1. 新設住宅着工、3月は前年比7.6%減 2019年度は7.3%減


国土交通省が4月30日発表した建築着工統計調査によると、3月の新設住宅着工戸数は前年同月比
7.6%減の7万729戸と9カ月連続で減少した。持ち家と分譲住宅、貸家いずれも減少した。QUICKがまとめた市場予想の中央値(16.0%減)と比べると、減少率は小幅にとどまった。季節調整済みの年率換算値では前月比3.9%の増加だった。
持ち家は前年同月比0.3%減の2万2,327戸と、8カ月連続で減少した。
貸家は同6.6%減の2万6,545戸と19カ月連続で減少した。金融機関による融資条件の厳格化が影響した。
分譲住宅は同16.1%減の2万1,220戸と5カ月連続で減少した。減少率は2018年6月以来、1年9カ月ぶりの大きさ。マンションの落ち込みが響いた。
同時に発表した2019年度の新設住宅着工戸数は前年度に比べ7.3%減の88万3,687戸と2年ぶりに減少した。減少率は2014年度以来5年ぶりの大きさとなる。貸家が14.2%減と3年連続で減少した。分譲住宅は2.8%減、持ち家は1.5%減だった。


2020年(令和2年)3月の新設住宅着工戸数


利用関係別 戸数 対前年同月増減率
総数 70,729戸 Δ7.6%
持家 22,327戸 Δ0.3%
分譲住宅 21,220戸 Δ16.1%
貸家 26,545戸 Δ6.6%

 


2019年度の新設住宅着工戸数


利用関係別 戸数 対前年同月増減率
総数 883,687戸 Δ7.3%
持家 283,338戸 Δ1.5%
分譲住宅 259,732戸 Δ2.8%
貸家 334,509戸 Δ14.2%

 

2. 住宅販売戸数、10%減 新型コロナ影響で

住宅市場調査のTSONはこのほど、愛知県内の戸建て分譲住宅販売が3月は662戸と、前年同月比10%減だったと発表した。減少は6カ月ぶり。住宅業界でも新型コロナウイルスの感染拡大により、消費者の買い控えが広がっている。県内で事業を営む約200社を対象に調べた。
例年比較的販売の多い2月に比べれば36%の急減となった。販売中の戸数も5,914と、2月比で8%減った。
販売中の戸数が減っている点について、TSONの小間幸一執行役員は「新型コロナの拡大で資材や住設機器の調達が困難になった影響を受けている」と指摘する。今後の販売動向に関しても「緊急事態宣言などにより、内覧に訪れる客足が遠のく傾向が加速しそうだ」と話している。

3.住宅ローン支払い柔軟に 金融界、コロナ影響に配慮
「フラット35」の返済期間、最長15年延長

新型コロナウイルスの影響による収入減で住宅ローンの支払いが難しくなる利用者の増加に備え、金融界が返済期間を延ばすといった対応に動き始めた。長期固定金利の住宅ローン「フラット35」を提供する住宅金融支援機構は返済期間について最長15年間の延長に応じる。銀行も返済条件の変更にかかる手数料を無料にするなど家計支援に重点を置く。長期戦を見据えた対策が急務だ。
政府の緊急事態宣言が全国に広がり、飲食などの事業者だけでなく、働く人も収入減への不安を抱える。特に住宅ローンの返済は家計に占める割合が大きい。このため住宅金融支援機構は金融危機などによる景気後退に備えて設けた住宅ローンの返済特例制度を新型コロナにも適用する。
フラット35と旧住宅金融公庫による融資契約を結ぶ約160万件が対象で、提携先の銀行と協力して対応する。
対象は勤務先の業績悪化で収入が減った人や解雇された人、病気で返済が困難になった人など。こうした条件に加え、年収が年間返済額の4倍以下といった収入額の基準にも当てはまり、特例を使えば返済を継続することができると判断された場合に利用できる。
返済特例を使うことで、毎月の返済額を減らしながら返済期間を最長15年延長できる。失業者などの借入金の元本返済は最長3年間据え置く。いずれも完済時の年齢が80歳までが対象だ。
期間を延ばしても利息はかかるため総返済額は増えるが、月々の支払い負担は減る。機構の試算によると、10年前に3,000万円を金利2.0%で35年間借り入れた人が返済を15年延長すると、毎月の返済額は約9万9,000円から約7万1,000円に減るという。
この特例はバブル崩壊で景気が落ち込んでいた1998年に創設した。2019年3月末時点では計22万8,533件について、返済期間の延長などに応じている。
新型コロナ関連で機構が受け付けた相談件数は2月から4月19日までに約840件に上る。機構は「コロナ収束に時間がかかれば相談は今後増えるだろう」とみている。
銀行も住宅ローンの返済条件の変更などに徐々に取り組み始めている。国土交通省によると個人向け住宅ローンの2018年度の新規貸出額は19兆円余りで10年前より2割増えた。コロナの影響は長期化の恐れもあるだけに、銀行は企業支援だけでなく、個人顧客に対しても「貸して終わり」としない対応が問われている。
三井住友銀行は顧客の収入状況に応じて毎月の返済額を減らすなど柔軟に対応する方針だ。融資残高の約4割を住宅ローンが占める京葉銀行は収入が減った利用者の返済期間を延ばしたり、複数の借り入れを一本化して返済負担を減らしたりする支援を強化している。
滋賀銀行は4月に入り、住宅ローンの条件変更時の手数料を免除するよう全店に通知した。手数料の無料化は広島銀行や南日本銀行、沖縄銀行などにも広がっている。
ほくほくフィナンシャルグループの北陸銀行と北海道銀行は、新型コロナの影響で住宅の着工や引き渡しが遅れた場合に融資実行を先延ばしする。入居できないのに金利負担だけ生じることを避けるためだ。鹿児島銀行も個別の状況に応じてつなぎ融資の金利負担を優遇するなどしている。
緊急事態宣言の全国への拡大に伴い、金融庁は金融機関に住宅ローンを含めた個人向け融資の条件変更に柔軟に対応するよう要請した。金融機関側の審査体制をどう整えるかも課題だ。
日本経済新聞が4月に九州・沖縄21行を調査したところ、7割超の15行が融資審査が普段より逼迫していると答えた。在宅勤務などの制約があるなか、限られた人員で効率的に対応する技術の導入なども重要になる。

