住宅関連情報 平成18年3月号
 
1. 1月の新設住宅着工、2.2%減少−分譲マンションが反動減
 
《平成18年1月期の新設住宅着工戸数》
利用関係別
戸    数
前年同月対比
総     数
92,899戸
△ 2.2%
持  ち  家
23,050戸
△ 2.1%
分 譲 住 宅
29,099戸
△10.8%
貸     家
40,337戸
          6.2%
 
  国土交通省が2月28日発表した1月の新設住宅着工戸数は9万2,899戸となり、前年同月に比べ2.2%減少した。前年を下回るのは2カ月連続。分譲マンションが、好調だった前年の反動で16.6%減と大きく落ち込んだことが主因。季節調整済み年率換算値は125万9,000戸と、前月の110万戸台より増えた。  
 種類別にみると、持ち家は2カ月連続のマイナスとなる2.1%の減少。貸家は6.2%増えた。分譲住宅はマンションの減少が響き、10.8%の減少だった。  
 分譲マンションの大幅減について国交省は「大型マンションの供給が集中した前年の反動が出た」と指摘、特殊要因だと分析している。昨年11月に発覚した耐震強度偽装事件の影響については「各地の状況がバラバラで、影響があるかどうかはわからない」としている。
 
2.家計に影響じわり・量的緩和の解除観測強まる
 
  市場金利が量的金融緩和政策の解除を織り込んで上昇していることを受け、銀行が住宅ローンなどの貸出金利を引き上げ始めた。いまは限りなくゼロ近辺に張り付く預金金利も将来は上がる見通し。家計にとっては借り入れ、資産運用の両面で影響が徐々に広がるとみられる。  
  住宅金融公庫は3月3日、約300の民間金融機関と提携する長期固定の住宅ローン「フラット35」の3月の平均適用金利が2月比で0.12%上昇し、年2.958%となったと発表した。これは民間が貸した後に公庫に債権を譲渡、証券化して投資家に売る公庫との提携ローン。民間でも主力のローンになっている。  
  みずほ銀行と三井住友銀行は提携ローンではない独自の住宅ローンも3月から当初固定期間2−5年型の貸出金利を引き上げた。民間銀行の自動車ローンも今後、同様に上がる見通しだ。
 
3.日本生命保険、住宅ローンの金利一部変更
 
  日本生命保険は2月10日、住宅ローン金利を一部変更すると発表した。固定金利型は融資期間10年以内で0.1%引き下げ年3.45%に、11年−15年で0.05%引き下げ4%などに変更する。長期貸付基準金利連動の変動金利型は0.2%引き上げ2%にする。2月17日の新規融資分から適用する。
 
4.NCN、「フラット35」の難点解消・建設途中、施主に融資
 
  住宅部材供給のエヌ・シー・エヌ(東京・港、杉山恒夫社長)は、民間金融機関の住宅金融公庫提携ローン(フラット35)を利用して住宅を建てる施主に対し、建築途中で工務店に支払う中間資金を融資するサービスを始めた。住宅完成後まで融資を受けられないフラット35の難点を解消。工務店側も資金繰りを気にせずに受注・建設できる利点がある。
  新サービスはみずほ銀行、伊藤忠商事傘下の住宅資金マネジメント(東京・港)と組んで手がける。みずほ銀行でフラット35を申し込んだ場合はみずほ銀行が直接、その他の場合は住宅資金マネジがNCNを通じて工事の「中間検査」後に建設費の半額程度を支払う。住宅資金マネジは住宅完成後にもつなぎ資金を融資、フラット35の融資実行後に施主から回収する。
 
5.ノンバンク、長期固定住宅ローンに相次ぎ参入
 
  「長期固定金利型の住宅ローン(最長35年)」に大手ノンバンクの参入が相次ぐ。オリックスは3月1日、住宅金融公庫との長期固定の提携ローン(フラット35)を開始した。楽天も10月に参入する。日銀の量的緩和策の解除が近づき、金利の先高観から長期固定型への需要は強まるとの判断だ。これまでの主要な担い手だった銀行側は迎え撃つ構えだ。  
  代表的な長期住宅ローンは住宅公庫が民間金融機関と提携した「フラット35」。民間が融資した債権を公庫が買い取って証券化し、投資家に転売する。住宅ローンを扱う金融機関にとっては、金利変動のリスクを回避できる利点がある。
  フラット35を扱うのは銀行や信用金庫のほか、住宅ローンの専門会社。日立キャピタル、積水ハウスなどが出資する日本住宅ローン、ソフトバンク系のSBIモーゲージ、全国の不動産業者が設立した全宅住宅ローンなどだ。従業員を減らすことなどでコストを削減、銀行に比べ融資金利を抑えて、融資実績を伸ばしてきた。いまではフラット35の累積契約件数の約4割をノンバンク系が占めるほどだ。
 
