2021/06/10 住宅関連情報

住宅関連情報 2021年(令和3年)6月号

1. 4月の新設住宅着工、前年比7.1%増 コロナ前水準には届かず


国土交通省が5月31日発表した建築着工統計調査によると、4月の新設住宅着工戸数は前年同月比7.1%増の7万4,521戸と2カ月連続で増加した。増加率は2019年3月以来の大きさ。前年は新型コロナウイルス感染症による外出自粛などで住宅展示場に出向く客数が減り、持ち家などの着工件数が大きく落ち込んだ反動が出た。前々年の2019年4月(7万9,389戸)と比べると水準は低い。
内訳を見ると、持ち家は8.8%増の2万2,877戸と、6カ月連続で増えた。貸家は13.6%増の2万8,825戸だった。
一方、分譲住宅は0.3%減の2万2,483戸と2カ月ぶりに減少した。マンションは0.5%増と2カ月連続で増えたが、一戸建て住宅は0.6%減と17カ月連続で減少した。デベロッパーが一戸建て住宅用地の仕入れを渋っている状況が続いているもようだ。
全体の季節調整済みの年率換算値では前月比0.3%増と、4カ月連続で増加した。


2021年(令和3年)4月の新設住宅着工戸数


利用関係別 戸数 対前年同月増減率
総数 74,521戸 7.1%
持家 22,877戸 8.8%
分譲住宅 22,483戸 △0.3%
貸家 28,825戸 13.6%

 

2.大和ハウスの2022年3月期、純利益10%増 戸建て回復

大和ハウス工業は5月14日、2022年3月期の連結純利益が前期比10%増の2,150億円になる見通しだと発表した。ホテルの稼働率低迷など新型コロナウイルス感染拡大の影響が続くが、国内の戸建て住宅回復やコロナ関連損失の減少が寄与する。年間配当は創業者の生誕100周年の記念配10円を上乗せし126円(前期は普通配のみ116円)とする。
売上高は4%増の4兆3,000億円を見込む。住宅事業は米国が郊外を中心に販売が好調に推移する。国内は在宅勤務向けの住宅提案やウェブ販売が寄与し、受注額は2020年11月から前年実績を上回っている。
営業利益は10%減の3,200億円を見込む。企業の設備投資低迷に伴い、受注した物流施設などの建設を手がける事業の採算悪化が響く。
一方で、グループ会社が運営するホテルは厳しい。都市型ホテルは新型コロナ感染拡大前は9割前後の稼働率を維持していたが、2021年3月期は3割台まで落ち込み、2022年3月期も4割台の想定だ。企業の設備投資意欲が冷え込み、飲食店やホテル建設の請負工事の受注も減る見通しだ。
増収増益を見込むが、2022年3月期を最終年度とする中期経営計画で掲げてきた売上高4兆5,500億円、純利益2,670億円を下回る見通しだ。芳井敬一社長は5月14日の記者会見で「次の中計に向けてどういう色を出すか考える1年にしたい」と述べた。
同日発表した2021年3月期の連結決算は、売上高が前の期比6%減の4兆1,267億円、純利益は16%減の1,950億円だった。不動産売却があったものの、コロナの影響で工事の延期や中止が重なり、請負工事が減少した。

3.住友不動産、8期連続で最高益 前期最終 オフィス事業が堅調

住友不動産が5月13日発表した2021年3月期の連結決算は純利益が前の期比微増の1,413億円だった。8期連続で最高益を更新した。中国・大連市でマンションを開発する合弁会社の持ち分の売却で118億円の特別利益を計上。新型コロナウイルスの感染拡大でホテルなどが苦戦した一方、オフィスビル賃貸は好調に推移した。
売上高は9%減の9,174億円、営業利益は6%減の2,192億円だった。主力のオフィスビル賃貸やマンション分譲は増益を確保したが、新型コロナの影響でホテルの稼働率は低迷。緊急事態宣言の発令もあり注文住宅や不動産の仲介事業も落ち込んだ。
2022年3月期の連結売上高は前期比微増の9,200億円を見込む。純利益は6%増の1,500億円と最高益の見通しだ。年間配当は前期から5円増やし45円とする計画。同日開いた決算説明会で尾台賀幸取締役はオフィス市況について「需要が蒸発したリーマン・ショック時と異なり、今回は縮小などを決める企業もあれば、攻めの増床を志向する企業もある」との見方を示した。

