1. 9月の新設住宅着工、前年比9.9%減 市場予想は8.6%減


国土交通省が10月30日発表した建築着工統計調査によると、9月の新設住宅着工戸数は前年同月比9.9%減の7万186戸で、15カ月連続の減少だった。QUICKがまとめた市場予想の中央値は8.6%減だった。
内訳をみると、持ち家は7.0%減の2万2,337戸で、14カ月連続で減少した。貸家は14.8%減の2万5,053戸で25カ月連続の減少だった。分譲は7.8%減の2万2,159戸と、11カ月連続で減少した。


2020年(令和2年)9月の新設住宅着工戸数


利用関係別 戸数 対前年同月増減率
総数 70,186戸 Δ9.9 %
持家 22,337戸 Δ7.0 %
分譲住宅 22,159戸 Δ7.8 %
貸家 25,053戸 Δ14.8 %

 

2. 大和ハウス、戸建てに抗ウイルス加工

大和ハウス工業は10月29日、戸建て住宅への抗ウイルス加工の提案を11月1日から始めると発表した。奈良県立医科大学などと共同で抗ウイルス効果を確認したコーティング材を住宅の床や壁、天井などに吹き付ける。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて除菌などへの意識が高まっていることに対応する。
光触媒の作用などでウイルスに対して99%以上の抑制効果があるというコーティング材を吹き付ける。戸建て購入者にオプションとして提案する。12月25日までに売買契約を結ぶと、特別価格の11万円で提供する。

3.トヨタ自動車とパナソニック、愛知・みよしで大型分譲 災害や再エネ重視

トヨタ自動車とパナソニックの住宅事業を統合した新会社、プライムライフテクノロジーズ(PLT、東京)は10月14日、愛知県みよし市で、防災機能を高めた先進一戸建ての分譲地「MIYOSHI MIRAITO(みよし みらいと)」を公開した。新型コロナウイルス下で経済の先行き不透明感は強いものの、中部では郊外を中心に再開発が相次いでいる。
PLTが今回手掛ける住宅は愛知大学名古屋キャンパス跡地の高台に位置する全288区画(計19ヘクタール)で、10月17日に街開きを迎える。全戸に太陽光発電設備があるほか、非常時に電気自動車(EV)などの電力を家庭で使えるシステムが特徴だ。
分譲地の中心にEVなどの電力を使えるコミュニティセンターを設けた。同センターは太陽光パネルや蓄電池も備えている。住民は災害時に一定期間エネルギーを自力で供給しながら、避難することができる。
各住宅では、EVやハイブリッド車(HV)の電力を家庭で使えるシステムをオプションで用意する。太陽光パネルも設置して、住宅での実質的なエネルギー収支がゼロになる「ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)」普及につなげる。
PLT傘下のトヨタホーム(名古屋市)やパナソニックホームズ(大阪府豊中市)などがそれぞれ住宅を建設し販売する。住宅価格は建て売りで約5,500万円から。
トヨタホームの佐藤雅英西エリア戦略室長は「災害時でも安心して暮らしたいという顧客のニーズに応える」と話す。

