住宅関連情報 平成19年10月号
 
1.

8月の住宅着工43%減、審査厳格化で過去最大の下落率

 
《平成19年8月期の新設住宅着工戸数》
利用関係別
戸    数
前年同月対比
総     数
63,076戸      △ 43.3 %
持  ち  家
23,187戸
      △ 31.0 %
分 譲 住 宅
15,206戸
      △ 52.0 %
貸     家
24,001戸
      △ 46.6 %
 
 国土交通省が9月28日発表した8月の新設住宅戸数は前年同月比43.3%減の6万3,076戸で、過去最大の下落率となった。耐震偽装の再発を防ぐため、着工に必要な建築確認の審査を厳しくしたのが主因。建築業界や確認検査機関に対する制度改正の周知不足が響き、申請を手控えたり、過度に審査が長引いたりするなどの混乱が広がった。
 8月の着工戸数は年率換算(季節調整済み)では72万9,000戸で、過去最低水準。建築確認を厳しくした改正建築基準法の6月20日の施行以降、着工は急減しており、7月が23.4%減。8月はさらに減少率が倍近くに広がった。
 
2.建築確認厳格化で住宅着工急減、国交省と業界の認識に溝
  
  国土交通省が耐震偽装の再発防止策として建築確認を厳しくした影響で住宅着工が急減している問題で、同省と建築業界の間に不協和音が目立ってきた。冬柴鉄三国交相は10月2日の記者会見で「事務処理に不慣れなことが原因で、近い将来、元に戻る」と述べ、影響は一時的との考えを強調。一方、日本建築士事務所協会連合会は同日、「運用の改善だけでは混乱は解消しない」として建築確認の緩和を要請した。  
  耐震偽装はずさんな建築確認が原因のひとつ。このため6月20日施行の改正建築基準法で(1)大規模な建物の構造計算を二重チェック(2)慣例だった申請後の修正を認めないなど建築確認を厳しくした。だが制度改正の周知不足などで、建築確認の現場が混乱し、着工が停止になるケースも続出。8月の新設住宅着工戸数は前年同月比約43%減と過去最大の落ち込みになった。
 
3.日事連、国交省に改正建築基準法の改善求める要望書
  
  日本建築士事務所協会連合会(日事連、東京・中央)は10月2日、国土交通省に対して運用上の不備が指摘される改正建築基準法の手続きの柔軟化や制度の改善を求める要望書を提出した。  
  6月に施行された改正建築基準法は高さ20メートルを超える建物について、構造計算の二重チェックを必要とするなど建築確認申請の厳格化が柱。耐震強度偽装事件を背景にしているが、誤字脱字やその場で修正が可能なミスでも申請書の再提出を求めるなど制度の硬直化が問題視されている。要望書では運用の円滑化のほか、自治体や対応機関ごとに偏りがある審査基準の統一や再申請における料金の二重請求の中止などを挙げている。
 
4.基準地価、3大都市圏で2年連続上昇・商業地、16年ぶり上昇
 
  国土交通省が9月19日発表した2007年の基準地価(7月1日時点)は、堅調なオフィスビル需要や投資マネーの流入を背景に、東京、大阪、名古屋の3大都市圏で住宅地なども含めた全用途の平均が2年連続で上昇、伸び率も拡大した。地方も中核都市や有力観光地に地価上昇が波及している。ただ、地方全体では下落が続く。全用途の全国平均も0.5%下落し、率は縮まったものの、16年連続のマイナスだった。  
  全国平均は商業地が1.0%上昇し、16年ぶりに上昇に転じた。住宅地は0.7%の下落。下落率は4年連続で縮小した。けん引役となったのは3大都市圏で、全用途平均が5.1%上昇し、前年の0.9%から上昇率が高まった。
  とくに東京都は全用途平均が12.4%の上昇と2ケタ台の伸び率を記録。住宅地の上昇率も昨年の 3.5%から9.9%へ拡大した。大阪圏、名古屋圏でも、全用途平均の上昇ペースが昨年より加速した。
 
