1. 4月の新設住宅着工、前年比5.7%減 貸家や分譲マンション減で


国土交通省が5月31日発表した建築着工統計調査によると、4月の新設住宅着工戸数は前年同月比5.7%減の7万9,389戸だった。QUICKがまとめた市場予想の中央値(0.9%減)を下回った。季節調整済みの年率換算値では前月比5.8%減だった。
貸家は16.7%減の2万9,511戸と8カ月連続で減少した。金融機関が個人のアパート建設向け融資を厳しくしていることが響いている。賃貸用住宅を手掛ける民間企業の不祥事の影響も含まれるとみられる。
分譲住宅は6.0%減の2万3,411戸と9カ月ぶりに減少に転じた。マンションが15.1%減の1万480戸と9カ月ぶりに減少となったことが響いた。愛知県、大阪府などで大幅に減少した。一戸建て住宅は3.0%増の1万2,698戸だった。
一方、持ち家は9.2%増の2万5,436戸と7カ月連続で増加した。国交省の担当者は「土地価格が高水準にあるため所有している土地を担保とした資金調達がしやすく、一定の建て替え需要がある」と説明した。


2019年(平成31年)4月の新設住宅着工戸数


利用関係別 戸数 対前年同月増減率
総数 79,389戸 Δ5.7%
持家 25,436戸 9.2%
分譲住宅 23,411戸 Δ6.0%
貸家 29,511戸 Δ16.7%

 

2.「フラット35」の不正利用、住宅機構が全件調査へ 防止策に限界も

長期の固定金利で資金を借りられるフラット35は、本人や親族が住む住宅の購入資金を機構と提携した金融機関が融資する。第三者に貸す投資用物件の購入資金に充てることは認めていない。こうした不正利用が疑われる融資は約100件にのぼる。機構は借り手が実際に住んでいるのかどうかなどの調査を始めた。
今回発覚した事例は特定の不動産会社が関与しているとみられているが、機構は5月中にもすべての融資案件から疑いのある例を抽出する作業を始める。フラット35は2017年度末で約68万件、15兆円の残高がある。全件調査で抽出した不正が疑われる事例でも、居住の有無や投資目的の認識があったかどうかを確認していく方針だ。
機構は再発防止策として、過去の不正事例を参考にした審査の強化や、申し込み時点で投資用に使えないことを周知徹底する対策に着手した。ただ、例えば住宅を買った後に転勤になった借り手が第三者に貸し出すことは認めている。居住用と投資用を厳しく線引きする「水際」の防止策が機能するのか疑問視する見方もある。融資件数も膨大で、現地に出向いて居住の有無を確認するのは現実的ではない。
不正疑惑を巡っては、フラット35の取り扱いで最大手のアルヒで投資物件への流用が疑われる案件が見つかり、同社が調査している。アルヒの浜田宏社長は5月14日「不正の疑いがある案件は過去に手がけてきた十数万件のうちで0.1%以下にとどまる」と説明した。

3.住友林業、タイで戸建て住宅参入

住友林業はタイで分譲戸建て住宅事業に参入する。バンコクの中心部まで自動車で約1時間のパトゥムターニ県で約52ヘクタールの土地を取得して、1,400戸の戸建て住宅を開発する。総投資額は約200億円となる見込み。海外事業の収益基盤の強化につなげる。
タイの不動産開発企業のプロパティ・パーフェクト・PCLと共同出資で特定目的会社を設立して開発に乗り出す。2020年にも1戸あたり延べ床面積で110~230平方メートルの住宅を発売する。住友林業は海外では米国やオーストラリアでも戸建て住宅事業を展開している。

4.積水ハウス、英国で木造住宅販売 現地同業と連携

積水ハウスは英国に進出する。現地の同業などと組み、主要都市で木造住宅を販売する。日本で培った高品質の住宅を短期間で供給するノウハウを活用する。英国は欧州連合(EU)離脱で揺れている半面、人口増加などで慢性的に住宅が不足している。需要は大きいと判断した。
日本の大手住宅メーカーは米国やオーストラリア、アジアに進出しているものの、欧州で住宅事業を始めるのは初めて。積水ハウスは英住宅メーカーのアーバンスプラッシュなどと、現地法人のアーバンスプラッシュハウスホールディングスを設立した。積水ハウスは33億円を出資し、出資比率は35%になる。
現地法人を通じ、マンチェスターなどの主要都市で木造のテラスハウスや5~6階建て集合住宅を建設・販売する。アーバンスプラッシュの工場で建材をつくってユニットにし、現場で組み立てる。価格は中間所得層向けに設定する。第1弾としてマンチェスター中心部で100戸超の住宅を開発し、5月中に発売する。年間1,000戸の供給を視野に入れる。
日本企業は英国のEU離脱を懸念し、現地生産を見直したり、ドイツなどに欧州拠点を設立したりしている。一方、英国では400万戸以上の住宅が足りないとの試算もある。規模の小さい地場の工務店が住宅建設の主な担い手のため、供給力に課題がある。人口も自然増と移民流入で増えており、積水ハウスは底堅い需要を見込む。
野村総合研究所は2030年度の日本の新設住宅着工戸数が60万戸と、2017年度から4割弱減ると予測する。市場縮小が見込まれるなか、トヨタ自動車とパナソニックが住宅事業の統合を決めた。海外に活路を見いだす動きも加速しそうだ。

