1. 7月の新設住宅着工、前年比4.1%減 貸家の減少で


国土交通省が8月30日発表した建築着工統計調査によると、7月の新設住宅着工戸数は前年同月比4.1%減の7万9,232戸だった。貸家の減少が全体を押し下げた。QUICKがまとめた市場予想の中央値(5.4%減)は上回った。季節調整済みの年率換算値では前月比1.3%減だった。
貸家は15.2%減の3万383戸と11カ月連続で減少した。金融機関が貸家向け融資の審査を厳しくしていることなどが響いた。首都圏が19.7%減、中部圏が28.9%減となった。
分譲住宅は5.1%増の2万1,942戸と2カ月連続で増加した。一戸建て住宅が1万3,074戸と8.9%増加したことが寄与した。マンションは1.1%減の8,600戸と2カ月ぶりに減少となった。首都圏、近畿圏で減少した。
一方、持ち家は3.3%増の2万6,282戸と10カ月連続で増加した。
国交省の担当者は「前回の消費税増税時と比べて大きな駆け込み需要は見られない」と説明した。


2019年(令和元年)7月の新設住宅着工戸数


利用関係別 戸数 対前年同月増減率
総数 79,232戸 Δ4.1%
持家 26,282戸 3.3%
分譲住宅 21,942戸 5.1%
貸家 30,383戸 Δ15.2%

 

2.消費増税 消費者向けPR強化 政府

政府は8月6日、今年10月の消費税率引き上げに向け、消費者向けの広報・PRを強化する計画を発表した。特設キャンペーンサイトを作り、増税分の使い道や自動車や住宅の購入支援策などについて発信する。軽減税率制度についても分かりやすく説明する。
8月半ばから主にオンライン広告やインターネットの動画、テレビCMなどを通じて増税の必要性や、家計や景気への影響とその配慮について一般向けのコンテンツを発信する。
これまでのPRは、事業者を対象としたものが中心だった。中小企業庁はレジの切り替えを呼びかけていたほか、公正取引委員会は増税分の価格転嫁拒否が起きないよう全国で説明会を開催。財務省・国税庁も、軽減税率制度の説明会を全国で開いてきた。