5.住宅購入資金、「65歳未満の親が贈与」4割強・不動産流通経営協会調べ
 
  「住宅購入資金を生前贈与した親の4割強が65歳未満」−。不動産流通経営協会(東京・港)は9月20日、2007年度の不動産流通の消費者動向調査を発表した。日本では子供への生前贈与が非課税となるのは原則親が65歳以上だが、住宅取得資金に限り、65歳未満でも可能とする特例がある。  
  住宅購入に際し、親から資金の贈与を受けたのは123世帯。うち、41.5%の世帯が65歳未満の親から贈与を受けた。新築では47.9%、中古では32.7%だった。親から贈与を受けた資金の平均額は1,058万円だった。
 
6.ゆうちょ銀、地銀と組み住宅ローン・ 拡大路線に異論も
 
 10月の郵政民営化で発足するゆうちょ銀行が地方銀行と組んで住宅ローン事業に参入する計画を進めていることが10月7日明らかになった。勤続年数が少ないことなどを理由に民間金融機関が融資に慎重な人などを対象に、高めの金利で融資する。新規参入を検討してきた融資業務での柱となる。地銀との連携で民業圧迫批判をかわす狙いもありそうで、巨額の資産とネットワークを抱えるゆうちょ銀の戦略が議論を呼びそうだ。  
  民営化準備会社、日本郵政(西川善文社長)が今週に入ってから常陽銀行など住宅ローン残高の多い 10行前後に住宅ローン業務の共同展開を打診した。9月半ばまでに詳細な商品内容を検討したうえで、月内にも提携先を決定。来年中に取り扱いを始める予定だ。
 
7.積水化学、改正建築基準法への対応強化
 

  積水化学工業は、6月に施行された改正建築基準法への対応を強化する。地下車庫を備えるなどした特殊な戸建て住宅の構造が建築基準法に合致しているか否かを判定する人員などを拡充。特殊な物件に対応する新しい構造計算ソフトを年内に開発する。作業効率を高め、法改正にともなう混乱を回避するのがねらいだ。  
  このほど、特殊な住宅の構造計算や建築確認申請を受け付ける行政機関とのやりとりを担当する社員を5人から14人に増やした。法改正により手続きが厳格化されたため、申請が遅れないように対応する。  
  新しく開発する構造計算ソフトは、計算書上に住宅に使う鉄骨の厚みや柱とはりの接合強度などを明示し、民間検査機関が計算過程をチェックできるようにする。従来のソフトで作成した構造計算書はチェックの際に手作業で追加計算をする必要があった。  

 
8.住友不動産、女性に配慮の住宅・室内に水噴霧装置など
 
  住友不動産は9月8日、離れや大きな窓を備えた住宅「J・LADY(ジェイレディ)」を発売する。オプションで室内に水を噴霧することで室内の湿度を保つ装置を設置することも可能。1人で過ごす時間を大切にしたり美容を気にしたりする女性に魅力を訴える。団塊の世代の夫婦を中心に売り込み、2008年3月期に500棟の販売を目指す。
  玄関のそばに女性専用の部屋を設け、自由に過ごしてもらえるよう配慮する。室内は床、壁、天井だけで構成するはりのない空間とし、窓は天井までの高さを確保する。価格は敷地面積が165平方メートルの場合、3.3平方メートル当たり52万1,850円。関東、東海、近畿のほか、宮城、新潟、広島、福岡の各県で販売する。
 
9.パナホーム、狭小地に3階建て住宅・都内23区限定
 
  パナホームは都心の狭小地向け3階建て住宅「ジェイカーサ」を東京23区限定で発売した。通常建築が困難な都心の狭小地でも搬入しやすい小型部材を活用し、自由度の高い設計を実現した。店舗や賃貸住宅との兼用プランもある。団塊世代の建て替え需要を狙い、初年度100棟の販売を目指す。
  長さが短めの軽量鉄骨の管柱とH形鋼のはりを接合金具で締める独自工法を採用。狭い土地や区画が整然としていない地域にも住宅をつくりやすいという。構造体の組み立てでもクレーン車を使わずに済むため、都心での建設に適するとしている。住宅内部を支える構造体の外側には熱を通しにくく空気は通す素材を採用。外壁には光触媒を塗装し汚れにくくした。標準販売価格は3.3平方メートル当たり61万 4,000円。
 
