1. 10月の新設住宅着工、前年比8.3%減 市場予想9.3%減


国土交通省が11月30日発表した建築着工統計調査によると、10月の新設住宅着工戸数は前年同月比8.3%減の7万685戸だった。16カ月連続で減少した。QUICKがまとめた市場予想の中央値は9.3%減だった。
うち持ち家は6.1%減の2万3,013戸で、15カ月連続で減少した。貸家は11.5%減の2万6,043戸と、26カ月連続で減少した。分譲は9.6%減の2万706戸と12カ月連続で減少した。


2020年(令和2年)10月の新設住宅着工戸数


利用関係別 戸数 対前年同月増減率
総数 70,685戸 Δ8.3 %
持家 23,013戸 Δ6.1 %
分譲住宅 20,706戸 Δ9.6 %
貸家 26,043戸 Δ11.5 %

 

2. 大和ハウス、2021年3月期純利益上振れ 米住宅販売堅調

大和ハウス工業は11月11日、2021年3月期の連結純利益が前期比44%減の1,300億円になりそうだと発表した。55%減としていた従来予想から250億円引き上げた。新型コロナウイルス感染の影響が想定より早く収束しつつあり、米国の住宅販売が好調なことも計画の上振れに寄与する。年間配当は従来計画より20円多い110円(前期は115円)にする。
売上高は9%減の4兆円を見込み、従来予想から3,500億円引き上げた。戸建てや賃貸住宅、商業・事業施設など、ほぼすべての事業で上振れする。
最も大きいのが戸建て住宅で、当初計画比で1千億円増の5,100億円とした。コロナ禍により住宅展示場の一時閉鎖や営業活動の自粛などの影響はあったが、米国で都心から郊外に住宅を求める動きが広がっているといい、米子会社の住宅販売が好調に推移する。
ホテル建設の出店延期や計画変更、フィットネスクラブの利用者減などコロナ影響は依然残るものの、「巣ごもり消費」の拡大を受けた物流施設の開発加速も寄与する。
ただ、同日開いた決算会見で芳井敬一社長は2022年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画については「置かれている環境が(策定当時とは)まったく違う」として見直す考えを示した。2022年3月期に連結売上高で4兆5,500億円、純利益で2,670億円という目標は取り下げる。次期中計については期間を3~5年に延ばすことも検討していると明らかにした。
同日発表した2020年4~9月期の連結決算は純利益が前年同期比38%減の913億円、売上高は10%減の1兆9,664億円だった。4~9月期としての減益は12期ぶりとなった。

3.住友林業の今期、純利益9%減に上方修正 米国で住宅販売好調

住友林業は11月12日、2020年12月期(4~12月)の連結純利益が前年同期比9%減の205億円になりそうだと発表した。従来予想の110億円から上方修正した。低金利などを背景に米国の住宅販売が好調で想定を上回る。
同社は今期に決算期を3月末から12月末に変更したため、今期は9カ月間の変則決算となる。売上高は同2%増の8,210億円、営業利益は9%減の350億円を見込む。従来予想はそれぞれ7,770億円と225億円だった。
米国では低い住宅ローン金利や、中古住宅の供給不足などを背景に住宅販売が好調だ。新型コロナウイルスの感染拡大で在宅時間が増え、住環境を見直す動きも売り上げを押し上げているという。木材・建材販売や国内のリフォーム事業などの苦戦を補う。
同日発表した2020年4~9月期の連結決算は、売上高が前年同期比1%減の5,259億円、純利益は同29%増の162億円だった。米国とオーストラリアの住宅販売戸数が計5,888戸と同28%増えたことがけん引した。

