1. 6月の新設住宅着工、前年比12.8%減 持ち家、貸家、分譲の減少続く


国土交通省が7月31日発表した建築着工統計調査によると、6月の新設住宅着工戸数は前年同月比12.8%減の7万1,101戸と、12カ月連続で減少した。持ち家や貸家、分譲住宅とも減少が続いた。QUICKがまとめた市場予想の中央値(13.9%減)よりも下げ幅は小さかった。季節調整済みの年率換算値では前月比2.1%減だった。
貸家は前年同月比13.0%減の2万6,666戸と22カ月連続で減少した。民間資金による着工数が37カ月連続で減少したうえ、公的資金による着工数も3カ月連続で減少した。
持ち家は同16.7%減の2万3,650戸と11カ月連続で減少した。
分譲住宅は同7.7%減の2万189戸と8カ月連続で減少した。マンションのほか一戸建て住宅の減少も続いた。


2020年(令和2年)6月の新設住宅着工戸数


利用関係別 戸数 対前年同月増減率
総数 71,101戸 Δ12.8 %
持家 23,650戸 Δ16.7 %
分譲住宅 20,189戸 Δ 7.7 %
貸家 26,666戸 Δ13.0 %

 

2. 大和ハウス、NYで41階建てマンション開発

大和ハウス工業は米国で分譲マンション事業に参入する。オーストラリアの不動産大手と共同でニューヨーク市中心部のマンハッタンに41階建ての高層物件を開発し、2021年8月に販売を始める計画だ。総事業費は約400億円。日本の住宅不動産大手では国内市場が縮小するなか、かつて撤退した米国を人口増加が続く市場とみて再参入する動きが目立つ。
大和ハウスは米国での開発実績が豊富な豪レンドリースと共同で事業を展開する。新型コロナウイルス感染拡大の中でも底堅い米国の富裕層の需要を取り込む。
高層物件はコロンビア大学などがある閑静な地区で開発する。低層階には教育施設や教職員住宅などを整備する。完成は2023年3月の予定だ。販売戸数は165戸で専有面積は65~315平方メートル。平均販売価格は日本円換算で2億3,000万円ほどを見込む。マンハッタンで別の分譲マンションも開発する計画だ。
日本の住宅不動産大手は1980年代に米国での不動産投資を競ったが、バブル崩壊後に撤退や事業縮小を迫られた。一方、ここ数年は戸建てや賃貸住宅、オフィスビルを中心に投資が再び活発になっている。
分譲マンションでは、三菱地所が米子会社ロックフェラーグループインターナショナルを通じてマンハッタンで開発している。米国の住宅市場は、株高や低金利の住宅ローンなどが追い風となり新型コロナの影響からの回復が早まっている。
大和ハウスは米国で戸建てと賃貸アパート、商業施設を手掛ける。重点市場と位置づける米国事業の2021年3月期の売上高は前期比5%増の1,234億円を見込む。海外全体で2022年3月期に4,000億円の売上高を目指すなか、米国ではマンションも展開し「海外事業の売上高の半分弱まで引き上げたい」(一木伸也常務執行役員)。

3.大和ハウス、奈良工場の建て替え完了 稼働開始

大和ハウス工業は7月16日、住宅部材などを手掛ける主力工場の一つ、奈良工場(奈良市)の建て替えが完了し、本格稼働を始めたと発表した。同工場は日本で初めてのプレハブ住宅専門工場で1965年に操業を開始、老朽化に伴い2013年から約100億円を投じて建て替え工事に取りかかっていた。近畿2府4県や中四国、北陸地方に部材を出荷する。
奈良工場の延べ床面積は約8万4千平方メートルで、4つの工場で構成する。建て替え前の生産品目は外壁パネルなど住宅部材だけだったが、物流施設用などの建築部材も生産できるようにした。生産能力や省エネ性能も高めたという。

4.三井ホーム、共働きで在宅勤務しやすく 一戸建てモデル

三井ホームは共働きの家庭で双方が在宅勤務しやすいように、2種類の仕事スペースを用意した一戸建てモデル「chou chou COOL(シュシュ クール)」の販売を始めた。家族の生活音を気にすることなく仕事に集中したいという需要に応えた。パソコンやスマートフォンを用いて室内の様子を見学できる「バーチャルモデルハウス」も用意した。
家族の状況や仕事の内容に合わせて、柔軟に仕事場を変えることができる。静かな空間で集中したいときに使う完全個室タイプの部屋に加え、子どもの様子をみながら仕事をしたいときに使える半個室タイプの部屋も用意した。
沖縄県を除く全国で展開する。本体工事参考価格は施工床面積約40坪のプランで税別3,109万4,000円。
2010年に発売した人気モデル「chou chou CHARM(シュシュ チャーム)」を、共働き世帯用に改良した。在宅勤務の広がりを受け、家事や育児をしながら在宅で仕事をしやすい部屋を追加。動線も工夫し、家事負担が減らせるようにした。
三井ホームが30~50代の共働きの男女を対象に実施した意識調査によると、約44%が在宅勤務をきっかけに住宅購入やリフォームを検討したと回答した。在宅勤務に適したモデルを投入し、潜在需要を取り込む狙いだ。

