2021/01/12 住宅関連情報

住宅関連情報 2021年(令和3年)1月号

1. 11月の新設住宅着工、前年比3.7%減 市場予想は4.9%減


国土交通省が12月25日発表した建築着工統計調査によると、11月の新設住宅着工戸数は前年同月比3.7%減の7万798戸で、17カ月連続の減少だった。QUICKがまとめた市場予想の中央値は4.9%減だった。
内訳をみると、持ち家は1.5%増の2万4,010戸で、16カ月ぶりに増加した。貸家は8.1%減の2万6,451戸で27カ月連続の減少だった。分譲は6.1%減の1万9,548戸と、13カ月連続で減少した。


2020年(令和2年)11月の新設住宅着工戸数


利用関係別 戸数 対前年同月増減率
総数 70,798戸 Δ3.7 %
持家 24,010戸 1.5 %
分譲住宅 19,548戸 Δ6.1 %
貸家 26,451戸 Δ8.1 %

 

2. コロナが誘う戸建て需要 大和ハウスなど株価堅調

住宅関連大手の株価が持ち直している。新型コロナウイルス禍で在宅勤務が普及し、住む家そのものを見直そうと国内や米国で戸建て住宅の需要が増えている。さらには省エネ住宅の購入を喚起する政府の経済対策という追い風も吹く。新たな住宅市場の幕開けを予感させ、株式市場も歓迎しているようだ。
足元で戸建て住宅の需要は伸びている。大手の大和ハウス工業は11月の月次受注状況で戸建住宅が前年同月比4%増と、10月(6%減)から増収に転じた。
積水ハウスは11月の戸建住宅の受注状況が前年同月比14%増と、10月の同4%増から伸びが加速。2020年2~10月期の連結純利益は前年同期比24%減の889億円と減益だったが、市場予想は上回ったことで、業績への先行き期待は高まっている。野村証券の担当アナリスト、福島大輔氏は12月7日付の投資家向けリポートで「2022年1月期は国内の住宅事業を中心に業績が回復する」との見方を示した。
大和ハウス工業の株価は11月下旬にコロナによる急落局面前の水準(3,647円)付近まで戻す場面があった。足元ではやや調整したが、3,000円台前半で底堅さを維持。積ハウスは12月9日に一時2,100円と約3カ月ぶりの高値まで上昇した。
7月以降の月次の戸建て受注状況が前年同月で増加傾向が鮮明な住友林業は12月14日、2,039円と約2年11カ月ぶりの高値を付けた。藍沢証券の三井郁男投資顧問部ファンドマネージャーは「在宅勤務の拡大で部屋数の多い家を求めるなど新たな需要が発生しており、人々の生活スタイルが変化している。住宅関連は息の長いテーマ」とみる。
好調なのは国内だけではない。米国の10月の新築一戸建て住宅販売件数(季節調整済み、年率換算)は99万9,000戸で、前月から0.3%減った。ただ、前年同月比では41.5%増と大幅な伸びを示した。大和ハウス工業の米子会社、スタンレー・マーチン(バージニア州)では「ミレニアル世代の住宅購入が進んでいる」(大和ハウス工業IR室)。住宅ローンの低金利が支えで、「在宅勤務が増えたことによる都市部の住宅の郊外化が日本よりも進んでいる印象だ」(同)という。
信越化学工業は米国の住宅向けの塩化ビニールが好調で、株価の支えになるなど意外なところにも恩恵が広がっている。同社株は12月2日に上場来高値を付けた。
菅政権は省エネにつながる住宅の購入や一定条件の達成で最大100万ポイント(100万円分)付与する方針だ。ポイントは家電などの購入に使えるほか、追加の工事費用にも使用できるという。新型コロナの影響で雇用や賃金を巡る環境に不透明感もあるなか「住宅購入を検討する際の1つの支援材料」(SBI証券の鈴木英之投資情報部長)との声が聞かれる。
新型コロナの感染再拡大で住宅展示場の客足が遠のくなど営業活動への影響は懸念材料だ。ただ「11月には対面とオンラインを融合したキャンペーンなどを実施しており、前年同月と比べて集客数は衰えていない」(大和ハウス)と、コロナ時代ならではの顧客対応も進んでいるようだ。住宅市場の一段の拡大を見据えて株価も戻りを試す可能性がある。

3.<東証>住友林業が26年ぶり高値 米で住宅需要増の期待、低金利追い風

住友林業が続伸している。一時、前日比52円(2.6%)高の2,073円と1994年6月以来、約26年ぶりの高値をつけた。米商務省が12月17日発表した住宅需要の先行指標とされる11月の住宅許可件数は163万9,000戸だった。前月から6.2%増え、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予測(155万戸程度)を上回った。同社は米国で分譲戸建住宅事業を手掛けており、米国向けの住宅需要が伸びるとの期待から買いが集まっているようだ。
市場では、米国の住宅市場の伸びは新型コロナウイルス感染拡大で郊外に家を建てる動きが出ていることや米連邦準備理事会(FRB)の低金利政策による低い住宅ローン金利が追い風になっているとの見方が多かった。ある国内証券のストラテジストは「この先、雇用環境が改善し所得が安定すれば、一段と住宅需要が高まることもありそうだ」とみていた。