4.住友不動産、最終益5%増 2020年4~9月期 オフィス好調

住友不動産の2020年4~9月期の連結純利益は前年同期から5%ほど増え、980億円前後になったようだ。6期連続で同期としての最高益を更新する。主力のオフィスビルの賃貸や分譲マンションの販売が堅調だった。競合に比べて売上高に占めるホテルや商業施設事業の比率が低く、新型コロナウイルス禍での営業自粛による減収を補った。
売上高は1割程度減り、5,200億円前後となったもようだ。営業利益は前年同期(1,375億円)と同水準になったとみられる。2021年3月期は販売を予定する分譲マンションの戸数が少なく、4,500戸と前期実績から2割減ることが影響する。4~9月期もマンション事業は減収だったが、販売価格が上がって利益率が高まった。
オフィスビルの賃貸事業も堅調だった。東京都千代田区に新設したビルが5月に満室で稼働した。前期に竣工した千代田区や新宿区内のビルなども入居率が高い。都心部の大型ビルを中心に賃料収入を伸ばしている。
新型コロナの感染拡大による在宅勤務の拡大で入居する企業が都心のオフィスを縮小する動きは足元では見られない。11月下旬には東京・虎ノ門の日本たばこ産業(JT)の旧本社ビルを数百億円規模で購入するなど、オフィスビル事業で積極投資を続けている。
特別利益も増益に寄与する。6月に中国の大連市でマンションを開発する現地企業との合弁会社の持ち分の株式を売却し、約120億円の特別利益が発生した。
ホテル事業や貸会議室などのイベントホール事業はコロナ禍で低迷した。不動産の仲介事業の営業も一時的に自粛したほか、住宅のリフォームや注文住宅の受注も滞った。ただ、住友不は売上高に占めるホテルや商業施設の割合が他社と比べて低く、コロナ禍による傷が浅かった。
前期の賃貸収入に占める商業施設の割合は「ららぽーと」などを展開する三井不動産が約4割、アウトレット施設などを手掛ける三菱地所が約2割だった。一方、住友不が手がける大規模商業施設は6月に開業した「ショッピングシティ 有明ガーデン」(東京・江東)が初めてだ。ホテルの室数も約3,500と、三井不の約1万室と比べると少ない。
4~9月期の決算発表は11月12日を予定する。2021年3月期通期では連結売上高が前期比13%減の8,800億円、純利益は8%減の1,300億円となる業績予想を5月に公表している。オフィスビル事業の好調などで上振れする公算が大きい。

5.オープンハウスのLDK+W、戸建てで1,600万円台

戸建て住宅が主力のオープンハウスは仕事場付き戸建て住宅の販売を始めた。間取りは名付けて「LWDK」。「リビング・ダイニング・キッチン」を略した従来の「LDK」に仕事場を示す「W(ワークスペース)」を足した。新型コロナウイルスの感染拡大で始まった在宅勤務が定着するとみて、仕事場の機能を持つ戸建てを普及させる。
子会社のオープンハウス・アーキテクト(東京都立川市)が取り扱う。従来の生活空間に加え、仕事用の空間を備える。同社の平均的な戸建ての延べ床面積は約100平方メートル(3LDKに駐車場付き)で約1,650万円(土地代を含まず)。これに15万~40万円を足せばよい。同社が請け負う戸建ての注文住宅や分譲住宅に導入する。
自宅で働く場合は食卓や寝室の机など生活空間で作業せざるを得ない。同社が実施した調査では、テレワークをする人の6割はリビングで仕事をしていた。一方で家に専用の仕事場を持ちたい人が4割、リビングに仕事空間をつくりたい人が3割いた。
だが仕事専用の部屋を持つのは費用がかさむ。そこで部屋というほどの規模ではないが仕事用の空間を備える、LWDKの間取りを用意した。
LWDKでは3種類の空間の形を提案する。1つは壁際にカウンター型の机を置く「オープン」(約3.6平方メートル)タイプ。仕事中でも振り返れば家族と話せるので、育児をしながら働く人らの需要を狙う。昼間は仕事場、夕方からは子供の勉強机など時間ごとに使いわけられる。
2つ目は半個室型の「セミオープン」(約5.5平方メートル)タイプだ。収納棚などで仕事場を仕切るが、壁や扉で完全には閉じない。仕切りがあるので家族が仕事場に立ち入らないよう促せる。仕事場と生活空間に境界をつくりたい人の需要を見込む。
完全個室型の「クローズド」(約5.5平方メートル)タイプもある。リビングなどの一角を充てるので、家の面積を増やさず個室を確保できる。壁には室内窓があり、外に面していない間取りでも採光できる。生活音を遮断しつつ、密室の圧迫感を与えない。
在宅勤務に適した商材をそろえ、湿度調整などの機能がついた壁紙も用意した。個室は空気がこもりやすいという顧客の声を受けた商品で、ウェブ会議で映っても支障がない簡素なデザインにした。
同社は首都圏や愛知県を中心に、分譲や注文の戸建て住宅の設計・施工などを手掛ける。2021年9月までに「注文住宅の5割、分譲住宅の2割にLWDKを導入したい」(同社)という。カタログなどにも「2LWDK」「3LWDK」などと記載し、新常態の間取りを広める。