3.住宅ローン金利低下、変動型0.4%台の攻防

住宅ローン金利が下げ止まらない。競争が激しいインターネット銀行では変動型で年0.4%台前半の商品も珍しくない。ただ、最近は返済中の病気などに備えてローンに付帯する「保障」込みで比べないと、本当に有利な商品がどうかわからなくなっている。
毎月のように「過去最低」が登場
「毎月のように『過去最低』が登場する」。住宅ローンコンサルタントのMFS(東京・千代田)の中山田明社長は住宅ローン市場の動向をこう解説する。目先の動きが激しいのは変動型。「台風の目」は7月30日に最後発で市場に参入したジャパンネット銀行(JNB)だ。
同行は変動型で0.415%を打ち出した。7月1日には新生銀行が変動型で0.45%の新商品を投入したばかり。両行とも8月も金利を据え置いている。
新規借り入れの変動型は6月まで、じぶん銀行、住信SBIネット銀行の0.457%が最低水準とみられた。この水準をJNB、新生銀ともに下回った。
ただ、これらのローンが必ずしも有利と言い切れない。注目したいのは返済中の病気や就業不能に備える「保障」だ。一般に住宅ローンを借りるときは死亡などに備える団体信用生命保険(団信)に入る。ただ、ここ数年は団信に加え、亡くなる前に重い病気にかかったり、働けなくなったりしたときに残債を減免する保障が「無料」で付く例が増えた。
こうした保障は借入金利に一定の金利を上乗せして実質的な「保険料」を払うのが通例だったが、じぶん銀や住信SBIネット銀は上乗せ金利なしで、疾病や就業不能に備えた保障を付けている(年齢などで保障が付帯できない例はある)。
一方、新生銀は「安心保障付団信」と呼ぶ保障が金利上乗せなしで付くが、対象となるのは一定日数以上の要介護状態など。単純比較は難しいが、一般的な疾病保障よりも保障条件は厳しめだ。
JNBは団信以外の疾病保障はオプション制で、付帯には0.1~0.3%の金利上乗せが必要になる。付帯したときのトータルの金利は最大0.715%で、低金利の魅力は急速に薄れてしまう。
「全疾病保障」を無料で付帯
対照的にじぶん銀は3月、金利を保ちながら無料保障を拡充した。それまでは、がんと診断されると残債が半減する「がん50%保障」のみだったが、すべての病気・ケガ(精神障害を除く)で一定日数以上、継続入院すると残債をゼロにする「全疾病保障」もセットした。MFSの中山田氏は「2つの保障を勘案すると、実質金利は0.307%といえる」と話す。他行がじぶん銀と同様の保障の上乗せ金利として求める相場が「がん50%」で0.1%、「全疾病」で0.05%だからだ(0.457-0.1-0.05=0.307)。
住信SBIネット銀も就業不能状態を保障する「全疾病保障」を無料で付帯するうえ、グループの三井住友信託銀行で口座を開くだけで金利を0.01ポイント引き下げるプログラムを昨年10月に導入。加えて、借り換えでは新規借り入れより低い金利をもともと用意していた。借り換えで引き下げプログラムを適用すると、変動型は0.418%まで低下する。
JNBと新生銀は借り換えでも金利差はない。住信SBIネット銀は借り換えなら新生銀を下回り、JNBに0.003ポイント差まで迫る。そしてJNBは団信のみ、住信SBIネット銀は「全疾病」付きという差がある。
ただ、じぶん銀や住信SBIネット銀は無料付帯する保障を自由に選択できるわけではない。「ローン付帯保障は必要ないと考える人、年齢制限などで保障付帯ができない人はシンプルなJNBなどが有利な例が多くなる」(中山田氏)のも事実だ。
フラット35も過去最低を更新
住宅ローンの選び方を難しくするのが金利低下だ。7月、全期間固定型のフラット35(買取型)は実質的な過去最低金利を更新したばかりだが、8月もこの水準を0.01ポイント下回り、2カ月連続で過去最低を更新した。
変動型以上に全期間固定型の低下幅が大きく、両者の金利差も過去最小の水準だ。変動型を選ぶより、この機に金利を固定する手もある。
8月上旬には新発10年物国債の利回りが約3年ぶりに一時マイナス0.2%を下回り、日銀の誘導範囲の下限を割り込んだ。国債利回りは住宅ローンでは主に固定型金利への影響が大きい。9月にも固定型金利が下がるようだと、どの住宅ローンを選ぶべきかはさらに難しくなる。

4.住信SBIネット銀、行政の顧客データをローン審査に活用 民間で初

住信SBIネット銀行は近く、全期間固定金利型住宅ローン「フラット35」を提供する住宅金融支援機構の顧客データを取得する。100万人以上のデータを分析し、住宅ローン審査の精度を高める。民間企業が国の行政機関や独立行政法人が保有する顧客データを取得するのは初めて。
取得するのは特定の個人が特定できないように加工した「非識別加工情報」。2017年から国が保有するデータを民間企業が取得できるようになったが、手続きに時間がかかり利用につながっていなかった。住信SBIの取得を皮切りに、民間企業での活用が広がりそうだ。
住信SBIはデータを住宅ローンの審査に活用する。審査精度を高め、延滞や貸し倒れに陥るリスクを下げることで、これまで難しかった低所得者層にも融資が可能になるとみている。審査にかかるコストも削減が見込め、中長期的には住宅ローン金利の引き下げにつながる可能性もある。
5月に日立製作所と立ち上げた新会社で、10月から人工知能(AI)を使った住宅ローンの審査サービスを地方銀行に提供する予定。新会社でも顧客データを活用する。
住信SBIは2007年に住宅ローン事業に参入した。審査のスピードや低金利が特徴で2019年4月時点の取扱高は5兆円とネット銀でトップとなっている。

5.フラット35、不正利用105件 住宅機構が調査結果

住宅金融支援機構は8月30日、長期固定金利型の住宅ローン「フラット35」が本来認められていない投資用に使われた疑いについて調査結果を公表した。疑いがあった113件のうち、105件で不正を確認した。今後は利用者にローンの一括返済を求めていく。
フラット35は本人や親族が住む住宅の購入資金を機構と提携した金融機関が融資する。第三者に貸す投資用物件の購入資金に充てることは認めていない。外部からの通報で不正の疑いが発覚し、機構は申込書類の精査や利用者への面談を通じて実態を調査してきた。
発表によると、不正に関わったフラット35の利用者は20代から30代前半の単身者が多く、年収300万~400万円台の会社員が多数を占めた。複数の企業が絡んだグループからリスクのない不動産投資であるという勧誘を受け、投資目的であることを隠して利用を申し込んでいた。
機構は他にも不正の疑いがある利用が57件あるとしており、さらに調査を進める。不正が確認できた場合はローンの一括返済を求める。資金が足りない場合は物件の処分などを通じて返済原資を捻出することになる。