4.<東証>積水ハウスが続伸 2~10月期減益も、「来期の増益に向けて順調」との声

積水ハウスが続伸している。一時、前日比93円50銭(4.8%)高の2,052円と9月11日以来、約3カ月ぶりの高値をつけた。2020年2~10月期の連結純利益が前年同期比24%減の889億円だったと12月7日発表した。減益ではあったものの市場予想の平均であるQUICKコンセンサス(9月23日時点、3社)の872億円を上回り、好感した買いが入っている。
主力の戸建て住宅事業では新型コロナウイルスの感染拡大で営業自粛をした影響で販売が落ち込んだ。一方で、鴻池組の連結化により建築・土木事業が拡大したことが利益を押し上げた。
合わせて発表した11月の全体の受注(速報)は前年同月比8%増だった。SMBC日興証券の担当アナリスト田沢淳一氏は12月7日付の投資家向けリポートで「総じて受注残高も増加していることから、来期の着実な増益に向けて順調に進捗している印象」との見方を示した。

5.積水ハウス、住人の急病を早期発見 戸建て住宅で実験

積水ハウスは12月10日、住む人の急病を早期発見する戸建て住宅の実証実験を始めたと発表した。12月以降に完成する首都圏の新築約30棟を対象に、呼吸や心拍数を非接触で検知するセンサーを寝室などに取り付けてもらう。自宅で起きる脳卒中などを早く発見し、死亡や重症化を防ぐ狙い。将来は病気の予防にまで対応する住宅づくりにつなげる。
実験の期間は約1年で、同社の新築注文住宅を購入した人に参加を募った。寝室やリビング・ダイニングの天井に生体センサーを設置し、居住者の呼吸などを検知して解析する。センサーの精度や稼働状況などを検証したうえで、今後の商品化につなげる。
今回の実験では急性疾患の検知までだが、オペレーターによる安否確認から救急への出動要請、玄関ドアの遠隔解錠までを一貫して実施する世界初のシステムを構築したい考えだ。センサーから集めたデータなどを生かした病気の予防サービスへの展開も計画する。

6.住宅ローン減税、小規模物件は1,000万円の所得制限

政府・与党が2021年度税制改正で検討する住宅ローン減税の見直しの全容が判明した。13年間の控除が受けられる特例は入居期限を2022年末まで延長する。対象物件の面積要件も緩和し、戸建て・マンションとも床面積50平方メートル以上から40平方メートル以上に広げる。50平方メートル未満の場合は1千万円の所得制限を設ける。
近く与党の税制調査会で最終決定し、12月10日ごろにまとめる与党税制改正大綱に盛り込む。
住宅ローン減税は、10年間にわたり借入残高の1%を所得税から控除する制度。2019年に消費税率を10%に引き上げた際に導入した特例措置で、2020年12月までに入居した場合は13年間控除を受けられるようにしていた。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2020年9月末までの契約などを条件に、2021年末までの入居者に同じ特例を認める弾力化措置も設けている。
この特例を延長し、2022年末までの入居を税優遇の対象にする。契約から入居まで一定の時間がかかる場合も多いためだ。新築注文住宅は2021年9月末、マンションや中古住宅は同11月末までの契約が条件になる見通しだ。
消費者の購入時の負担軽減に加え、新型コロナで打撃を受けた住宅販売をてこ入れする狙いがある。自民党税制調査会の甘利明会長は、かねて住宅や自動車の購入時の税負担を軽減する意向を示していた。
面積要件も緩和し、新たに40平方メートル以上50平方メートル未満の物件も対象に加える。従来の要件である床面積50平方メートル以上は、3人家族で住む3LDKのマンションなどが主な対象だ。夫婦だけで住む場合なども想定し、小規模物件の購入も税制で後押しできるようにする。
都市部の小規模物件を投資目的で転売するようなケースは税制優遇にそぐわないため、1千万円の所得制限を設ける。
住宅ローン減税の「1%控除」の仕組みについては会計検査院が低金利時代に合わないと問題視している。借入金利が控除率の1%を下回ると、控除額が支払利息額を上回る「逆ざや」のような過度な恩恵を受ける人が出る場合があるためだ。
政府・与党は2021年度改正では現行の控除額の仕組みを維持する一方、2022年度にも見直す方針を税制改正大綱に明記する方向で調整している。
実際に支払った金利分が借入残高の1%に満たない場合は、利払い分のみを控除するといった案を検討している。自民党の税制調査会も、こうした案を含めた見直しの方向性で大筋で一致している。2022年度改正に向けた2021年冬の議論で制度の抜本改革に着手する可能性がある。

7.地方移住の住宅購入でポイント 政府、最大100万円分

政府は地方に移住する人が住宅を購入した場合に家電などと交換できるポイントを付与する制度をつくる。1回あたり最大100万円分とする。政府が12月8日にも閣議決定する追加経済対策案に盛り込む。来年の通常国会で第3次補正予算が成立した後、実施する。来春の実施を目指す。
制度を利用できる対象者は、東京23区に住んでいる人や東京23区の会社に勤務する人で調整中だ。新築の場合は省エネに対応した住宅のみだが、中古は省エネ住宅以外も対象にする方向だ。たとえば東京都港区に住んでいる人が長野県で新築の省エネ住宅を購入した場合にポイントが付与され、受け取ったポイントは家電や雑貨などと交換できる。
総務省の住民基本台帳人口移動報告によると、東京は10月まで4カ月連続で人口流出が続いている。テレワークができる環境が整いつつあり、移住者が増えている。
さらに、政府は移住しない人についても、省エネに対応した住宅の購入やテレワークなどのためのリフォームにポイントを付与する制度を導入する。家族の人数などの条件を調整中で、最大で100万円分を受け取れる見通しだ。
政府は2019年10月の消費増税時にも景気対策として「次世代住宅ポイント制度」を創設した。省エネや耐震に優れた住宅の新築や改築に対しポイントを付与し、2020年8月末時点までで約45万戸を支援した。
新設の住宅着工戸数は10月まで16カ月連続で前年同月比で減少した。マイナスが続く期間はリーマン・ショック後と並ぶ長さだ。住宅購入にポイントを付与することで住宅市場の活性化も狙う。

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