6.新築一戸建て、販売伸びる 飯田GHDは2ケタ増
コロナで在宅機会増加 広さ求める

新型コロナウイルスの流行で新築一戸建て住宅の需要が伸びている。在宅勤務の普及で仕事用の部屋の確保のしやすさなどが評価されている。建売住宅最大手の飯田グループホールディングス(GHD)は4~9月の販売棟数が前年同期比で1割増え、10月以降も2桁の伸びが続く。ただ景気の冷え込みで個人所得は減少傾向。好調な販売が続くか見通しにくい。
飯田GHDの販売棟数は緊急事態宣言が発令された4月は前年同月割れだったが、5月以降プラスに転じた。10月以降も前年同月比で約20%増の勢いが続く。
購入層は子どもがいて初めて住宅を取得する30代が6~7割を占める。最寄り駅から徒歩10~15分ほどの物件やバスを利用するなど、「駅近」とは言えない立地でも成約がみられる。都内では延べ床面積90平方メートル程度で4千万円弱が中心価格帯だ。
不動産経済研究所(東京・新宿)によると、4~9月の新築マンションの専有面積の単価は東京23区で1平方メートル121.9万円。23区外は同84.7万円。建築費などの上昇でマンション価格が高止まりするなか、飯田GHDは割安感のある価格で需要を集めつつある。同社の西野弘常務取締役は「戸建ては1階と2階に空間を分けられ、日常生活とは別に仕事用の空間を作りやすい」と話す。
国土交通省の調査では、一戸建て分譲住宅(建売住宅)の着工は2019年が約14万戸。約28万戸の一戸建て持ち家(注文住宅)の半分だ。ただ地価が高い首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)は持ち家が約5万6千戸に対し分譲は約6万3千戸、住宅市場での存在感は大きい。
首都圏を中心に建売住宅などを手がけるオープンハウスの販売も4月は39%減だったが、5月は43%増と大幅なプラスに転じた。7~9月は前年同期比で48%伸びた。
同社は駅から比較的近い50平方メートル程度の狭い土地に3階建て住宅を建てるのが特徴。延べ床面積は90平方メートル程度が多く4,500万円前後が中心だ。主な購入者層は飯田GHDと同じく30代だ。今後は未開拓だった関西圏で戸建てを供給する方針だ。
新型コロナの流行で自宅で過ごす時間が増え、居住空間の広さを求める消費者が目立つ。同社の都内の建売住宅の購入者からは「在宅勤務が増えることを見越し、書斎などが作りやすい戸建てを選んだ」(30代男性)、「子どもたちが遊びやすい広いリビングが欲しかった」(30代女性)といった声が聞かれる。
東京カンテイ(東京・品川)によると首都圏の新築分譲一戸建て(木造、土地面積100平方メートル以上300平方メートル以下)の発売戸数は、9月まで12カ月連続で前年同月を上回った。特に新型コロナの流行が深刻化した4月以降は伸びが目立つ。6月は前年同月の3倍に達した。10月は前年を下回ったものの前月並みを維持する。
注文住宅に強い大手も同様だ。積水ハウスは10月の戸建て受注は速報ベースで注文住宅が前年同月比4%増、分譲住宅は同45%増となった。「在宅勤務など、コロナ禍での新たなライフスタイルなどの需要がある」と担当者は話す。
住友林業の戸建て注文住宅の受注(金額ベース)は3月以降、前年同月を下回って推移したが、9月が同40%増、10月も11%増えた。「商談では書斎やテレワークスペースへの需要が多い」(担当者)
根強い戸建てへの需要について、東京カンテイの井出武・上席主任研究員は「販売は引き続き好調だが、供給し過ぎで調整局面が訪れるかもしれない」と指摘する。
冬の賞与の減額や不支給が相次ぎ、個人所得の落ち込みで購入マインドが冷える可能性もある。飯田GHDはスーパーに近いなど利便性が高く、売れ残りにくい用地の仕入れを進める。在庫管理など、需要の急減に目配りした戦略も必要になりそうだ。