4. 太陽光発電、自家消費で賢く利用

太陽光発電でつくった電気を自宅で利用する「自家発電・自家消費」の関連サービスが広がっている。関連市場は2030年までに現在の3倍に拡大するとの予測もある。東京ガスなどが太陽光発電設備を無償で提供するモデルで顧客獲得に乗り出すなど、多様なサービスが相次ぐ。消費者は自宅の電力消費の状況や各サービスの特徴を見極めて選ぶことが重要になる。
東京ガスと三井ホームは3月末、三井ホームの新築戸建てと東ガスの家庭用燃料電池を購入した顧客に、太陽光発電設備を無償で提供する新サービス(工事費用は別)を始めた。顧客は太陽光パネルで発電した電気は自家消費でき、余った分は電力会社に売電し、売電収入を東京ガスに譲り渡す仕組みだ。
太陽光と燃料電池を組み合わせることで、関東の一般家庭では従来の大手電力のプランと比べ、月1万3000円程度電気代を下げられるという。業界では家庭用燃料電池の導入費用は100万~150万円程度とされ、単純計算で10年で元が取れる。加えて百数十万円程度の太陽光発電設備は丸々お得になる。
新築戸建てという大きな買い物があってこそだが、東ガスの担当者は「環境対策の進んだ住宅は消費者の関心が高く、コスト面の利点も打ち出せばニーズは大きい」とみる。
太陽光発電設備を無償で顧客に提供し、関連製品の販売や電気料金で回収するビジネスモデルは「PPA」や「第三者所有モデル」と呼ばれる。米国などでは一般的で、消費者側には高額な機器の初期コストがかからず、事業者側は売電収入などで安定して収益を確保できる利点がある。
太陽光パネルの大手メーカーである京セラも、昨秋から関西電力と共同でサービスに乗り出した。顧客は発電設備を0円で設置し、発電した電気を買い取る形で自家消費するほか、不足分の電力は京セラと関電の共同出資会社から購入する仕組みだ。環境配慮意識に応えることができることに加え、料金プランは通常の大手電力と比べ、年1万円前後割安になる。太陽光パネルで世界大手の韓国ハンファQセルズも昨秋から日本で同様の設置費用「0円サービス」を始めた。
こうしたサービスが広がる背景には、家庭用太陽光の固定価格買い取り制度(FIT)がある。買い取り価格の低下もあり、期間中の10年に売電で稼ぎにくくなり、メーカーなどは自家消費需要を取り込まなければ太陽光パネルの設置拡大につながらない。2009年に前身の制度が導入されており、2019年11月から期間が終了した家庭が出始め、買い替え需要なども取り込めるともくろむ。富士経済(東京・中央)によると自家消費型の家庭用太陽光の市場規模は2019年度の45万キロワットから、2030年度に135万キロワットに拡大する見通しだ。
ただ、消費者が注意すべき点もある。契約条件が自分の生活環境や家計に合った内容かどうかだ。設備導入のハードルは低くても電気料金の契約が一体となっているサービスもある。設備の保守管理の仕組みが充実しているか、契約途中でのプランの切り替えが可能なのかといった点も事前に確認しておくことも必要だ。他社サービスとの比較がしやすくなるなど競争環境が整備されれば、普及も加速しそうだ。

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