1. 4月の新設住宅着工、前年比12.9%減 減少率は5年ぶり大きさ


国土交通省が5月29日に発表した建築着工統計調査によると、4月の新設住宅着工戸数は前年同月比12.9%減の6万9,162戸だった。10カ月連続の減少で、減少率は2015年1月(13.0%減)以来の大きさだった。減少率は、QUICKがまとめた市場予想の中央値(12.1%減)より大きかった。季節調整済みの年率換算値は前月比12.0%減だった。
持ち家は前年同月比17.4%減の2万1,015戸と9カ月連続で減少した。新型コロナウイルス感染症による外出自粛で住宅展示場への客足が遠のいたことが影響した。
貸家は15.4%減の2万4,976戸で、20カ月連続で減少した。リーマン・ショック後にあたる2008年12月から20カ月連続の減少を記録して以来の長さとなる。金融機関による融資条件の厳格化が影響した。
分譲住宅は3.6%減の2万2,557戸と、6カ月連続の減少だった。一戸建て住宅の着工が減った。


2020年(令和2年)4月の新設住宅着工戸数


利用関係別 戸数 対前年同月増減率
総数 69,162戸 Δ12.9%
持家 21,015戸 Δ17.4%
分譲住宅 22,557戸 Δ3.6%
貸家 24,976戸 Δ15.4%

 

2. 大和ハウス工業、テレワーク型住宅のプラン提案を開始

大和ハウス工業は6月1日、在宅勤務がしやすい注文住宅のプラン提案を始めたと発表した。独自の防音室の技術を採用して音漏れを気にしなくて済むようにしたり、室内窓を設置して家族の気配を感じながら仕事に集中できる空間を設けたりできる。在宅などのテレワーク導入が広がる中、自宅にオフィス機能の一部を補完させるような動きが広がってきた。
防音仕様の「快適ワークプレイス」と、リビングとつなげながら仕事にも集中しやすい空間「つながりワークピット」の2つのプラン提案を始めた。注文住宅を建てる場合に3畳(約5平方メートル)ほどの広さがあれば、採用可能だ。
同社でテレワークを経験した社員に実施したアンケートで仕事の専用空間や、子供の様子を見ながら仕事ができる空間を求める声が多かったため、新たに住宅提案のメニューに加えることにした。物件や条件によって異なるが、目安となる費用は「快適ワークプレイス」が約65万円、「つながりワークピット」が約40万円。
住宅大手ではミサワホームもリビング横の仕事空間の提案を強化するなど、各社が力を入れている。

3.住友林業、前期最高益も社長は「コロナの回復に時間」

住友林業は6月1日、2020年3月期の連結経常利益が前の期比14.4%増の588億円で、過去最高だったと発表した。海外での住宅・不動産事業が好調だった。今期は決算期を12月期に変更し、4月から12月までの9カ月決算となる。新型コロナウイルスの影響は徐々に収束すると予想する一方で、国内外の住宅・不動産の需要回復は時間がかかるとみている。
2020年3月期の売上高は前の期比15.6%減の1兆1,041億円だった。米国の住宅事業が好調で、海外住宅・不動産事業の売上高は9.5%増の3,994億円。経常利益も33.8%増の345億円だった。
国内の住宅・建築事業の売上高は前の期比4.7%増の4,740億円で、経常利益は4.5%増の226億円。新型コロナの感染拡大で一部の住宅設備の納期遅れが発生したため戸建て注文住宅の引き渡しが一部で遅れたが、消費増税前の駆け込みで積み上がった受注の工事を進めた。
「新型コロナ感染症の大規模な再拡大がなければ、2020年12月末に向けて徐々に収束していく」。住友林業が6月1日に開催した説明会で光吉敏郎社長は今後の見通しについて、こう語った。
一方で「企業業績の悪化や失業率の増加による経済・消費活動への影響の度合いによっては、国内外の需要回復にさらに時間を要する可能性がある」とも付け加えた。業況の先行きは楽観視できないという姿勢だ。
2020年12月期(2020年4~12月)の業績は売上高が2020年3月期(2019年4~12月)に比べて7.3%減の7,440億円、経常利益が65.2%減の150億円、最終利益が84.5%減の35億円を見込んでいる。減収減益の厳しい見通しだ。
国内の住宅・建築事業は売上高が3,160億円で8.3%減少なのに対し、経常利益は93.6%減の10億円を見込む。緊急事態宣言の期間中に営業活動を制限していたことや着工遅れが響き、人件費などの負担が重く、受注や完成工事に伴う収益が大幅に減少する。
リフォームや不動産仲介も消費マインドの低下で苦戦が避けられない。受注は7月から徐々に改善するとみるものの「業績への影響は今期後半から来期前半まで続く」(光吉社長)という。
前期に業績のけん引役となった海外での住宅・不動産事業も契約戸数が落ち込み、減収減益の見通しだ。売上高は2.2%減の2,740億円、経常利益が6.2%減の215億円を見込む。米国では回復の兆しがあり、6月以降は徐々に改善するとみている。一方で、オーストラリアは年内いっぱい厳しい状況が続くと予想している。
今期はコロナ禍を商機につなげる工夫に知恵を絞る。国内の住宅・建築事業では在宅勤務が今後も定着するとみて、ワークスペースを備えた家屋などの商品を展開する。「これで受注の挽回を目指す」(光吉社長)。海外の住宅・不動産事業ではコロナなどの潜在リスクにも注意しながら、住宅用地の新規取得や分譲住宅の着工を進めていく方針だ。
2019年5月に策定した2019年度から2021年度までの中期経営計画は見直す方針を明らかにした。「コロナで国内外の経済環境が大きく変化し、第2波、第3波の可能性もある」(同社)ためだ。
2021年2月をめどに、改めて発表すると説明している。
これまで海外事業を中心に好調だっただけに、コロナの悪影響を最小限に抑え、再び成長軌道に乗るための具体的な方策が求められている。