5.アキュラホーム、本社のオフィス面積3分の1削減

注文住宅メーカーのアキュラホーム(東京・新宿)は7月16日、2021年2月までに新宿本社のオフィス面積を3分の1削減すると発表した。2023年までに全国のオフィスの7割を郊外へ移転させる。新型コロナウイルス感染拡大を受けて、オフィスのあり方を見直す。在宅勤務の拡大と業務のIT化も進め、経営効率を3割向上させる。
東京都新宿区の高層ビルに置く本社のオフィス面積を現行の990平方メートルから660平方メートルに削減する。支店も含む全国18拠点のオフィスの7割を郊外へ移転する。IT活用や在宅勤務などを活用し、2023年までに再編を進め、賃借料や社員の通勤などの移動にかかる経費を削減する。
4月8日の緊急事態宣言の発令を受け、原則、従業員は在宅勤務とし、現在も本社および支店での在宅勤務率は50%を維持している。
社内の商品開発部門では出張することなくオンラインを活用し世界中の資材・建材メーカーと打ち合わせを行うなど、海外とのやり取りも効率化を進め、働き方改革を進めている。

6.オープンハウス、公募増資などで最大501億円調達

住宅大手のオープンハウスは7月10日、公募増資などで最大で約501億円を調達すると発表した。リモートワークの拡大で主力の戸建ての販売が伸びるなか、調達した資金で販売用不動産の獲得に動く。金融機関からの短期借入金を返済し、財務体質も改善する。
調達資金のうち、約274億円を事業の運転資金に、残りの227億円を三井住友銀行からの借入金の返済に充てる。持ち分法適用会社のプレサンスコーポレーションの株式取得の際に借り入れていた。
公募増資による新株発行は961万7,200株で、主幹事はSMBC日興証券。発行価格は20~27日のいずれかの日程で決める。併せて469万4,500株の売り出しを実施するほか、需要動向により最大68万4,600株のオーバーアロットメントによる追加売りだしも実施する。

7.トヨタウッドユーホーム、コロナ対応の住宅開発

北関東地盤の住宅メーカー、トヨタウッドユーホーム(宇都宮市)は新型コロナウイルスの感染防止や在宅勤務に配慮した住宅を開発した。玄関に洗面台を設けたり、主寝室に作業用スペースを設けたりするなど新しい生活様式に対応した。2020年中に宇都宮市や栃木県鹿沼市にモデルハウスを建設し、見学会などを通じて購入を促す。
同社が5月に社員339人に外出自粛期間中の過ごし方や自宅の改善点などを尋ねたところ、子どもと離れて仕事に集中できる書斎や室内に入る前の手洗い場へのニーズが高かったという。モデルハウスではこうした対応に加え、まとめ買いに配慮した大型の玄関収納なども取り入れた。
外出自粛期間中は住宅購入の動きも鈍ったが、「足元では資料請求やホームページの閲覧が増えつつある」(半田富男常務)。住宅販売は間取りや性能での差別化が難しくなっている。いちはやくコロナに対応した戸建て住宅を投入し受注獲得につなげる。

8.CLT新工法で戸建て住宅 ライフデザイン・カバヤなど

ライフデザイン・カバヤ(岡山市)は社員寮など大型物件向けに開発・使用しているCLT(直交集成板)新工法を使った戸建て住宅を商品化する。社内のフランチャイズネットワーク本部「日本CLT技術研究所」を通じ、8月から埼玉の近藤建設(ふじみ野市)など関東や関西、九州の加盟10社と販売を始める。
販売するのは自由設計に対応できる上級グレードの「THE CLASS CLT」と、2階建て、3階建ての広さ4タイプの「LAMI」。
新工法はLC-core構法といい、高耐力の独自接合金物を活用し、従来のCLT建物に比べて耐震性は同等で、CLTパネル壁の使用量を約50%削減。コストを大幅に抑えることができる。建物のコア構造(スケルトン)と間仕切りなどの内装(インフィル)を分離した構法で、間取り変更などもしやすい。
同社では2015年から社員寮や事務所など大型物件13棟のCLT建築施工に関わってきたが、このうち2017年からは5棟で新工法を活用。住宅向けで「坪単価は80万円前後まで抑えることもできる」(日本CLT技術研究所)という。