10.エス・バイ・エル、子育て世代向け戸建てを発売
 
  プレハブ住宅のエス・バイ・エルは9月7日、食器洗浄乾燥機やIHヒーターなどを標準装備した注文木造戸建て住宅を発売する。200通りの間取りがあり、各地区最初の10棟限定で3.3平方メートル当たりの単価を39万3,000円と低めに設定した。子育てをしている30歳代を主な対象に、初年度に300戸程度を販売する計画だ。
  発売する「ヴィットプレミアム」は給湯器などオール電化仕様で、浴室換気乾燥機や洗浄暖房機能付き便座などを標準で備える。壁と枠組みは高級品と同一の耐震性の高い素材を使用し、外壁には従来より汚れに強い塗装を施す。子育て世代向けに家事用の広い空間や子供部屋になり得る空間などを確保できる間取りを選ぶことができる。本体工事価格は約132平方メートルで2,000万円程度となる見通し。
 
11.三洋ホームズ、3階建て住宅に制震設備と地震速報機能を標準装備
 
  三洋ホームズ(大阪市、田中康典社長)は、3階建て住宅にブリヂストンと共同開発した制震設備と地震速報機能を採用する。9月22日から発売する。従来標準装備していたオール電化や太陽光発電などの省エネ設備に加え、安全性を高める設備も訴求することで拡販につなげる。
  高制震性の新設備はブリヂストン製の衝撃吸収性の高いゴムを鋼板で挟み込み2段構造にした。地震エネルギーを吸収し、従来品に比べ揺れを最大で3割減らせる。建物が過度に変形するのを防げる利点があるという。同設備を三洋ホームズの住宅の1階の柱の間部分に採用する。
 
12.ミサワホームとミサワ創業者の新会社、坪40万円の戸建てで対決
 
  坪40万円の決戦−ミサワホームと、ミサワホーム創業者の三沢千代治氏が社長を務めるミサワインターナショナル(東京・新宿)は10月1日、それぞれ戸建て住宅の新商品を発表した。両社ともに販売価格を3.3平方メートル(1坪)当たり40万円程度と普及価格帯に抑えながら、間取り変更を容易にしたり、構造部材を頑丈にするなど、付加価値を高めた。戸建て需要が低迷する中、両社ともに主力商品に育てる。
  ミサワホームの「スマートスタイル・オー」は外装材などの選択の幅を広げ、価格を一定にしたまま間取りを自由に変更できるようにしたのが特徴。3.3平方メートル当たりの販売価格は40万8,000円からで、水谷和生社長は「業績向上の起爆剤となると確信している」と自信を見せた。
 
13.ミサワインターナショナル、 頑丈な構造部材を用いた長寿命住宅
 
  ミサワホーム創業者の三沢千代治氏が社長を務めるミサワインターナショナル(東京・新宿)は、柱や梁(はり)などの構造部材を頑丈にして、長寿命化を目指した戸建て住宅事業を始めた。同社は工務店を組織化し、通常より約5センチ太い15センチ角の柱などの構造部材を供給するほか、商品開発などを受け持つ。30年ごとに改修工事をすることなどで200年もつ「200年住宅」を目指す。
  商品名は「HABITA出居(でい)民家」。1戸当たりの構造部材の量は延べ床面積約140平方メートルの住宅の場合で、約21立方メートルと通常の2倍弱という。構造部材は全国の集成材工場と連携し、供給する。価格は標準タイプで3.3平方メートル当たり42万8,000円。販管費などを抑制し、価格を抑えた。
 
14.前田建設、中国で住宅事業−不動産最大手に技術供与
 
  前田建設工業は中国の不動産最大手、万科企業(広東省)と業務提携し住宅事業に参入する。工期を最大3分の1まで短縮できる前田建設の技術を万科に供与。万科は2008年から深センなど広東省の都市を中心に高層マンション5,600戸(1戸90平方メートル換算)を展開する。日本のゼネコン(総合建設会社)が中国のデベロッパーと提携するのは初めて。拡大する中国市場で同様の動きが広がりそうだ。
  前田建設工業が供与するのはPC(プレキャスト)と呼ばれる工法で、柱や梁(はり)、壁などの建設部材を工場であらかじめ生産し、現場で組み上げる。ミリ単位で部材の精度を管理する難しさがある半面、工期の大幅短縮、人件費の削減が可能で、建設コストを20%程度圧縮できる。経済成長を背景に中国では住宅市場も拡大傾向にある。2007年の住宅着工戸数は「500万戸前後となる」(前田建設)見通しで、日本の4−5倍近くになる見通し。