1. 7月の新設住宅着工、前年比11.4%減 コロナ禍で展示場閉鎖


国土交通省が8月31日に発表した建築着工統計調査によると、7月の新設住宅着工戸数は前年同月比11.4%減の7万232戸と13カ月連続で減少した。持ち家、貸家、分譲住宅とも減少した。QUICKがまとめた市場予想の中央値(12.5%減)より減少幅は小さかった。季節調整済みの年率換算値では前月比4.8%増と、2カ月ぶりに増加した。
持ち家は13.6%減の2万2,708戸と12カ月連続で減少した。新型コロナウイルス感染症の拡大で展示場の客足が鈍り、閉鎖になったことなどが響いた。
貸家は8.9%減の2万7,684戸と23カ月連続で減少した。金融機関による融資条件の厳格化で「民間資金による貸家」が38カ月連続で減少した。
分譲住宅は11.8%減の1万9,359戸と9カ月連続で減少した。内訳は、マンションが2.9%減の8,352戸、一戸建て住宅は17.2%減の1万820戸だった。


2020年(令和2年)7月の新設住宅着工戸数


利用関係別 戸数 対前年同月増減率
総数 70,232戸 Δ11.4 %
持家 22,708戸 Δ13.6 %
分譲住宅 19,359戸 Δ11.8 %
貸家 27,684戸 Δ 8.9 %

 

2. 大和ハウス、3階建て戸建て住宅新商品 狭小地に対応

大和ハウス工業は9月1日から、首都圏や大阪府など都市部の狭小地に建てられる3階建て戸建て住宅の新商品を発売する。構造や設計を工夫し、限られた敷地を最大限活用できる。少子高齢化を背景に国内の住宅着工戸数が減る中でも、3階建ての戸建て市場は拡大しているという。年間350棟の販売を目指す。
重量鉄骨造の「skye3(スカイエスリー)」を発売する。構造と設計の工夫で、敷地の形状に合わせられるようにした。柱と梁(はり)の接合部分を鋼板で補強して強固にし、地震時の揺れを抑える制震パネルを搭載した。開放的なデザインを実現できるという。
沖縄県や一部地域を除いて全国で販売し、本体工事の参考価格は1坪(約3.3平方メートル)あたり89万9千円(税別)。同社の戸建て住宅のうち3階建て以上の割合は5%だが、新商品の投入などで2021年度には7%まで引き上げる計画だ。

3.住友林業、一時18%高 米戸建て販売増を好感

8月13日の東京株式市場で、住友林業株が大幅に続伸した。一時前日比245円(18%)高の1,609円と、今年3月2日以来の高値をつけた。8月12日に発表した4~6月期連結決算で、純利益が前年同期比10倍の57億円と同期間として過去最高となり、通期の業績予想も上方修正した。住宅ローン金利の低下を背景に、米国で戸建て販売が好調だった。事業改善を好感した買いが集まった。
終値は215円(16%)高の1,579円。値上がり率は東証1部全体の4位に入り、売買代金は前日の2.6倍に膨らんだ。
売上高は4%増の2,455億円、営業利益は2倍の92億円だった。米国では5月以降に戸建て販売が急回復した。国内は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、リフォームや不動産仲介が苦戦したものの、米国の好調が補った。
前期にニュージーランドの山林火災で計上した特別損失がなくなったことも純利益を押し上げた。auカブコム証券の河合達憲氏は「足元の好業績が素直に評価された」と話す。
もっとも、新型コロナの影響が本格化する前の2月14日に付けた年初来高値(1,752円)はまだ遠い。住友林業は今期から決算期を変更したため、9カ月間の変則決算となる。上方修正した業績予想を12カ月分に計算し直した経常利益は約320億円と、2020年3月期(588億円)に比べて4割強低い水準だ。
8月11日からの3日続伸で、終値比較ではこの間の上昇率が28%に達した。市場からは「ここから上値を追うには厳しい利益水準だ」(国内証券)と指摘する声も聞かれた。