6.大和ハウス、4~6月純利益24%増 賃貸・ホテル好調

大和ハウス工業が8月8日発表した2019年4~6月期の連結決算は、純利益が前年同期比24%増の650億円だった。同期間としては過去最高。都市部の賃貸住宅の売却益が発生、訪日外国人の増加を追い風にホテルの請負建設も好調だった。約1,000億円の劣後特約付き社債(ハイブリッド債)を9月に発行することも発表した。物流施設などの投資に充てる。
売上高は13%増の1兆179億円。インターネット通販向け物流施設を手がける「事業施設」が17%の増収となりけん引した。「戸建て住宅」や、小売店やホテルを建設する「商業施設」など6事業すべてで前年を上回った。
営業利益は923億円と23%増益。「事業施設」「商業施設」「賃貸住宅」の主力3事業がともに増益だった。
大和ハウスでは4月、同社が建てた賃貸アパートや戸建て住宅で国の認定を得ていない柱や基礎が使われていた問題が発覚している。今春以降の戸建て住宅や賃貸アパートの受注は弱含んでおり「影響は少ないが出ている」(同社)。一方、10月の消費増税前の駆け込み需要はあまり表れていないという。
2020年3月通期の業績予想は据え置いた。売上高は前期比3%増の4兆2,500億円、純利益は6%増の2,520億円を見込む。

7.大和ハウス、太陽光買い取り最大22円 11月開始

大和ハウス工業は8月20日、家庭用の太陽光発電でつくった電力を1キロワット時あたり最大22円で買い取るサービスを11月に始めると発表した。同社がつくった戸建て住宅に住み、子会社を通じて新しく蓄電池を購入することが条件。22円は最初の1年間の限定で、2年目以降の買い取り価格は現時点で11.5円を見込む。同社によると22円は国内最高値という。
固定価格買い取り制度の期間が11月から順次、終了するのに伴いサービスを始める。買い取り価格は3パターンある。最高値のほかには、同社の戸建て住宅に住み、蓄電池を購入しない場合は11.5円、同社以外の戸建て住宅だと10円で買い取る。大手電力の買い取り価格は7~8円が多く、10円はやや高い水準だ。
大和ハウスは買い取った電気は企業や個人に販売する予定だ。同社は事業で使う全ての電力を再生可能エネルギーで賄うことを目指す企業連合「RE100」に参加しており、自社の工場や事業所でも買い取った電気を使う。

8.トヨタホーム、販売店を統合 山梨と静岡で

トヨタホームは8月29日、販売店のトヨタホーム山梨(山梨県昭和町)と富士湘南トヨタホーム(静岡県裾野市)を2020年4月に経営統合すると発表した。新会社はトヨタホームの完全子会社となる。山梨県と静岡県東部を営業エリアとする両社を統合することで、人口減少で住宅市場が縮小するなか効率的な経営体制の構築につなげる。
新会社の名称や社長、本社の拠点地は未定。両社の計約90人の従業員の整理は行わない。トヨタホームは統合に際して、トヨタホーム山梨に出資する早野(山梨県昭和町)および富士湘南トヨタホームに出資するトヨタ自動車東日本(宮城県大衡村)が所有する全株式を取得する。取得金額は非公開。

9.住友林業、増益

【増益】主力の国内の住宅・建築事業は消費増税前の駆け込み受注もあり堅調。木材事業は下期にかけ回復狙う。海外事業は拡大続く。実質増収だが会計基準の変更で減収予想。完工住宅も多く増益。
【海外】タイで初となる戸建て分譲事業を現地企業と組み開始。2020年から1,400戸を販売する計画。

10.三菱地所、ベトナム・インドネシアで現地法人を設立

三菱地所はベトナムとインドネシアに現地法人を設立した。人口増加で経済成長が続いており、住宅需要を取り込むだけでなくオフィス開発も強化する。営業利益に占める海外事業の割合を2020年3月期見込みの15%から中期的に20%にまで高めたい考えで、東南アジアで事業を拡大したい考えだ。
インドネシアのジャカルタとベトナムのホーチミンに現地法人を設立し、7月に営業を開始した。東南アジアではこれまで分譲マンションを中心に開発を進めてきたが、2021年にジャカルタ中心部に41階建てのオフィスビルを開発する。2022年にはタイ・バンコクの主要駅と直結した61階建てオフィスビルを完成させる。
不動産サービス大手のCBRE(東京・千代田)によると、東南アジアの主要都市のオフィスビルの空室率は10%を下回る水準で堅調に推移し、賃料は上昇している。今後も底堅い需要が見込めることから、三菱地所は開発を強化する。

