネルと蓄電池などをセット販売する新サービスを始めたと発表した。屋根置き型太陽光パネルと小型蓄電池、ガスと電気を併用するハイブリッド給湯器を組み合わせることで、光熱費を10%程度削減できるという。
2022年度に5,000件の契約獲得を目指す。
新サービス「とくするソーラー蓄電池付きプラン」では、太陽光パネルと蓄電池をリースで提供する。日中の余剰電力を蓄電池にため、夜間に利用することで電気代を削減。不足分の電力は、ループが通常プランより1キロワット時当たり3円割引して供給する。また従来のガス給湯器からハイブリッド給湯器に切り替えることで、ガス代の節約にもつなげる。
ハウスメーカーと連携して新築戸建て住宅に設置するほか、既存住宅への導入も狙う。10月14日の記者会見で、中村創一郎社長は「コスト削減、災害対策、脱炭素の3つを同時に実現することができる。住宅分野の二酸化炭素(CO2)排出削減につなげたい」と語った。

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