4.トヨタウッドユーホームなど3社、平屋の住宅展示場

トヨタウッドユーホーム(宇都宮市)はグループ会社の栃木ミサワホーム(同)、パナソニックホームズ北関東(同)と共同で平屋の戸建て住宅の展示場を開いた。トヨタホームを含む4ブランドの住宅を実際に見比べながら検討できる。場所は栃木県小山市の分譲地「楽園の森ひととのやヴィレッジ」の中で、期間は6月27日まで。
モデルハウスには在宅勤務用のワークスペースや、帰宅後すぐに手を洗える間取りなど、新型コロナウイルス禍後の新しい生活様式を見据えた要素を取り入れた。トヨタウッドユーは屋内を移動しやすい平屋は近年、若い世代にも人気があるとみて、子育て世代を意識した間取りも提案している。

5.国産材、戸建てメーカーが共同購入 安定調達目指す

住宅向け木材の流通に変化が起きている。オープンハウスなど複数の関東の戸建て分譲会社が、国産材を製材会社から直接共同で購入する仕組みを作った。商社や問屋を経由していた従来の流通とは一線を画し、出回りが少ない国産材の安定調達につなげる。
同社と三栄建築設計、ケイアイスター不動産の3社は4月13日、日本木造分譲住宅協会(東京・新宿)を設立した。国産材の利用を増やすため、協会を通し製材会社から国産材の直接購入を進める。安定調達に加え、まとまった量を長期間購入することで価格を抑える狙いもある。
「企業のSDGs(持続可能な開発目標)対応が迫られる中、国産材活用は必須だ。1社でできないことも3社集まればできる」。ライバル社同士の連携について、ケイアイスター不動産の担当者はこう話す。
国産材の利活用が進めば林業も活性化し、森林の健全化につながる。だが国産材は供給制約があった。国内の木材市場のうち、輸入品は6割のシェアだ。割高な国産材は需要が細り、丸太の出材も減少。柔軟な供給が難しく、さらに市場を失う悪循環だった。
同協会は商社などを通さず、3社が必要な製材品を一括購入する。東北産を使用する計画だ。「需要量の目安があれば、供給側は安心して生産を増やすことができる。市場での流通も増えるはず」(同協会)。仕入れた製材品はあらかじめ提携したプレカット工場に加工させ、3社が引き取る仕組みだ。
国産材使用量の各社の内訳は非公表だが、三栄建築設計は、5月の着工分から全棟で国産材を100%利用する。主に柱にスギ、土台にヒノキを使用するほか、強度が必要であまり国産化できなかった梁(はり)にはカラマツを使用する。小池信三社長は「国産製材品の開発や製造も進めていきたい」と話す。
3社の2021年の国産材使用量は、1カ月で約8,175立方メートルを見込む。農林水産省の調査によると、輸入材を含めた全国の製材品の出荷量は平均で毎月約70万立方メートル。全体の1%ほどだが、特定の地区で数千立方メートルのまとまった国産材を供給できる製材会社は少ない。
共同購入の量が増えれば、局地的に国産材の供給余力が小さくなる可能性もある。足元では輸入材の価格が高騰する「ウッドショック」が広がり、国産材も需給が引き締まる。
市場では「国産材の不足を見据えての設立ではないか」(木材問屋)という声もある。協会は「設立の話が出たのは昨年末。ウッドショックは関係ない」と否定するが、各ハウスメーカーが木材集めに奔走する中、同協会は既に年間使用量分を確保している。
流通市場にも影響を与えそうだ。木材問屋などからは「契約していたプレカットメーカーにおろしていた分の利益がそのままなくなる」と困惑の声が上がる。
需給バランスが急に変動しやすくなるとの指摘も出ている。問屋などの流通在庫は、市場の需給バランスの変化を緩和させる役割を持つからだ。
例えば、製材品に比べて商社や問屋の数が多い合板。今回の木材不足でも、価格が急騰した製材品に比べ品不足に陥るまで時間がかかった。流通業者を経ない仕組みが広がれば、「供給が滞ったり需要が増えたりした際に、流通市場から一気に木材がなくなる」(木材問屋)との懸念は消えない。
SDGs対応に不可欠な資源の保護でも課題はある。協会は年間の木材使用量である3万3千本分を東北に植林するほか、苗木代にあたる約330万円(1本あたり100円で試算)の寄付などを模索する。ただ植林後の育成への携わり方や森林整備などの具体策はこれから。安定調達と山林保護の両立が問われている。