7.住宅ローン減税、「40平方メートル以上」に対象拡大案 政府・与党

2021年度税制改正の焦点である住宅ローン減税の見直しをめぐり、減税対象となる物件の面積要件の緩和案が浮上した。政府・与党で議論し、結論が得られれば今年12月にまとめる与党税制改正大綱に盛り込む。現在は戸建て、マンションを問わず床面積50平方メートル以上が要件。これを40平方メートル以上に対象を広げる案を軸に検討する。
住宅ローン減税は10年間にわたり、住宅ローン額の1%を所得税から控除する仕組み。現在は特例措置として、2020年12月までに入居すれば、13年間の控除が受けられる。
財務省と国土交通省はこの特例を延長し「2021年9月末までに契約、2022年末までに入居」の場合でも、控除の適用が受けられる案を調整している。
これに加え、国交省は面積要件の緩和も要望した。政府・与党が議論する。要件緩和に関して政府内で「必要な措置だ」として財務省に強く対応を求める声がある。
従来の要件である床面積50平方メートル以上は、3人家族で住む3LDKのマンションなどを主な対象に想定していた。投資目的の小規模マンションなどを減税対象から除く狙いがあった。
業界団体は、夫婦が2人で住む場合などに40~50平方メートル程度の物件を検討することも多く、税制面で後押しすべきだと主張している。
財務省は現行制度の見直しも主張している。現在は「所得が3千万円以下」となっている住宅ローンの適用要件の厳格化や、1%の控除率が適切かどうかについても与党に議論を求めている。ただ新型コロナウイルス禍で「制度改革に踏み込むのは難しい」(自民党税制調査会幹部)との声がある。

8.新型コロナで収入急減 住宅ローン減免の新制度

新型コロナウイルスの影響で収入が減った人の、住宅ローンなどの債務の返済負担を減らす新制度が12月1日に始まった。無料で専門家の助言を得られ、信用情報に傷を付けずにローンを整理できるなど利点は多い。ローンの返済に行き詰まった人には朗報となるかもしれない。
新制度は地震や豪雨などで被災した人のローンを減免するガイドラインが基になっている。今回、対象となるのは新型コロナの影響で失業したり収入が減ったりして、ローンの返済が難しくなった人。対象となる債務は、2020年2月1日以前に借りた住宅ローンやカードローン、事業性ローンなどと、2月2日~10月30日に新型コロナ対応を主な目的として借りたお金だ。借りている人が2月1日以前に複数回滞納するなど一括返済を求められるような契約違反がないことなども条件になる。また、「減収の程度も利用可否に影響する」(日本弁護士連合会災害復興支援委員会幹事の亀山元・弁護士)。
新制度の一番の利点は債務整理をしても、その事実が信用の面でマイナスにならないこと。いわゆる「ブラックリスト」に載らないため、生活を再建した後に新たな借り入れやクレジットカードの契約などがしやすい。無料で弁護士ら専門家の支援が受けられる点も使いやすいといえる。また、「破産するより多い額を手元に残せる可能性がある」(亀山氏)という。
コロナ禍を受けて金融庁は金融機関に対し、住宅ローンの返済が難しくなった人への柔軟な対応を求めている。実際には収入が急減した人などに対し、当面、返済を利息のみとする「元金据え置き」などが実施されている。ただ、こうした対応は原則、収入が回復するまでの猶予策で、債務額が減るわけではない。新制度は債務減免の可能性もあることが大きな違いだ。
新制度で減免を受ける場合、債務が住宅ローンだけなら自宅を売ることが前提になる。売却して得た資金のほか、預金なども一部を除いて返済に充てる。それで不足した分が減免の対象になる。自然災害なら自宅は居住できないことが多く、売却は受け入れやすい。だが、コロナ禍では処分に抵抗がある人は多いとみられる。
亀山氏は「自宅を残したい人は、まず金融機関と交渉し住宅ローン返済を続ける。その後、返済が苦しくなったら新制度へ切り替える手もある」と話す。住宅ローン以外にカードローンなどもある場合は、住宅ローンは通常返済を続ける一方、ほかの債務について預金と相殺するなどしたうえで、減免を受けるといったことも選択肢になる。預金などは大きく減るが、自宅の処分は免れる。
新制度を使う場合は、まず借りている銀行などへ自分で申し出る。すると、支援をする弁護士ら専門家が決まり、債務の返済や整理について金融機関との交渉や必要な書類作成などに協力してもらう。最終的に銀行などと協議がまとまれば、簡易裁判所へ特定調停を申し立て、債務の減免などを受けられる。
実際に債務の減免などができるかどうかとは関係なく、金融機関に申し出れば無料で専門家の助言を受けられる。「支援する専門家が決まれば、新制度の手続きの利点と注意点を含めて助言ができる」(亀山氏)ので、迷ったら、まず申し立ててみるのも一案だ。

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