4.住宅に残価設定ローン、返済負担を軽減 官民で開発

毎月の返済負担を軽くする新たな住宅ローンの開発に官民が乗り出す。国土交通省は住宅購入時の借入額と将来的な住宅価値の差額のみを返済する「残価設定型」のローンの普及に向け、2021年度にも民間の金融機関が参加するモデル事業を始める。
残価設定ローンは借入額と将来の住宅価値の差額のみを返す仕組みだ。将来の残価をあらかじめ設定し、住宅価格から差し引いた額を分割して返済する。ローンが満期を迎えた際は(1)残価で住宅を買い取る(2)再度ローンを組む(3)家を売却する――といった複数の選択肢がある。家は残価で買い取ってもらえるため、売却すればローンは完済となる。
借り手にとっては毎月の返済額を低く抑えられるのが最大のメリットだ。自動車では一般的な仕組みだが、住宅ローンでは昨年11月に新生銀行が取り扱いを始めた程度で普及していない。
国交省は来年度に金融機関や業界団体などから提案を募り、残価設定ローンの推進に向けたモデル事業を実施する。試行的な取り組みだけではなく、市場への投入を前提としたプロジェクトの費用を助成して普及につなげる。
残価設定ローンが広がらない背景には日本の特殊な住宅事情がある。日本の住宅は「建築から20~25年が経つと資産価値がほぼゼロになる」と言われてきた。風雨や湿気で住宅の劣化が進みやすいこともあるが、金融機関に建物の良質性を評価できる経験や知見が乏しい点も大きな理由だ。
モデル事業では残価設定の肝になる将来的な住宅価値を評価する手法の研究費用や、建物の質に応じた融資額の設定方法などを特に重視して助成する方針だ。
欧米では中古住宅の流通シェアが7~8割強に達する国もある中で、日本は10%台半ばの水準にとどまる。住宅の質に応じた市場での評価を測ることができないため、そもそも残価を設定することが難しい。
住宅を巡る環境は少しずつ変わってきている。質の高い物件を認定して税優遇などを与える「長期優良住宅」は、制度開始から10年が経過して年間の新築一戸建ての供給戸数のうち25%ほどが認定を受ける。質の高い住宅が一定割合普及し、残価設定ローンが使える環境が整ってきている。

5.住宅ローン減税特例、2年延長へ 
2022年入居まで、財務・国交省調整 小規模物件も検討

財務・国土交通両省は消費増税対策として導入した住宅ローン減税の特例措置について、適用対象となる入居期限を2年延長する方向で調整に入った。新型コロナウイルスの感染拡大もあり、住宅販売のテコ入れが必要とみている。政府内には小規模な物件を優遇の対象に含めるよう求める意見もあり、今後与党と詰める。
こうした案は与党税制調査会が2021年度の税制改正に向け議論し、12月にまとめる与党税制改正大綱に盛り込む。
住宅ローン減税は、10年間にわたり住宅ローン額の1%を所得税から控除する仕組み。2019年に消費税率を10%に引き上げた際に特例措置を導入し、2020年12月までに入居すれば、13年間の控除が受けられる。
これとは別に、新型コロナを受け、今年9月末までの契約などを条件に、2021年末までの入居者に同じ特例を認める弾力化措置も設けている。
財務・国交両省はこうした特例を延長し「2021年9月末までに契約、2022年末までに入居」の場合でも、控除の適用が受けられる案を軸に調整する。
消費増税時の特例を延長するのは異例だが、政府内にはコロナ感染拡大を受け、住宅販売が今後低迷すると懸念する声が強い。国交省と住宅業界は契約から入居まで一定の時間がかかるため、税制優遇の延長を要望していた。マンションなど今年契約しても、入居は数年先になる物件も多い。
自民党税制調査会の甘利明会長は10月14日のインタビューで「(家計などが)税を払う体力が極めて落ちている」と指摘。住宅や自動車の購入時の税負担を軽減する意向を示した。当初反対していた財務省も一定程度の延長を容認する姿勢に転じたもようだ。
住宅ローン減税は、住宅の床面積「50平方メートル以上」を要件としている。政府はこの面積要件も緩和し、より小さな物件でも対象に含める案を検討する。これまでは家族で住むことが多い3LDKなどが適用されてきたが、夫婦のみで住むような小規模住宅の需要が増えるとして、国交省が要件緩和を求めている。
住宅ローン減税には、控除を受ける年の合計所得金額を「3千万円以下」とする所得要件がある。対象範囲が広くなっており、今後見直しが議論される可能性もある。
国税庁によると、2018年の住宅ローン控除の適用者は24万8千人。国交省が9月30日に発表した8月の新設住宅着工戸数は、前年同月比9.1%減の6万9,101戸だった。住宅展示場の来場者が増えるなど持ち直しの兆しもあるが、着工戸数は14カ月連続の減少と厳しい状況が続いている。

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