11.積水化学工業、増益確保

【増益確保】高機能プラスチックは自動車向けの中間膜で欧州の新設備の稼働が寄与。配管材も国内の建築需を追い風に好調。住宅事業は消費増税前の駆け込み需要の反動減を見込むが、政府支援策の下支えの事業で補う。増収増益。7期連続で最高益。年間配当は前期比2円増の46円に。配当性向は3割。

12.藤田工務店 天然むく材の健康住宅 断熱・防音効果高く

木造住宅メーカーの藤田工務店(静岡県沼津市)は6月、本社の裏に新しいモデルハウスを開設した。使われているのは天然むく材で、合板やビニールクロスなど健康障害を起こしやすい建材を使用していないのが特徴だ。「良さを体感してほしい」(藤田達男社長)と、希望者は泊まれるようにしている。
日中の気温がセ氏30度を超えた7月のある日、モデルハウスの各部屋や廊下は、エアコンをつけなくても暑いという印象はなかった。モデルハウスはJR沼津駅と片浜駅を結ぶ線路から30メートルの場所にあるが、電車の音はほとんど感じない。
こうした効果をもたらしているのが、厳選したむく材と断熱材だ。藤田社長は「50年近くにわたり、約2,000棟の住宅を見てきたが、この『空気』は出せなかった」と力を込める。木材は45度で低温乾燥させたものを使用。高温で乾燥させた一般的な木材と違って、木の脂が残り、家の湿度や香りが保たれる。
木造2階建て、延べ床面積117平方メートルの3LKに設置しているエアコンは、階段の上の1台だけだ。厚さ17センチメートルの壁に「クアトロ断熱」と呼ばれる「断熱」「遮熱」「調湿」「透湿」の4つの機能を持つ工法を採用した。
外からの日差しを遮断し、温度や湿度を保っているので、1台で全体を暖めたり冷やしたりできる。機密性が高く、防音効果もあるという。同社の試算では、冷暖房費は一般的な木造住宅に比べ、月に1万円以上安くなることもあるという。
販売価格は、モデルハウスと同じ様式で1坪(3.3平方メートル)約80万円と高めの設定だが、2018年3月からこれまで5件の受注があった。モデルハウスの完成で、静岡県内だけで月間2~3件の受注を目指す。
藤田工務店は1981年創業。自然素材を使って健康に配慮した住宅を提案してきた。モデルハウスでは、合板や集積材、ボンドなどを使わない住宅の購入を検討する顧客を対象に、無料で4人まで泊めている。今月3日には3組目の家族連れが泊まった。
木造住宅、見直される価値
住宅市場は縮小の一途をたどっている。国土交通省の住宅着工統計によると、1999年度に123万戸だった新設住宅着工戸数は、2018年度には95万戸と2割以上減少した。野村総合研究所の予測では、2030年度には63万戸まで減るという。
その中でも、木造住宅は堅調に推移している。1999年度に57万戸だった木造住宅の新設住宅着工戸数は減少傾向から復調して、2018年度は54万戸と全体の57%を占めている。
木造の弱点だった耐火性や耐震性を技術革新や新工法で克服し、健康や環境への配慮からも、木造住宅の価値が見直されつつある。