6.銀行など、住宅ローンで特色競う・ 20代や女性に照準
 
  銀行やノンバンクが住宅ローンの商品設計を競っている。20代や女性が利用しやすい商品を投入し、貸出金利を高めに設定することでこれまで融資を見合わせてきた顧客を取り込む動きも出てきた。住宅ローンは銀行の貸出残高の2割以上を占める収益源。今後の金利上昇も視野に入れ、顧客獲得にしのぎを削っている。
  りそな銀行は最長45年まで借りられる住宅ローンの取り扱いを今春から本格的に始める。これまで各行が取り扱っている住宅ローンは原則で最長35年。返済期間を長くし、毎月の返済額を抑える。3,000万円を借りた場合も、月々の返済額は10万円以下とするのが可能で、20歳代でも借りやすい。固定金利でも変動金利でも通常ローンと条件は同じだが、キャンペーン金利を適用しないため金利はやや高めになる。
 
7.宅地の固定資産税評価見込額、来年度3.9%下落・総務省
 
  総務省は2月15日、2006年度の宅地の固定資産税評価見込額が全国平均で今年度より3.9%下がると発表した。下落は13年連続だが、下げ幅は今年度の4.8%より縮小した。地価は下落基調が続いているが、東京都が0.1%の下落にとどまるなど、一部大都市でみられる下げ止まりの動きが反映された。ただ市町村の固定資産税収はなお減る見通しだ。  
  評価見込額は同日開いた地方財政審議会(総務相の諮問機関)で総務省が報告。公示地価の7割にあたる評価額の総額で都道府県ごとに算出している。来年度は3年に1回の評価替えの年にあたり、この見込額などをもとに各市町村が税額を決める。  
  都道府県別の下落率は、和歌山、香川両県の8.2%が最大。総務省の推計では、東京23区や政令指定都市などの大都市(1.6%の下落)に比べ、市(5.0%)や町村(5.7%)での下落幅が大きい。
  県庁所在地ごとの評価額のばらつきを示す「提示平均価額」は、全国平均で宅地1平方メートルあたり8万6,711円。前の年度より2.6%の下落となる見通しだ。東京都の31万3,958円が最大で、富山県の2万1,992円が最小。
 
8.住宅リフォーム市場、2010年に8兆円・野村総研が予測
  
  野村総合研究所は2月22日、2010年の住宅リフォーム市場規模が2005年の7兆円から8兆円程度に拡大するとの予測を発表した。団塊世代の退職後のリフォームや新耐震基準(1981年)以前の住宅の耐震改修工事が増加。築35年以上の住宅で約1兆円増えると見ている。  
  過去3年以内にリフォーム経験のある700人を対象にしたアンケート調査を踏まえ予測した。調査で判明した築年数別のリフォーム実施率と平均工事単価に、築年数別の住宅戸数の予測値を掛け合わせて市場規模を算出した。
  築年数別では、「築20年以上25年未満」が1.2兆円、「築25年以上35年未満」が2.1兆円など築35年未満の住宅で横ばい。「築35年以上」では約1兆円増えて2.8兆円。既存住宅で実際に使用されている割合を示す「住宅活用率」が、築35年以上の住宅で2003年の60%から75%に増えるという。
 
9.欠陥住宅補償の保険、戸建ても義務付け・国交省方針
  
  国土交通省は2月22日、売り主に加入を義務付ける、欠陥住宅の補修や建て替えの費用を負担する保険について、分譲マンションだけでなく戸建て住宅も対象とする方針を決めた。必要な資金を確実に拠出できることを売り主に証明させるのが狙い。保険だけでなく銀行などによる保証も認める。今国会で宅地建物取引業法などを改正する考え。ただ故意や重過失による欠陥への対応など課題も残っている。  
  国交省は2月22日の社会資本整備審議会の基本制度部会で耐震強度偽装事件の再発防止策をまとめた。売り主の欠陥住宅への補償能力の証明義務付けは消費者保護策の柱になる。  
  戸建て住宅を含む新築住宅の売り主は、引き渡し後10年以内に欠陥が見付かった場合は、補修や建て替えを行う瑕疵(かし)担保責任を負っている。今回の事件では売り主であるヒューザーには支払い能力がないとみられ、公的支援で建て替え費用などを拠出することになった。国交省は業者に本来の責任を果たさせるためには、保険加入など支払い能力の保証が必要だと判断した。
 