4.積水化学工業の新中期経営計画、コロナでもM&Aに最大3,000億円

積水化学工業は5月22日、2022年度を最終年度とする3カ年の中期経営計画を発表した。前中計の実績と比べて2倍以上となる4,000億円を最大とする戦略投資枠を設け、このうち3,000億円をM&A(合併・買収)に充てる計画。航空機や環境関連など既存事業とのシナジーを意識した積極投資で、2030年度には現状の2倍弱となる売上高2兆円を目指す。
「負債を活用してでも成長投資をする」。積水化学の加藤敬太社長は同日、コロナ禍でも長期的な成長を見据えた投資は怠らない姿勢を見せた。2030年度までの長期ビジョンでは成長投資や研究開発費に総額2兆円以上を投じる目標を掲げた。
新中計期間中のM&Aは「長期ビジョンの達成を目指した仕込み」(加藤社長)と位置づける。投資枠は前中計の実績である782億円から3,000億円へと大幅に拡大した。シナジーを重視して投資先を選別し、海外展開への足がかりとなる企業の買収も視野に入れる。
新中計では新たに事業評価の尺度としてROIC(投下資本利益率)を導入した。「負債も活用するためには責任を持って投資を回収する必要がある」(加藤社長)とこれまで以上に資本効率を意識する方針だ。ROICは2022年度に2019年度より約1%高い8.6%にする目標。
2022年度の売上高は2019年度実績比で8%増となる1兆2,200億円、営業利益は同25%増の1,100億円を目指す。営業利益の目標は新型コロナウイルスの影響を踏まえて100億円程度、当初計画から引き下げた。新型コロナの影響については「平常に戻るまで1年はかかるだろう」(加藤社長)と見込む。2020年度は基盤固めに努めて、2021年度以降、成長軌道にのせていく考えだ。
新型コロナウイルスの影響を強く受ける高機能プラスチック事業は高付加価値品の拡販によって
2022年度に2019年度比12%増の売上高3,600億円を目指す。2019年度に買収した米航空機大手ボーイング向けの部材などを手掛けるエアロスペースでは主力の外装部材だけでなく、収益性の高いエンジン部材の比率を高めていく。
屋台骨の住宅事業は国内市場の縮小が続くことが課題。比較的需要が堅調な低価格帯の分譲戸建ての比率を高めて収益を確保する計画。閑散期に建築できることから工場の安定的な稼働にもつながると見込む。2022年度の売上高は2019年度比7%増の5,480億円にする目標。
4月末に発表した積水化学の2021年3月期の連結純利益の見通しは前期比26%減の435億円。新型コロナウイルスの感染拡大で生産が滞る自動車、航空機向け素材や住宅関連の販売の減少が予想される。コロナ禍に耐えながら長期的な成長に向けて投資を続けていく。

5.新日本建設、2020年3月期5%増益 売上高も過去最高

新日本建設が5月14日発表した2020年3月期の連結決算は純利益が前の期に比べ5%増の105億円で、2期連続の増益となった。物流施設や宿泊施設など住宅以外の大型案件がけん引した。売上高は9%増の1,125億円で、2期連続で過去最高を更新した。
事業別の売上高は建設事業が12%増の673億円、開発事業が5%増の452億円だった。首都圏を中心に進めている自社開発マンションの売れ行きも好調だった。
2021年3月期の業績予想は新型コロナウイルスの影響を合理的に算定できないとして公表しなかった。建設事業は現時点で大幅な工期の遅れなどは発生しておらず、堅調に推移する見通しだが、マンション販売は「個人の消費マインドが落ち込む可能性もある」(高見克司社長)とみている。

