1. 11月の新設住宅着工、前年比12.7%減 貸家の減少が響く


国土交通省が12月26日発表した建築着工統計調査によると、11月の新設住宅着工戸数は前年同月比12.7%減の7万3,523戸と、5カ月連続で減少した。貸家の減少が大きく響いたほか、持ち家や分譲住宅も減少した。QUICKがまとめた市場予想の中央値(8.2%減)よりも下げ幅は大きかった。季節調整済みの年率換算値では前月比5.2%の減少だった。
貸家は、前年同月に比べ17.5%減の2万8,779戸と15カ月連続の減少となった。金融機関による融資条件の厳格化で民間資金による着工数が30カ月連続減となったことが響いた。公的資金による着工数も6カ月連続減となった。
持ち家は同7.3%減の2万3,655戸と4カ月連続で減少した。10月からの消費増税の影響に関しては「前回ほどではなかった」(国交省)という。前回の消費税引き上げの翌月にあたる2014年5月は持ち家の着工数は同22.9%減で、今回の方が下げ幅は小幅にとどまっている。
分譲住宅は6カ月ぶりに減少し、同10.3%減の2万819戸だった。前年同月に東京都などで大型物件の着工があった反動減が出て、マンションの着工数が同23.6%減と4カ月ぶりに減少したことが響いた。


2019年(令和元年)11月の新設住宅着工戸数


利用関係別 戸数 対前年同月増減率
総数 73,523戸 Δ12.7%
持家 23,655戸 Δ7.3%
分譲住宅 20,819戸 Δ10.3%
貸家 28,779戸 Δ17.5%

 

2.住友林業、全米10位が挑む変身

住友林業が2020年にも、米国で商業施設の運営に乗り出す。すでに年間の住宅建設は米国での戸数が日本を上回っており、買収した賃貸住宅や土地開発の子会社とあわせ、総合不動産会社を目指す。景気のサイクルに左右されやすい戸建て住宅頼みから、事業ポートフォリオを分散させて業績を安定化させる戦略だ。
約350戸の賃貸住宅とショッピングセンターの複合施設「クレセント・アサートン・ミル」は、2018年に買収した集合住宅などを扱う子会社クレセント・コミュニティーズの本拠地、ノースカロライナ州のシャーロットにつくる。建物は12月中に完成する予定だ。約5,600平方メートルの商業部分ではすでにテナント集めを進めている。約100億円の事業には住友林業の米国法人が80%を出資して主導しており、施設運営のノウハウを得る。
住友林業は今や全米10位の住宅ビルダーだ。2013年以降、米南部を中心に戸建分譲を手掛ける中堅3社を買収してきた。2018年末以降、米連邦準備理事会(FRB)による利下げなどを受けて住宅ローン金利が下がっているため環境は良好。米南部はヒスパニック系などの人口も伸びている。「買収先は、住宅市場が成長する地域の企業を上手に選んだ」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の姉川俊幸シニアアナリスト)と評価されてきた。
2020年3月期は米国での住宅建設戸数を前期比12%増の7,920戸と見込んでいる。米国を中心に海外事業の経常利益は、8%増の280億円を目指していて、全体の44%を占める見通し。さらに2022年3月期には、今期予想より69%増の472億円、全体の51%を稼ぐ計画を掲げている。利益成長のためには縮小する日本市場に閉じこもらず、海外に出ざるを得ない。
米国の戸建住宅の分譲戸数は、景気循環の影響によって7~8年サイクルで落ち込むとされる。
約434億円で買収した賃貸住宅事業が中心のクレセントはその備えでもある。景気の後退局面では戸建住宅のローン審査に落ちて購入できなかったり、手放したりした人が賃貸住宅に入居するため、クレセントの業績は安定するからだ。さらに2018年には東海岸で分譲住宅向けの土地を開発するマーク・スリー社も傘下に収めた。
株価は、好調な米国の住宅関連の統計が好感され、12月13日に1,673円の年初来高値を付けた。ただ2018年の高値2,059円より低く、米国での拡大戦略は必ずしも好感されていない。買収先との相乗効果が見通しにくいためだ。
住友林業は買収した子会社の経営はそれぞれ従来のメンバーに一任しており、ブランドも建設方法もそのまま。会社側は「一部、建材の共同購入や、商品の共同開発はしている」というが「グループとして稼ぐ力を強化していると言うには説得力が弱い」(野村証券の福島大輔アナリスト)との声があがる。
PBR(株価純資産倍率)は0.93倍で、大和ハウス工業(1.35倍)や積水ハウス(1.34倍)を下回る。一連の買収の過程ではフリーキャッシュフローがマイナスとなる年が続き、借入金で資金をまかなったため負債資本倍率(D/Eレシオ)も悪化した。野村証券の福島氏は「米国事業でシナジー効果のある戦略を見せていくことが、水準訂正の条件」と指摘している。

3.住友林業、アジアの経常益30億円規模に 2022年3月期めど

住友林業は海外事業のうちアジアの住宅事業の連結経常利益を2022年3月期に30億円規模に増やす方針だ。前期実績の3億円から、ベトナム、タイの合弁会社が展開する高級マンション分譲などを伸ばして大きく拡大する。国内の住宅需要が伸びない中で、アジアを米国、オーストラリアに次ぐ海外事業の柱に育てたい考えだ。
アジアでの展開は当面、マンション分譲を主力とする。ベトナムのホーチミンでは1戸平均2,500万円の物件を2,100戸、タイのバンコクでは同6,700万円のプール付き物件311戸の販売に着手した。
2022年3月期までの中期経営計画では、最終年度の連結経常利益を前期比65%増の850億円に伸ばす目標を掲げた。海外事業の比率は前期の43%から51%に引き上げる計画だ。
海外事業は戸建てメーカーを買収した米豪が中心だったが、ここ5年ほどでアジアでも現地企業のノウハウを活用しながら事業を広げている。