4.ナイス、「防災の家」開発 災害対策設備も装備

住宅関連事業を手がけるナイスは耐震性や耐風性が高く、災害対策設備を備えた木造注文住宅「防災の家」を開発した。自然災害が頻繁に発生していることから、需要が見込まれると判断した。
オリジナルの接合金物と集成材を組み合わせた工法で耐震性を高め、制震装置を設置し、揺れ幅を軽減した。引き違い窓には耐風シャッターを装備し、台風でも風圧に耐え、雨の浸入を防ぐ小窓を採用した。
屋根材には一般的な陶器瓦の半分の重量の瓦を使い、建物の重心を低く抑えることで地震の揺れを軽減する。震度5強相当以上の揺れを感知すると自動でブレーカーを遮断し、漏電による火災を防ぐ。
また、ライフラインが途絶えた場合に備え、太陽光発電、蓄電池、燃料電池を連携させ、電力と給湯を確保する。貯水タンクを天井裏か床下に設置することで、最大36リットルの飲料水をまかなうことができる。
必要に応じて装備を選択することが可能。工法は標準仕様で、制震装置、アルミ樹脂複合窓、防災安全ガラス、耐風シャッター、軽量な屋根材を選んだ場合、本体価格に約250万円の上乗せとなる。

5.オープンハウス、テレワークが促す攻めの財務

戸建て住宅分譲を手がけるオープンハウスが「攻め」の姿勢を強めている。7~8月に公募増資で約440億円を調達。都心部を中心とする戸建て住宅の開発を加速させる。新型コロナウイルスの感染拡大が喚起したテレワーク需要が積極戦略の背中を押している。
「もう1部屋、2部屋欲しいという声が増えている」。オープンハウスの若旅孝太郎取締役は話す。テレワークと通勤を組み合わせた新しい勤務体制が広がるなかで、家庭で仕事に集中したり、仕事中に子どもを遊ばせたりするための部屋のニーズが増加。SBI証券の小沢公樹シニアアナリストは「テレワークの広がりで戸建てへの関心は高まっており、価格の安さもありマンションから需要がシフトする」と話す。そのなかで、通勤にも対応できる首都圏都心部の土地の仕入れに強みを持つオープンハウスの戸建ての契約件数が増えている。
営業自粛の影響があった4月は前年比で4割減だったが、5月は4割増に転じ、6月は5割増となった。大手ハウスメーカーの戸建て住宅受注が軒並み前年割れを続けるなかで、オープンハウスの好調ぶりが際立つ。
2020年9月期の連結純利益は前期比50%増の590億円と、8期連続の最高益を見込む。業績拡大を受けて攻めの戦略を加速する。7月には公募増資で国内外から約440億円を調達すると発表した。都心部を中心とした住宅開発や、さらなる事業拡大に向けたM&A(合併・買収)を見据えた意味合いもあるという。
思い切った財務戦略をとれるのは、足元の好調だけでなくオープンハウスの資本効率の高さが背景にある。2019年9月期の自己資本利益率(ROE)は32%。同業の飯田グループホールディングス(GHD)の7%(2020年3月期)を大きく上回る。オープンハウスの増資後に資本が厚くなったことを加味した今期の予想ROEも約30%。同社が目標に掲げる値とほぼ同水準を維持する見通しだ。
オープンハウスのROEの高さの理由を探ってみた。ROEは売上高純利益率と総資産回転率、財務レバレッジに分解できる。利益率ではオープンHが7%、飯田GHDが4%とオープンHが上回る。この差は販売費・一般管理費(販管費)による部分が大きい。売上高に対する販管費の比率は飯田GHDの9%に対してオープンHは6%。オープンHは売買仲介などの支払手数料や広告宣伝費、人件費が売上高に対して比較的少ない。土地の仕入れから販売までを自社で完結させ、外部へ支払う経費を抑えている。
総資産回転率もオープンHが1.29回で飯田GHDの0.96回を上回る。オープンHの住宅開発は都心の狭小地を仕入れ、1つの現場当たり平均2棟を建築して販売するビジネスモデル。営業人員がきめ細かく地場の不動産会社などを回り、土地の情報をいち早く仕入れるのを強みとしている。営業拠点は都市部に集中しており、「体育会系」(荒井正昭社長)と自認する積極的な営業にネット広告も活用して効率的な販売につなげている。
土地の仕入れなどで手間のかかる狭小地の開発には大手は参入しづらく、逆に小規模企業では資金のやりくりが難しい。現状では「大きな競合はいない」(オープンHの若旅取締役)という。
今後は西日本の開拓もうかがう。5月には関西圏が地盤のプレサンスコーポレーションに約3割を出資して持ち分法適用会社とした。情報網を強化して営業基盤を広げる。
ただ公募増資発表後の株価はさえない。足元の株価は7月の上場来高値を約2割下回り、増資による株主価値の希薄化を織り込んだ水準にある。投資家がオープンHの成長戦略に確たる自信を持てていないことがうかがえる。「テレワーク特需」やプレサンスへの出資を持続的な成長につなげる道筋をどう示せるかが、最高値更新のカギになりそうだ。