6.個人の住宅、税負担重く 2021年度から資材高で

政府住宅の固定資産税の負担が2021年度から重くなる。総務省は建築資材などの上昇を踏まえ、税額の基準になる住宅の資産価値をより高く見積もる方針だ。東京23区内の約57平方メートルの新築マンションでは年間の税額が約5千円増える。政府が新型コロナウイルスの影響に配慮し、個人への給付金など生活支援策を打ち出すなかでも、負担増が避けられない例が現れてきた。
固定資産税と都市計画税は、各市町村が建物や土地に課す地方税で、税率はそれぞれ原則1.4%と0.3%。ただ市町村によって税率が異なる場合があり、都市計画税を導入していない自治体もある。固定資産税は新築住宅については3年間、税額を2分の1にするなど特例も設けている。
総務省は建物の資産価値を評価する基準を3年ごとに見直している。新たな基準は、2019年7月時点の資材価格や人件費などの実勢価格を基に算出した。2021年1月1日時点での個人や法人が所有する建物に適用される。
東京五輪に向けた建設需要による資材の値上がりや、人手不足などによる人件費の上昇を反映して評価額は上昇。例えば住宅の床に使われる石材の1平方メートル当たりの評価額は、現行に比べて8%強上がる。ビルに使われる鉄骨1トン当たりの評価額は20%上がった。
新基準を使い、固定資産税と都市計画税の負担がどの程度増えるかを試算した。東京23区の5階建て鉄筋コンクリート造の標準的な新築マンションに、約57平方メートルの延べ床面積の部屋を所有している場合、年間の税負担は6万2千円程度から6万7千円弱に上昇した。標準的な木造2階建て住宅(延べ床面積82.48平方メートル)を新築したケースでも、約7万2千円から約7万7千円に増えた。
税額算出の基礎となる建物全体の「課税標準額」は、どんな資材をどの程度使うかや、延べ床面積で変化する。鉄骨を多く使う高層住宅などは、負担がより重くなる可能性がある。標準額は経年変化による摩耗を勘案して低下するが、新基準の導入で既存住宅でも標準額が下がりにくくなるケースが想定される。
固定資産税と都市計画税は建物分だけでなく、土地分も納めなければならない。総務省は今回、土地の評価基準も見直しているが、地価に左右される部分が大きい。各市町村が2021年に見積もる地価が下がらなければ、建物分の標準額の上昇が負担増に直結する。
政府は緊急経済対策で、中小企業や個人事業主向けに固定資産税と都市計画税を軽減する措置を盛り込んだ。売上高の減少幅に応じて、2021年度に限り、事業用建物などの課税標準額を2分の1かゼロにする特例を受けられる。個人の住宅はこうした特例は適用されず、新型コロナで給与が減少する会社員などには痛手となりそうだ。

7. 住宅リフォーム市場、2020年度は前年下回る 民間予測

調査会社の矢野経済研究所(東京・中野)は2020年度の住宅リフォーム市場が5兆5千億~6兆円の規模になるとの推計を発表した。2019年度の約6兆6千億円(速報値)を下回る見通しを示した。新型コロナウイルスの感染拡大によるショールームの一時閉鎖など営業活動の自粛や家計の収入減による住宅リフォーム投資の減少が夏ごろまで続くことが市場に影響するためだ。
一方で、コロナが一旦収束した後でも企業が社員に引き続き在宅勤務を推奨することで新しい生活スタイルが生まれる可能性もある。これによる新たな市場の開拓も見込まれるという。
2020年度1~3月の住宅リフォーム市場規模は前年同期比4.8%増の約1兆3千億円だった。消費税増税や新型コロナウイルス感染拡大による需要減の影響を受けたが、底堅い需要により前年同期を上回った。

7. 鈴与商事、太陽光発電余剰電力買い取り サービス開始

鈴与商事は5月12日、住宅用太陽光発電設備で発電した電力の買い取りサービスを始めたと発表した。中部電力と東京電力の管内の家庭を対象に、1キロワット時当たり10円(消費税込み)で買い取る。家庭が鈴与商事から蓄電池などの機器を購入したり、ガスや電気を利用したりする場合は買い取り価格を上乗せする。
政府の再生可能エネルギー固定価格買い取り制度の対象期間10年がすぎた家庭から、鈴与商事とJパワーの共同出資会社である鈴与電力(静岡市)が電力を買い取って販売する。鈴与商事はサービス提供や契約、支払いなどの手続きを担う。
同社から蓄電池を購入する家庭は稼働日から2年間、1キロワット時当たりの買い取り価格を5円、ガスと電気を使用する給湯器の購入者には2円、電気給湯器の購入者には1円をそれぞれ上乗せする。同社のLPガス利用者は2円、宅配水の利用者は1円、電気の利用者は0.5円を上乗せする。

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