6.「ウッドショック」広がる 住宅用の集成材が最高値

米国の活発な住宅着工に伴う木材相場高「ウッドショック」の影響が、日本の住宅用木材の流通価格に一段と及んできた。梁(はり)や柱に使う集成材が最高値を更新した。欧州から米国への木材供給が増えたあおりで、日本で欧州産原料の不足感が強まったためだ。同じく梁や柱に使う米松製材品も上昇し、住宅業界のコスト負担が増している。
集成材は、梁に使う集成平角(4メートル×10.5センチ×30センチ)の東京地区の問屋卸価格が現在1立方メートル当たり7万5千円(中心値)と前月比1万円(15.4%)上昇。2007年1~7月に付けた従来の最高値を上回った。柱に使う集成管柱(3メートル×10.5センチ角)も1本2,550円と同300円(13.3%)高い。集成材メーカーの値上げを問屋が卸価格に反映している。
原料に使う欧州産の板材「ラミナ」の対日価格上昇が背景にある。昨夏から米国で住宅需要が急増し、木材相場が高騰。米国はカナダ産や米国産で足りず、欧州産木材の輸入も増やした。欧州の木材メーカーは高値で売れる米国向けに増産し、日本はラミナを確保するために欧州メーカーの値上げ要請を受け入れている。4~6月期の欧州産ラミナは過去最高値だ。
ある国内プレカットメーカーは「北米産の木材はまだ値段を出せば買えるが、欧州産ラミナや集成材はいくら出しても買えない状況」という。国内の住宅着工が低迷した2020年に「商社やメーカーが対日価格を下げすぎた」(問屋)ことも、足元の日本への欧州産の輸入停滞につながっているとの見方もある。国内の住宅着工はまだ厳しいものの、品不足による値上がり圧力が上回る。
集成材の値上がりは続きそうだ。大手メーカーの銘建工業(岡山県真庭市)は集成平角を6月出荷分から1立方メートル1万2千円値上げする。ラミナ不足で4月に始めた減産も続けている。最高値のラミナが入港する7月以降は「もう一段値上げする」という。
ラミナの対日価格はなお強含む。欧州勢が現在取引の参考にしている米国の木材先物相場が当面高値圏で推移するとの見方が多いうえ、欧州では例年夏場は長期休暇で工場の稼働率が下がるため、対日向けの数量も少なくなる。ラミナ価格が上昇することで集成材価格が押し上がる構図は変わりそうにない。
北米から輸入する丸太を原料にし、集成材と同様に梁や柱に使う米松製材品も国内相場の上昇が続いている。指標となる米松KD(乾燥)平角(4メートル×10.5センチ×30センチ)の東京地区の流通価格は、1立方メートル当たり6万5,500円と前月に比べて5千円(8.3%)上昇。未乾燥のグリン材も同6万円と3千円(5.3%)高い。北米産の丸太価格が上昇している影響が大きい。
米国では木材の需要期は夏場。国内への入荷不足は続き、価格も上昇基調とみられる。住宅業界のコスト上昇圧力が強まっている。
輸入木材の代替需要として、スギやヒノキなどの国産材の流通価格も上昇した。柱などに使うスギKD(乾燥)正角(3メートル×10.5センチ角)は4月の首都圏の問屋卸価格が1立方メートル7万円と、前月と比べ1万2千円(20.7%)高い。ヒノキKD正角も同9万7千円と前月比1万円(11.5%)高い。
スギ原木の価格も上がっている。農林水産省によると、4月中旬時点の全国平均価格(工場着)は14~22センチ×3.65~4メートル品が1立方メートル1万3,600円と3月中旬より200円(1.5%)高い。原木の価格は例年冬場から下がって梅雨時期に最も安くなるが、今年は上昇が続く。スギ生産量が多い宮崎県の森林組合の担当者は「中国地方など県外からの引き合いも多い」と話す。
グリン材と呼ばれる未乾燥材の国産材も上昇している。流通市場では乾燥材の取引が多いが、「乾燥材がなくグリン材を買う需要家が出始めた」(問屋)。スギのグリン材は現在4万3,500円と5千円(13%)高い。ヒノキのグリン材は現在同6万円と同7千円(13.2%)高く、2014年6月以来の高値水準だ。
国内木材市場のうち国産材は4割で、出回りが少ないことも値上がりを促しているようだ。都内の木材問屋は「ものがないという不安感で値段がつり上がっている。実際の需要はそこまで強くない」と漏らす。