13.ウッドフレンズ、住宅販売・設計のIT化加速 仮想展示場や3D技術導入

ウッドフレンズは住宅販売の営業や設計のIT化を進める。顧客の閲覧情報を分析して販売効率を高めるほか、インターネット空間での住宅展示場も始めた。将来は3次元で建物を設計する技術の導入を目指す。IT化による経費低減によって手ごろな価格の住宅販売を強化し、3年後には年間販売戸数を現在の2倍の2,000戸に増やす計画だ。
ホテルの建設・運営など新事業にも力を入れている(岐阜県高山市)
営業活動のIT化では、自社サイトから資料請求した顧客が閲覧したページなどを分析し、その人の興味・関心を割り出している。一人ひとりに合った住宅を提案することで、成約を増やす狙いだ。こうした取り組みが奏功し「飛び込み営業ゼロ」を達成した。
展示場もIT化する。スマートフォンを使ってモデルハウスの内覧ができる日本ユニシスの「仮想住宅展示場」を、8月1日から導入した。ウッドフレンズのモデルハウスを仮想空間に再現し、利用者はその場にいるような感覚で住宅内を360度見渡せる。住宅の外壁やキッチンなどを選んで、価格を見積もることもできる。
住宅の設計でもIT化を進める。林社長は「2、3年後には3次元(3D)で仮想の建築物を設計するBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を導入したい」と話す。設計を合理化し、顧客の要望に応じて即座に設計を変えることもできる。
現在戸建ての主な購買層はスマホの操作に慣れた20代後半~40代前半だ。林知秀社長は「若者はネットで価格や品質を徹底的に調べてから購入する」と話す。同社は得意とする国産木材にこだわった戸建て住宅などを積極的にネットで紹介し、品質の高さに気づいてもらう狙いだ。
人手不足による人件費高騰が続く中、同社は販売管理費を抑えて成長してきた。2019年5月期の売上高は355億円と4年間で3割増加。一方、販管費は2割増に抑えた。経費抑制により、同社の分譲戸建ての平均価格は愛知県内の平均より5%ほど安い3,300万円を実現している。
8月27日付で社長に就任した林氏は、ITを活用した営業手法が評価された。前田和彦前社長は代表権のある会長として、ホテル事業や木材の調達など新規事業開発に専念する。
同社は建物が密集する都市部でも木造戸建てを建てられるよう、耐火・耐熱性能を高めた外壁を開発した。30分間火にさらされても焼け落ちないといい、来年をメドに投入する予定だ。前田会長は「木材は夏場の湿度や紫外線を吸収する。将来は大型商業施設にも売り込み、名古屋を涼しい街に変えていきたい」と新たな事業に意気込む。

14.建築事務所のロジック、AIで注文住宅の成約率向上

建築事務所のロジックアーキテクチャ(熊本市)は、営業データなどを人工知能(AI)が学習し、戸建て注文住宅販売で、成約率を高めるシステムを開発した。注文住宅は成約までに時間がかかり、成約率が低いと採算が悪化しやすい。これまでの営業記録や住宅展示場でのアンケート調査を分析し、AIが顧客に最適な価格や建設地域を割り出す。自社運用を経て2020年からシステムを外販する。
開発したシステムは顧客の年齢や家族構成、希望する立地条件や屋内の動線などのデータを入力すると、システムが適切な価格のほか、成約の可能性が高い「見込み顧客」か、営業のやり方次第で購入を検討しそうな「潜在顧客」であるかを判断し、適切な営業方法を勧める。
AIの判断材料になるデータは営業担当の社員が顧客から直接聞き取った情報や、説明会などに参加した顧客がアンケートに入力した情報を活用する。膨大なデータの蓄積には、定型業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用する。
システムを利用すれば、営業にかかる作業や時間を「大幅に削減できる」(吉安孝幸社長)という。蓄積した営業関連情報は、建築契約後のアフターサービスにも活用できる。
10月にも社内でシステムを試験運用し、販売目標を設定して成約率の向上や社員の生産性向上などを検証する。2020年以降、住宅メーカーや建築会社に外販する計画だ。
建築関連業務をITで管理するサービスは、ダンドリワークス(滋賀県草津市)など複数の企業が取り組んでいる。新システムを他社のITソフトと連携することも検討している。
注文住宅は他の商品に比べて販売に時間がかかり、売り逃す可能性も大きい。営業担当の間で情報共有がうまくいかないことも課題だった。
吉安社長は「顧客はインターネットや実際の展示会場で情報を集めている。売り手側もデジタルをフル活用して顧客分析する必要がある」と強調する。同社の住宅販売サイトでもAIでおすすめの住宅を紹介する機能などを加える。
ロジックは2010年設立で、従業員は約90人。デザイン性が高い戸建て住宅を得意とし、建材をメーカーから直接仕入れるなどして建築コストを削減している。