10.大手住宅メーカー、防犯建材の採用を拡大
  
  大手住宅メーカーが一定基準を満たした「防犯建物部品」の採用を加速している。旭化成ホームズや大和ハウス工業は部品を標準採用、ミサワホームはオプションで使える部品数を拡充する。民間検査機関の評価による「住宅性能表示」に、4月から防犯項目が追加されることも採用増の理由。住宅メーカーの利用が広がれば量産効果で部品価格が下がり、さらに普及が進みそうだ。
 
11.東急ホームが健康・環境に配慮した「ドイツ住宅」
  
  東急ホームは健康や環境に配慮した「ドイツ住宅」のモデルハウスを千葉県大網白里町の季美の森団地内に開設した。ドイツで普及が進む断熱システムや自然素材を使った内装建材などを採用。日本の気象条件下でデータを計測、商品開発に生かす。  
  ツーバイシックス(2×6)パネル工法の2階建てで、延べ床面積は約166平方メートル。柱と柱の間に断熱材を配した「充填断熱」と外断熱を組み合わせた「外壁複合断熱システム」を採用、人体に有害な可能性がある溶剤を含まない塗料や天然木材、吸湿性能の高い建材などを使っている。  
 建築費用は一坪(3.3平方メートル)あたり約100万円。集めたデータを主力の輸入住宅「ミルクリーク」に導入、長野県軽井沢町など寒冷地での住宅建設に生かす。  
  モデルハウスは2005年6月に提携した独フラウンホーファー研究機構(ミュンヘン)傘下のフラウンホーファー建築物理研究所(シュツットガルト)と共同で建設した。
 
12.技研興業、戸建て分譲や住宅リフォーム事業に参入
  
  消波ブロック型枠貸与大手の技研興業は2月8日、戸建て住宅分譲や住宅リフォーム事業に参入すると発表した。対象地域は首都圏近郊に限定する。公共事業費の削減傾向が続くなか、新事業を中長期的な成長戦略の一環と位置づける。  
  2月10日にハウジング事業部を新設する。人員は5人。東京都や埼玉県を中心に戸建て住宅分譲事業や住宅リフォーム事業を展開する。戸建て住宅分譲事業は自社保有の遊休地を利用するほか、5−10棟分の土地を新規に仕入れていく。住宅リフォーム事業は戸建てからマンションまで幅広く対応する。
 
13.フジ住宅、中古住宅を対面販売
  
  分譲戸建て住宅中堅のフジ住宅は中古住宅の販売で対面営業型の新店舗を設ける。中古住宅に関する情報を検索できる機器を設置し集客力を高める。担当者も新店舗に集め、営業効率を上げる。中古住宅に対する関心の高い顧客向けの営業体制を整え、販売増につなげる。  
  新型店舗の名称は「フジホームバンク お・う・ち・館」(大阪府岸和田市)で、2月26日に営業を始める。地上4階建てで1−2階を店舗、3−4階を営業担当者の事務所に使う。
  店舗部分の面積は約810平方メートル。1階にはタッチパネル式の情報端末や地域別に分類した物件情報シートなどを設置。顧客が自由に物件情報を検索できるようにした。中古住宅の購入希望者を効率的に集客する。
 
14.エス・バイ・エル、主力の住宅に集中
  
  エス・バイ・エルは2月6日、リゾート事業を米系投資顧問の日本法人、エートス・ジャパン(東京・港)が運営する投資ファンドが出資する特別目的会社(SPC)に売却すると発表した。譲渡額は約7億円。営業赤字で不振が続く非中核事業から撤退、主力の住宅事業に経営資源を集中して経営再建を進める。
  2月10日付で売却するのはホテル事業を手掛ける軽井沢倶楽部(東京・新宿)とゴルフ場運営の宜野座カントリークラブ(沖縄県宜野座村)の2社。エス・バイ・エルが保有するホテルの建物を軽井沢倶楽部に移管したうえで同社を売却する。ホテルやゴルフ場の従業員や施設はSPCが継承し、営業を続ける。