4.住友不動産、空き家を民泊などへ 用途変更リフォーム

住友不動産は2020年1月から既存の戸建て住宅を他の用途に変更できるリフォームの受注を開始する。現在は既存の住宅の間取りを一新するリフォームを手掛けているが、戸建て住宅をシェアハウスや民泊施設、社会福祉施設へ用途変更ができるようにする。全国で空き家が増加しており、リフォームを検討する客の選択肢を広げ、空き家の利用を後押しする。
同社は現在、客の要望に応じて戸建て住宅やマンションで設備や内装、下地や配管・配線まで全てを解体して撤去し、部屋数や間取りを自由自在に変更できるリフォーム「新築そっくりさん」を手掛ける。
1996年から開始した新築そっくりさんの受注累計は2019年3月末時点で13万棟超。これまで培ってきた経験やノウハウを生かし、新たに用途変更を客に提案する。
総務省の調査によると、全国の空き家は2018年10月1日時点で過去最高の846万戸に上り、今後も増加し続ける可能性がある。一方で、2019年6月から戸建て住宅を他の用途に変更しやすくするための規制緩和が盛り込まれた改正建築基準法が施行されており、住友不動産はリフォーム事業の強化につなげる考えだ。

5.積水ハウス、増益

2020年1月期は戸建て住宅の販売が伸びる。米国での賃貸物件の売却も寄与し増収。鳳ホールディングスの買収に伴う特別利益を計上。純利益は過去最高。2021年1月期は受注残を背景に増収増益に。
住宅建設工事の訓練施設をベトナムに開設。3年で300人育成し、日本に受け入れへ。

6.東新住建、無人モデルハウスで自由に下見

戸建て住宅販売の東新住建(愛知県稲沢市)はあらゆるモノがネットにつながる「IoT」機器を備えたモデルハウスを展開し、スマホ予約で来場者が自由に見学できるサービスを始めた。モデルハウスに接客する人員がいない無人の時間帯でも見学できる。共働き世帯の増加に伴い、家族全員で見学する時間の確保が難しくなっていることに対応する。隙間時間に1人だけで見学するといった需要を見込む。
愛知県にある約10カ所のモデルハウスを対象にこのサービスを始めた。サービスの名称は「タップトゥゴー」。メゾネットタイプのモデルハウスを設けた。
サービスを利用するには1度来店して、担当者から物件の特徴などの説明を受け、2回目以降の来場から使える。1度目の来場時にパスワードを受け取り、2回目の来場前にパスワードを使って来場を予約する。
予約後にモデルハウスに来場すると、遠隔操作によって時間通りに扉の鍵が開く仕組みとなっている。不動産会社の営業マンの視線などを気にせずに来場者は物件を自由に見学できるほか、家族全員の時間が確保できない週末の夕方といった隙間時間を有効に活用できる。
サービスを導入したモデルハウスは平日は接客担当者がいる通常のモデルハウスとして運営しているが、土日祝日の午後6~9時の時間帯は無人となる。モデルハウスの無人の時間帯だけでなく、平日でもこのサービスを使って気軽に見学できる。
室内の照明といった家電機器は遠隔管理しているため、来場者の予約時間に合わせて適切な明るさや温度に調整しておく。
来場者が見学中に気になることがあれば内見の場所に設置しているiPad(アイパッド)で担当者と話せる。詳しい案内だけでなく、ローンの事前審査の申し込みもできる。現時点では見学が可能な物件ブランドは「デュープレジデンス」のみだが、今後はほかの物件ブランドでこのサービスを導入することを検討する。
この物件ブランドは最寄り駅から徒歩10分以内という立地条件のほか、価格帯は2,000万~2,500万円といった特徴がある。駐車場は原則として設置していない。間取りは2LDK~3LDKが中心で、ロフトが付いている物件もある。1つのハウスに単身世帯だけでなく、2世帯の家族層が住むことを想定している。
東新住建は愛知県を中心に岐阜県や三重県で戸建て物件の販売事業を展開している。注文住宅や分譲住宅を扱っており、2019年6月期の販売実績は約300物件だった。

7.フラット35 新たに不正57件 住宅機構が追加調査

住宅金融支援機構は12月25日、長期固定金利型の住宅ローン「フラット35」の不正利用で追加調査の結果を発表した。不正の疑いがあるとして新たに調査した49件すべての案件で、申込時に購入価格の水増しがあった。2019年夏の前回調査では詳細がわからなかった8件でも、価格の水増しを確認した。合計で新たに57件で不正が発覚した。その大半が本来は認められていない投資目的の不動産購入だったという。
機構は今後、借入金の一括返済を求めるなどの対応をする。機構が今夏に実施した調査では、8月時点ですでに不正利用が105件あったと確認している。
フラット35をめぐっては、もともと投資用物件の購入資金には使えないが、自己居住用と偽って利用するとともに、実際の購入金額に水増しした価格を記した契約書を作り、過大な融資を受ける事例が発覚していた。今後、機構は融資審査の強化などで再発防止を図るという。

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