9.鈴与商事など、静岡市に防災機能高めた省エネハウス

鈴与商事と注文住宅を手がける納得住宅工房(静岡県富士市)は7月9日、静岡市内に防災と省エネの機能を兼ね備えたZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)のモデルハウスを開設した。消費者の防災・省エネ意識の高まりを受け、新たな顧客開拓の拠点にする。
建設した「静岡共同ZEHモデルハウス」は太陽光発電設備など従来のZEHが備える省エネ機器に加え、停電時に電源を確保できる小型蓄電池と非常用コンセント、LPガスで長時間発電できる発電機を設置した。両社が県内で建設するモデルハウスは3棟目で、従来より防災機能を高めた。
鈴与商事の加藤正博社長は「静岡県内におけるZEHの普及に向けて、納得住宅工房とともに、強いけん引力をもって(住宅の建設を)進めていきたい」と語った。

10.国内住宅建材・設備市場、10年後1割減 リノベの影響

調査会社の富士経済(東京・中央)は国内の住宅建材や住関連設備(家電含む)市場が2030年度に、2018年度比で約10.3%減の3兆8,177億円になると予測した。人口減やリノベーション物件の増加で新設住宅着工戸数が減少するのが要因。一方、高齢者見守りサービスなどを含む、住生活サービスの国内市場は2018年度比で約4割増になる見込みだ。
2030年度の住設建材市場の内訳を見ると、建材市場が2018年度比で23.4%減の1兆1,046億円になる。浴室ユニットやエアコンを含む設備と家電市場は2018年度比が約3.5%減の2兆7,131億円になる見通し。同社は設備と家電について、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」やエネルギー関連の製品が拡大すると見ており、建材市場に比べ落ち込みが少ないと分析している。
住生活サービスの市場は2018年度比で40.9%増の4兆1,861億円になると見ている。暮らしをよくするサービスの需要が高まっていることやスマホの普及でサービスを提供するハードルが下がったこと、提供する企業が増えていることが市場拡大につながるとしている。
同社は建材や設備、家電の「モノ売りだけではなく、IoTの活用や住生活サービスとの連携により、快適な暮らしを提案するコト売りへ市場は変化していくとみられる」という。

11. 4~6月の国内建設受注、コロナで前年比11.9%減

日本建設業連合会(東京・中央)は7月28日、会員企業(95社)の4~6月の国内建設受注高が前年同期比11.9%減の2兆3,220億円だったと発表した。新型コロナウイルスの緊急事態宣言で受発注業務が滞り、全体の7割弱を占める民間企業からの受注額が2割落ちたことが響いた。消費増税を控えた駆け込み需要の反動減が大きかった昨年をさらに下回った。
民間受注工事は21.4%減の1兆5,526億円だった。そのうち製造業から受注した工事は48.5%減の2,850億円、非製造業は10.9%減の1兆2,675億円だった。非製造業では住宅関連の受注減が響いた。
日建連は「在宅勤務の拡大で受注業務が滞り、契約の延期が相次いだ」とみる。感染を防ぐため外出や取引先との対面を避ける企業が増え、交渉が進まずに契約を延期することが多くなった。
受注高1割減はコロナ禍で「健闘」にもみえるが、そうではない。2019年1~3月には消費増税を控えた駆け込み需要があり、受注高は前年同期比40%増となった。その反動で2019年4~6月は16.6%減と大幅に落ち込んでいる。2020年はコロナが響き、本来低かったところをさらに下回った。
今後は景気が冷え込み、発注量がさらに減る可能性もある。日建連によれば「製造業では計画していた工場の建設工事を取りやめる動きも出始めている」。オフィスビルなど大型再開発は「計画の見直しは出ていない」が、全体での年間受注計画は各社とも見通せず、不安要素は多い。
官公庁発注の工事は前年同期比15.4%増の7,523億円となった。国の機関は5.9%増、地方の機関は30.5%増と、ともに増えた。
日銀の6月の全国企業短期経済観測調査(短観)では3カ月先の景況感を示す先行き判断DIが大企業の製造業でマイナス27、非製造業はマイナス14と、景気回復には慎重な見方が強い。「まだ建設投資の計画中止を決めていなくても、様子見している企業は多い」(日建連)。建設各社は民間発注者の判断を注視している。

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