15.太陽光パネル出荷量、4~6月は19%増

太陽光発電協会(東京・港)が発表した2019年4~6月の太陽光パネルの国内出荷量は、前年同期比19%増の149万キロワットだった。4四半期連続のプラス。住宅向けに加え、オフィスや工場などの一般事業向けが大きく伸びた。太陽光でつくった電気を家庭や企業で自家消費するニーズが高まっている。一方、売電目的のメガソーラー向けは減少した。
海外企業を含め、国内で太陽光パネルを販売する36社を対象に調査し、32社から回答を得た。日本企業・海外企業ともに2桁の伸びとなった。
用途別では、住宅向けは同19%増の28万キロワット。非住宅向けは同19%増の121万キロワットだった。非住宅の内訳では、メガソーラーなどの大規模案件向けが同10%減の64万キロワット、オフィス・工場など一般事業向けが88%増の56万キロワットだった。

16.太陽光パネル、無料で設置 韓国大手など参入へ

発電事業者が家庭や企業の屋根に無料で太陽光パネルを設置する代わりに、その電力を購入してもらうというビジネスモデルが広がっている。国内でも、太陽光パネルで世界大手の韓国ハンファQセルズが9月にも事業を開始し、京セラと関西電力も今秋に参入する。家庭や企業は初期投資や保守管理が不要などの利点があり、企業でもSUBARU(スバル)などが導入を計画している。再生可能エネルギーの自家消費の拡大につながりそうだ。
このモデルはパネルの利用者と所有者が異なるため「第三者所有モデル」と呼ばれる。日本では家庭や企業が太陽光でつくった電力の余剰分を一定の価格で買い取ってもらう制度(FIT)がある。一方、こうした優遇策を早期に廃止・縮小した米国では、住宅用の太陽光発電の6~7割が同モデルを採用しているとのデータがある。
日本でも制度の見直し時期を迎えており、同モデルを使ったパネル設置が増えると見込まれている。調査会社の富士経済(東京・中央)によると、同モデルの国内市場規模は2018年度の12億円から、2030年度には823億円に拡大見通しだ。
日本で太陽光パネルのシェア首位のハンファQセルズは9月にも一般住宅など向けにサービスを始める。顧客はハンファ製の太陽光パネルを無料で導入し、発電した電力を購入する。ハンファはパネルなどのコストを電力料金に上乗せして回収する一方、料金は電力会社から購入するプランよりも安く設定する。
設備は原則として10年後に顧客に無料で譲渡する。ハンファの2018年のパネル販売量は2017年に比べて17%増の約90万キロワットだが、新サービスで攻勢をかける。
京セラと関電の共同出資会社、京セラ関電エナジー(京都市)も新築住宅など向けに太陽光パネルを設置し、10年で無料譲渡するサービスを始める。太陽光発電の不足分は関電が供給する。顧客が利用する電力の料金プランは通常の大手電力と比べ、年間で1万円前後割安になるという。
第三者所有モデルが国内でも普及し始めた背景には、太陽光発電を取り巻く環境の変化がある。日本では家庭用太陽光の余剰電力の買い取り制度が2009年に始まった。ただ現在の買い取り価格は当初よりも下落。家庭側が売電するメリットは薄れており、今後は自家消費するケースが増える見通しだ。
一方、太陽光パネルが普及し、価格も安くなっている。事業者側は、パネルを無料で提供しても長期的に電力料金で回収して採算が取れる環境になってきた。
家庭だけでなく、第三者所有モデルで太陽光パネルを導入しようとする企業も増えている。世界の投資市場で環境対策などに熱心な企業を評価する「ESG投資」が広がっていることも、太陽光パネルの導入意欲の向上につながりそうだ。
スバルはNTTファシリティーズと組み、同モデルを使い、2019年度中に新車用部品を扱う群馬県の拠点に太陽光パネルを設置する計画だ。つくった電力をその場で使い、この工場で排出している二酸化炭素(CO2)を約4割減らす。
イオンも三菱UFJリースの子会社と組み、年内に滋賀県の商業施設で同様の取り組みを始める。数年内に約200店にまで広げる方針だ。環境対応の観点からもこうした動きが広がる可能性がある。
一方、先行する米国ではトラブルも起きている。米テスラは2016年に太陽光パネル設置大手のソーラーシティを買収。だが、パネルの供給先の米ウォルマートから、店舗での火災を起こす原因になったとして2019年8月に提訴された。ウォルマートはテスラが設備の欠陥を修理せず、放置していたとして損害賠償を請求している。
第三者所有モデルは割安感や利便性をアピールしやすいが、保守管理上のリスクなどがある。一定の規模による競争力がなければ、収益確保が難しい面もある。国内でも今後は価格競争による淘汰などが進みそうだ。

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