5.三菱地所系、部屋数問わず定額制 戸建て住宅発売

三菱地所ホームは部屋の数に関わらず販売価格が一定の戸建て住宅を発売した。39種類ある外観パターンの中から1つを選ぶと、あとは部屋の数や配置、大きさなどを自由に決められる。主な販売エリアは関東と関西で、狭小地にも対応できる縦長デザインの住宅も用意した。
戸建て住宅「SMART ORDER Fit(スマート オーダー フィット)」は1~2階建ての木造で、2×4(ツーバイフォー)パネルを使って建てる。階段の上り下りを避けたい高齢者やマンションに住み慣れた若者らにも親しみやすい平屋造りもある。
購入希望者は家を建てる敷地の広さや形状に合わせ、39ある外観パターンの中から1つを選ぶ。三菱地所ホームから間取り図を受け取り、そこに思い思いに部屋の配置などを書き込む。トイレなどの住宅設備を表すシールも使って見取り図を仕上げていく。
購入者にとっては、営業担当者と頻繁に会ってプランを固める手間などが省ける。今夏中には顧客自身がインターネット上で図面を引ける仕組みも整えるという。
販売価格は、建築面積が約79平方メートルの場合で税別1,490万円から。キッチン1カ所、トイレ2カ所、全館空調設備の設置費用なども含む。
1坪(3.3平方メートル)あたりの販売単価は、同社の従来製品より20万円ほど安いという。手ごろな価格で幅広い年代の顧客を獲得したい考え。
今年度末までに60棟の販売を目指す。

6.太陽光パネルの国内出荷量、4年ぶり増加 2018年度

太陽光発電協会がまとめた2018年度の太陽光パネルの国内出荷量は約550万キロワットと、2017年度に比べて5%増えた。増加は2014年度以来、4年ぶり。住宅やメガソーラー(大規模太陽光発電施設)向けは減少したものの、空き地や工場の屋根などを活用した中小規模の発電施設向けパネルが伸びた。
メガソーラーなど大規模案件向けは減少した。
用途別の出荷量をみると、非住宅用が8%増えた。500キロワット未満の中小規模の発電施設がけん引。パネルの価格下落により工場やオフィスの屋根に設置し、自家消費する企業が増えている。
2018年末に経済産業省が再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)を見直し、稼働が遅れている発電施設は、買い取り価格が引き下げられる可能性がある。そのため「急ピッチで工事し、稼働を急ぐ発電事業者が相次いでいる」(設備施工会社)という。
一方、住宅向けは7%減り、メガソーラーなど500キロワット以上の大規模案件向けは1%減少した。FITが導入された2012年度以降、出荷量が急増し、ピークの2014年度には921万キロワットに達した。ただFITの価格が下がり、メガソーラーの適地の開発も一巡しており、「出荷量の増加は一時的」(外資系パネルメーカー)との声があった。

7.テスラとの太陽電池を外販 パナソニック、一条工務店系に

パナソニックが米テスラと共同で設立した米国の太陽電池工場で生産した部材を大手住宅メーカーの一条工務店(東京・江東)の関連企業に出荷していることが分かった。テスラの電気自動車(EV)の量産計画が遅れている影響で、太陽電池工場の作業が停滞している。パナソニックはテスラに太陽電池の部材を独占供給する計画を見直して外販を始めた。
「セル」と呼ぶ太陽電池の中核部品を一条工務店の関連企業で太陽光パネルを手掛けるフィリピン工場に出荷した。セルは2017年にテスラと共同で稼働したバッファロー工場(ニューヨーク州)で生産する。
当初はパナソニックが生産したセルをテスラが独占的に引き受けて、屋根と一体化した太陽光パネル「ソーラールーフ」を作る予定だった。だがEV量産の遅れなどが響き、計画通りの生産ができていない。
2019年までにバッファロー工場に300億円を投じて生産能力を高める計画も大きく遅れている。5月に太陽光発電パネルを製造するマレーシア工場を中国の太陽電池メーカーのGSソーラー(福建省)に譲渡すると発表するなど太陽電池事業の収益改善に力を入れる計画だ。

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