7.新築住宅の省エネ、義務化で合意 有識者会議

国土交通省の有識者会議は5月19日、新築住宅に対し断熱材の導入などで省エネルギー基準に適合させるように義務づける案に合意した。太陽光発電パネルの導入拡大については国や自治体の公共建築物に優先して設置する方向だ。
国交省は議論の方向性に関する素案を示した。現在、中規模のオフィスビルなどは省エネ基準を満たすよう義務づけられているが住宅は対象ではない。住宅を含め対象範囲を拡大する方針を盛り込んだ。
事業者や消費者に分かりやすいよう省エネ基準の簡素化を進める。基準を段階的に引き上げて適合条件を厳しくすることも検討する。規制の導入時期や住宅購入者に対する支援措置などの詳細を今後詰める。
既存住宅の省エネ改修を促すことも課題で、省エネ性能に優れた建材の開発を進めるとともに耐震性や省エネ性能が低い建物は建て替えを支援する。
住宅への太陽光パネルの設置義務づけについては委員の意見が分かれ、方向性はまとまらなかった。一方で国や自治体の庁舎や学校など公共建築物を対象に積極的に導入する案には賛同する意見が相次いだ

8.太陽光パネルの国内出荷量、3年ぶり減 2020年度

太陽光発電協会(東京・港)は5月27日、2020年度の太陽光パネルの国内出荷量が前年同期比で約16%減の約513万キロワットだったと発表した。3年ぶりに減少した。新型コロナウイルスの感染拡大などを受け、太陽光発電所の新規建設が減少したことなどが響いた。
住宅用のパネル出荷量は、前年同期比約14%減の約87万キロワットだった。2020年度下期(2020年10月~2021年3月)はほぼ横ばいだったが、新型コロナの感染拡大による訪問販売などの営業活動が難しかった2020年度上期(2020年4月~9月)で大きく落ち込んだことが響いた。
非住宅用のパネル出荷量は、前年同期比約16%減の約426万キロワットだった。大規模発電設備(メガソーラー)などの発電事業用での減少などが響いた。新型コロナの感染拡大で、発電事業者などが太陽光の建設を検討する調査などに遅れが出ている可能性がある。このほか「太陽光を支える架台などで、中国からの輸入が遅れている」(太陽光パネル大手のハンファQセルズジャパン)ことなどが影響した。
世界的な脱炭素の流れを受け、日本でも太陽光発電の需要は高まっている。太陽光は固定価格買い取り制度(FIT)開始後、急速に導入が進んだ。ただ、適地の減少などから2014年度をピークに減少傾向にある。農地の上に太陽光パネルを設置する営農発電など、太陽光を導入するための取り組みが欠かせない。

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