6.静岡LPガス大手、防災住宅に注力 生活サービス強化

静岡県を中心にLPガス事業を手がける大手2社が災害に強い住宅に力を入れている。TOKAI(静岡市)は電力や水道が遮断されても生活を維持できる住宅を開発。鈴与商事(同)は停電時も電源を確保できる住宅の普及に力を入れる。
7月初め、静岡市内に防災・省エネ機能を備えたZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)のモデルハウスが登場した。鈴与グループの商社である鈴与商事が、注文住宅の納得住宅工房(静岡県富士市)と共同で設けた。両社が静岡県内に設けるZEHのモデルハウスは3棟目だが、従来に比べて防災機能を高めた。
万一、水害で1階が水没し停電しても、2階に設けた出力6.5キロワット時の蓄電池と居間などにある非常用コンセントで冷蔵庫やテレビ、電話、照明などを19時間使える。屋上にある太陽光発電システムやLPガス発電設備を使えば、さらに長時間の電力供給が可能だ。
LPガスなどエネルギー事業を手がける鈴与商事が省エネ・防災住宅を手がける狙いについて、加藤正博社長は「省エネを無視していては顧客の理解は得られない。LPガスの国内消費が漸減するなかで、住宅で省エネを訴えて新たな顧客を獲得したい」と語る。
資源エネルギー庁によると、国内のLPガス需要は1990年代の年間1,900万トンをピークに近年は年間1,400万トン台に減った。顧客獲得競争は激しく、各社はLPガスの顧客である家庭向け生活サービスを強化してきた。その象徴がエネルギー事業のノウハウを活用した「住宅」だ。
「水も電気も自給自足できる住宅を当選者(1人)は1,000万円で建築できます」。TOKAIは8月16日まで、昨年7月に発売した「OTSハウス」の一周年記念キャンペーンを実施した。
OTSハウスは雨水を浄化し生活水を作り出せるほか、太陽光発電と大型の蓄電池を組み合わせて生活に必要な電力をまかなう住宅だ。災害時に電力や水道などのインフラが遮断されても平常時と同じ生活ができる。
TOKAIは70年代から注文住宅事業を手がけてきたが、競争の激化と戸建て住宅市場の縮小で近年は年間30棟程度の販売にとどまっている。2011年から自給自足住宅の開発を始め、静岡県島田市にあるモデルハウスで2018年から実証実験を重ねてデータを収集・検証してきた。
ただ水も電気も完全自給自足するタイプは設置機器が多く、建物価格は最高4,000万円近くと高額だ。そこで設備を簡素化し災害時は3日間自立できる2,500万円台のタイプなどを追加して販売を伸ばす考えだ。
TOKAIグループは「トータル・ライフ・コンシェルジュ(TLC)」を掲げ、エネルギーのほか宅配水やケーブルテレビなど家庭向けサービスを多角化してきた。
OTS事業を担当する鈴木辰麻理事は各地で自然災害が多発する中で「電力も水も自立できる住宅へのニーズは必ずあるはずだ」と新たな需要発掘へ意気込んでいる。

7.住宅ローンを減免 「コロナで生活困窮」対象

金融庁と全国銀行協会などは新型コロナウイルスの影響で収入が激減し、生活難に陥った個人や個人事業主を対象に、住宅ローンの返済を減額・免除する特例措置をつくる。自己破産などの法的措置に頼らず生活や事業を再建できる手段を準備し、深刻な打撃を受けた人へのセーフティーネット(安全網)にする。
新型コロナが雇用に大きな影響を及ぼしていることを受け、金融庁は金融機関に住宅ローンの返済期間を延ばすことなどを要請。住宅金融支援機構が長期固定金利の「フラット35」の返済期間を最長で15年延長するなど各機関が対応している。
同機構では5月から延長などに応じるケースが急増し、月1千件を超えている。こうした返済条件の変更だけでは生活を続けることの難しい困窮者が減免の対象となる。
金融庁が全国銀行協会や日本弁護士連合会などと協議を始めた。全銀協などでつくる民間団体が自然災害に対応する債務整理の指針を運用しており、これを年内にも改正してコロナで苦境に陥った個人などを加える。
減免の対象かどうかや減免の程度、住宅の売却を条件とするかどうかなどは、債務者が金融機関と個別に話し合って決める。財産や債務の総額、収入が途絶えている期間などをもとに判断する。
収入が減っていても金融機関が一時的な返済延期などで対応可能と判断すれば減免しない。
現在の指針は地震や洪水といった大規模災害に遭遇し、災害救助法の適用を受けた場合に債務減免を認める。自宅を失ったり失業したりして住宅ローンや事業性ローンの返済が困難になった場合が対象で、これまで498件の実績がある。
新型コロナでは自然災害のように物理的に自宅を失うわけではないため、適用条件は今後詰める。
債務者に対しては弁護士や公認会計士らが無料で支援をする。中立的な立場で財産目録など必要書類の作成を助ける。
債務整理は破産や民事再生といった裁判所を介した手続きより生活再建を進めやすい。債務を減免されても信用情報が金融機関のブラックリストに登録されず、金融機関の同意を得れば再び住宅ローンを組むこともできる。破産した後に手元に残せる現預金が99万円までなのに対し、債務整理なら最大500万円まで保有できる。
コロナ感染の収束が見通せないなかで資金繰りに苦しむ個人や企業の支援は欠かせない。政府は収入が急減した世帯向けの無利子融資といった支援策を提供している。金融機関にとってローン減免は融資の焦げ付きとなり損失処理が必要になるが、コロナ禍に見舞われた個人などの支援を優先する。

8.太陽光パネル国内出荷量、4~6月は8%減

太陽光発電協会(東京・港)は8月26日、2020年4~6月の太陽光パネル国内出荷量が前年同期比約8%減の約138万キロワットだと発表した。大規模太陽光発電設備(メガソーラー)など売電目的の大型設備向けは増加したものの、住宅向けなどが減少した。新型コロナウイルスによる経済停滞で新規建設が鈍ったとみられる。
住宅向けは約19万キロワットで約32%の大幅減となった。非住宅向けは約2%減の約119万キロワットだった。非住宅向けのうち、オフィスや工場など一般事業向けの出荷量は、約29%減の約40万キロワットだった。太陽光パネルで発電した電気を家庭や企業で自家消費するニーズは根強いものの、足元の新型コロナによる経済停滞で鈍化したとみられる。
一方、非住宅向けのうち、メガソーラーなど500キロワット以上の大型施設向けは約21%増の約79万キロワットだった。経済産業省は、固定価格買い取り制度(FIT)の認定を取得しながら建設が進んでいない案件に対し、FITの権利を失効させる方針を示している。権利を失う前に発電所を建設すべく、太陽光パネルの調達を急ぐ企業が増えたことが出荷増につながったようだ。
国内で太陽光パネルを販売する34社に対して調査し、29社から回答を得た。海外企業の出荷量は前年同期比で29%増加したものの、国内企業は32%減少した。
新型コロナ感染拡大を受け、企業は住宅向け太陽光発電設備の新規顧客獲得が難しくなっている。今後、住宅向け太陽光パネル出荷量のさらなる減少が懸念される。

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